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第8章 魔人の島
第9話 神の力vs神の力
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「お前がリュークだな? ちょうどいいところに来てくれて助かるぜ」
眼鏡をかけた黒髪の男が、オレたちを見て言葉を出す。
オレたちが最下層の最奥の部屋に辿り着くと、なんとそこにはベムラーたちのほかに『ニホンジン』がいた。
まさか、異世界人に先回りされていたとは……!
しかし、何故オレたちがここに来ていると分かったんだ?
やはり仮面の男はこいつらの仲間で、オレの居場所を教えたとか?
……いや、それはないな。何か別の手段でオレたちを追跡してきたんだろう。
部屋の謎を解いたオレたちだが、あのあと無事元の位置に転送され、そしてベムラーたちを追ってダンジョンを走り抜けた。
仮眠を取ったオレは元気100倍、集中力も回復し、瞬く間にここまで来ることができたのだった。
睡眠の重要性が骨身に染みたぜ。
何はともあれ、『スマホ』で目の前の男を解析しようとしたところ……
「ガッチャ! これでもうお前は、オレのターンが終わるまで攻撃ができない」
ガッチャ? ターン? なんのことだ?
ただ、よく分からないが、何かの効果がオレの全身にかかったのを感じる。
「あんたっ、リュークに何をしたの!?」
オレの様子がおかしいのを見て、ジーナたちが戦闘態勢を取りながら叫ぶ。
すると……
「ガッチャ! 君たちも全員捕捉した」
「な、何コレっ!? 体が……おかしいわ!?」
オレと同じように、ジーナたちにも不可思議な効果がかかったようで、みんな戸惑っている。
『スマホ』で調べてみると、これは男の持つギフト『神罰の勇者』の能力によって、オレたちは攻撃不能状態になっているらしい。
実際、攻撃の動作をしようと思ってもまったく無理だった。
ベムラーたちが地面に倒れているが、恐らくこの能力でやられたんだろう。
「君たちが何もできないのは、オレの能力の1つ、絶対先制攻撃の効果だ。まあオレは竜司と違って、女性を痛めつける趣味はないから安心してほしい。カッカしないで、君たちはオレと『覇王の戦士』の戦いをそこで見ていればいいさ」
男は彼女たちの攻撃を封じたあと、オレのほうにまた向き直る。
「オレは桐生当真。分かっていると思うが、お前を倒しに来た。こんなことになる前に、オレたちの仲間になっていれば良かったものを……残念ながらお前を仲間にする選択肢はもうなくなった。自らの愚行を後悔するんだな」
すでに勝利を確信しているのか、桐生当真は隙だらけの状態で余裕綽々に話し続ける。
確かに、彼のギフトを『スマホ』で強奪しようとしても不可能だった。
なるほど、彼の言う通り、まずは彼が攻撃しないことにはこちらからは攻撃できないということか。
『スマホ』の能力がこんな風に封じられてしまうとは……
ただ、攻撃以外のことはそれなりにできるようだ。
もしかして、一度ここから逃げればこの術は解けるんじゃ……?
「言っておくが、たとえ転移アイテムを使おうとも、逃げるのは不可能だぞ。オレの能力で捕捉されてるんだからな。ただ、守るのは自由だ。盾でも結界でも好きに使ってオレの攻撃を防ぐがいい。オレの攻撃が終わったら、次はお前が攻撃するターンになる」
よほど自信があるのだろう、桐生当真はベラベラと自分の能力を説明してくれる。
順番に攻撃するのがこの能力のルールらしい。
つまり、彼の攻撃が終われば、この能力を強奪できるということだ。
「ご親切に教えてくれてありがとう。でもいいのかい? そんなこと喋っちゃって?」
「問題ない。お前がどう足掻こうとも、オレの攻撃は絶対に実現するからな」
「じゃあさっさと攻撃してくれ。いつまでも攻撃できないのは暇なんでね」
オレはわざと煽るように言う。
「口の減らないヤツだ。オレの攻撃を受けたら、お前には反撃できるような余裕なんてなくなると思うぜ?」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。オレが攻撃する番になったら、君はきっと恐怖で身動きすらできなくなる」
「面白いぞ『覇王の戦士』! ではお前の運命を決めてやる。お前に与えられる神罰は……」
そう言って桐生当真が手に持つサイコロを振ると、出た目には『即死』と書かれていた。
「なんて運がいいんだお前は! 死こそ幸福。過酷な苦しみを味わわなくて済むからな。お前を生け捕りにするのが目的だったが、神が死を選択したのならオレでもどうしようもない。死ね!」
「リュ、リュークっ!」
桐生当真の言葉を聞いて、ジーナたちが青い顔で叫ぶ。
この男の能力は必ず実現すると、彼女たちにも分かったからだ。
よって、オレはその場で即死………………しなかった。
「……!? 何故死なない……?」
ひたすら余裕の表情を浮かべていた桐生当真が、初めて動揺した。
オレが死ななかった理由――それは、あらゆる攻撃を無効化する『神盾の防御』を無詠唱で発動していたからである。
絶対に防げない攻撃と、絶対に無効化する盾。
勝ったのは絶対に無効化する盾だった。
「言われた通り、防御させてもらったよ。問答無用で殺すんじゃなく、ちゃんと守らせてくれるなんて優しいじゃないか」
「か……神の力だぞ!? 守れるわけがない!」
「本当に神の力なのか? ちなみに今オレが使ったのは、正真正銘神の力だ」
まあ正確に言うと、神に一番近い存在である、天使階級第一位の『熾天使』の力だけど。
世羅竜司のときも思ったが、異世界人の能力からは明らかに邪悪なものを感じる。
絶対に防げないはずの攻撃を防げた理由は、桐生当真の能力が偽りの神の力だからじゃないだろうか?
「い、今のは何かの間違いだ。だからまだオレのターンは終わっていない! もう1回サイコロを振って……」
「おっと、君の能力はルールが絶対のはずだ。だから次はオレの番だろ。えっと、ガッチャ……って言うんだっけ?」
オレはそう言いながら桐生当真のギフトを奪い、その『神罰の勇者』の能力を発動した。
「はあっ、そ、それはオレの能力っ!? ああ、オレのギフトが奪われてるっ!」
「これでオレが攻撃するまで君はもう逃げられない。確か転移アイテムでも逃げられないんだろ? 絶対先制攻撃って便利だな。ではサイコロを振るとしよう。何が出るかな……?」
「待て、待ってくれ! やめろ、サイコロを振らないでくれ……!」
桐生当真は異常なまでに怯え、恐怖から取り乱す。
このサイコロって、そんなに凄い神罰が下るのか?
オレは各面に書いてある文字を読む。
……うわっ、えげつねーっ!
神罰なんてものじゃなく、地獄の拷問だぞこりゃ。
なるほど、桐生当真が怖がるのも無理はないな。
しかも絶対先制攻撃だから、オレが行動するまで何もできないし、もちろん逃げることも不可能だ。
これを利用して、オレは桐生当真を少し追い込むことにした。
「さぁて、どうしようかな……君はどの目が出てほしい? やっぱり即死がいいかい?」
「待てっ、頼む! お願いだからやめてくれ……」
「でもオレがサイコロを振らないと、君は何もできないぞ? いつまでもこんな状態じゃどうしようもないだろ。それに、どんな目が出るのかオレも楽しみなんだ」
「やめっ、はあっ、はあっ、た、頼むぅ……」
桐生当真はもはや立っていられないようで、膝から崩れ落ちたあと、全身をガクガクと震わせ続けている。
涙どころか、鼻水や涎まで垂れ流していた。
「リューク、ちょっと意地悪しすぎじゃない?」
後ろで見ているジーナたちが、そう言って苦笑いしている。
この辺で許してやるか。
「サイコロを振るのは勘弁しよう。その代わり、君たち異世界人のことを話してもらう。君たちは世界を征服したいらしいが、何かおかしい気がする。君たちの真の目的はなんだ?」
「それは……」
桐生当真は少し迷うような仕草を見せたあと、おもむろに話し始めるのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
眼鏡をかけた黒髪の男が、オレたちを見て言葉を出す。
オレたちが最下層の最奥の部屋に辿り着くと、なんとそこにはベムラーたちのほかに『ニホンジン』がいた。
まさか、異世界人に先回りされていたとは……!
しかし、何故オレたちがここに来ていると分かったんだ?
やはり仮面の男はこいつらの仲間で、オレの居場所を教えたとか?
……いや、それはないな。何か別の手段でオレたちを追跡してきたんだろう。
部屋の謎を解いたオレたちだが、あのあと無事元の位置に転送され、そしてベムラーたちを追ってダンジョンを走り抜けた。
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睡眠の重要性が骨身に染みたぜ。
何はともあれ、『スマホ』で目の前の男を解析しようとしたところ……
「ガッチャ! これでもうお前は、オレのターンが終わるまで攻撃ができない」
ガッチャ? ターン? なんのことだ?
ただ、よく分からないが、何かの効果がオレの全身にかかったのを感じる。
「あんたっ、リュークに何をしたの!?」
オレの様子がおかしいのを見て、ジーナたちが戦闘態勢を取りながら叫ぶ。
すると……
「ガッチャ! 君たちも全員捕捉した」
「な、何コレっ!? 体が……おかしいわ!?」
オレと同じように、ジーナたちにも不可思議な効果がかかったようで、みんな戸惑っている。
『スマホ』で調べてみると、これは男の持つギフト『神罰の勇者』の能力によって、オレたちは攻撃不能状態になっているらしい。
実際、攻撃の動作をしようと思ってもまったく無理だった。
ベムラーたちが地面に倒れているが、恐らくこの能力でやられたんだろう。
「君たちが何もできないのは、オレの能力の1つ、絶対先制攻撃の効果だ。まあオレは竜司と違って、女性を痛めつける趣味はないから安心してほしい。カッカしないで、君たちはオレと『覇王の戦士』の戦いをそこで見ていればいいさ」
男は彼女たちの攻撃を封じたあと、オレのほうにまた向き直る。
「オレは桐生当真。分かっていると思うが、お前を倒しに来た。こんなことになる前に、オレたちの仲間になっていれば良かったものを……残念ながらお前を仲間にする選択肢はもうなくなった。自らの愚行を後悔するんだな」
すでに勝利を確信しているのか、桐生当真は隙だらけの状態で余裕綽々に話し続ける。
確かに、彼のギフトを『スマホ』で強奪しようとしても不可能だった。
なるほど、彼の言う通り、まずは彼が攻撃しないことにはこちらからは攻撃できないということか。
『スマホ』の能力がこんな風に封じられてしまうとは……
ただ、攻撃以外のことはそれなりにできるようだ。
もしかして、一度ここから逃げればこの術は解けるんじゃ……?
「言っておくが、たとえ転移アイテムを使おうとも、逃げるのは不可能だぞ。オレの能力で捕捉されてるんだからな。ただ、守るのは自由だ。盾でも結界でも好きに使ってオレの攻撃を防ぐがいい。オレの攻撃が終わったら、次はお前が攻撃するターンになる」
よほど自信があるのだろう、桐生当真はベラベラと自分の能力を説明してくれる。
順番に攻撃するのがこの能力のルールらしい。
つまり、彼の攻撃が終われば、この能力を強奪できるということだ。
「ご親切に教えてくれてありがとう。でもいいのかい? そんなこと喋っちゃって?」
「問題ない。お前がどう足掻こうとも、オレの攻撃は絶対に実現するからな」
「じゃあさっさと攻撃してくれ。いつまでも攻撃できないのは暇なんでね」
オレはわざと煽るように言う。
「口の減らないヤツだ。オレの攻撃を受けたら、お前には反撃できるような余裕なんてなくなると思うぜ?」
「その言葉、そっくりそのまま返すよ。オレが攻撃する番になったら、君はきっと恐怖で身動きすらできなくなる」
「面白いぞ『覇王の戦士』! ではお前の運命を決めてやる。お前に与えられる神罰は……」
そう言って桐生当真が手に持つサイコロを振ると、出た目には『即死』と書かれていた。
「なんて運がいいんだお前は! 死こそ幸福。過酷な苦しみを味わわなくて済むからな。お前を生け捕りにするのが目的だったが、神が死を選択したのならオレでもどうしようもない。死ね!」
「リュ、リュークっ!」
桐生当真の言葉を聞いて、ジーナたちが青い顔で叫ぶ。
この男の能力は必ず実現すると、彼女たちにも分かったからだ。
よって、オレはその場で即死………………しなかった。
「……!? 何故死なない……?」
ひたすら余裕の表情を浮かべていた桐生当真が、初めて動揺した。
オレが死ななかった理由――それは、あらゆる攻撃を無効化する『神盾の防御』を無詠唱で発動していたからである。
絶対に防げない攻撃と、絶対に無効化する盾。
勝ったのは絶対に無効化する盾だった。
「言われた通り、防御させてもらったよ。問答無用で殺すんじゃなく、ちゃんと守らせてくれるなんて優しいじゃないか」
「か……神の力だぞ!? 守れるわけがない!」
「本当に神の力なのか? ちなみに今オレが使ったのは、正真正銘神の力だ」
まあ正確に言うと、神に一番近い存在である、天使階級第一位の『熾天使』の力だけど。
世羅竜司のときも思ったが、異世界人の能力からは明らかに邪悪なものを感じる。
絶対に防げないはずの攻撃を防げた理由は、桐生当真の能力が偽りの神の力だからじゃないだろうか?
「い、今のは何かの間違いだ。だからまだオレのターンは終わっていない! もう1回サイコロを振って……」
「おっと、君の能力はルールが絶対のはずだ。だから次はオレの番だろ。えっと、ガッチャ……って言うんだっけ?」
オレはそう言いながら桐生当真のギフトを奪い、その『神罰の勇者』の能力を発動した。
「はあっ、そ、それはオレの能力っ!? ああ、オレのギフトが奪われてるっ!」
「これでオレが攻撃するまで君はもう逃げられない。確か転移アイテムでも逃げられないんだろ? 絶対先制攻撃って便利だな。ではサイコロを振るとしよう。何が出るかな……?」
「待て、待ってくれ! やめろ、サイコロを振らないでくれ……!」
桐生当真は異常なまでに怯え、恐怖から取り乱す。
このサイコロって、そんなに凄い神罰が下るのか?
オレは各面に書いてある文字を読む。
……うわっ、えげつねーっ!
神罰なんてものじゃなく、地獄の拷問だぞこりゃ。
なるほど、桐生当真が怖がるのも無理はないな。
しかも絶対先制攻撃だから、オレが行動するまで何もできないし、もちろん逃げることも不可能だ。
これを利用して、オレは桐生当真を少し追い込むことにした。
「さぁて、どうしようかな……君はどの目が出てほしい? やっぱり即死がいいかい?」
「待てっ、頼む! お願いだからやめてくれ……」
「でもオレがサイコロを振らないと、君は何もできないぞ? いつまでもこんな状態じゃどうしようもないだろ。それに、どんな目が出るのかオレも楽しみなんだ」
「やめっ、はあっ、はあっ、た、頼むぅ……」
桐生当真はもはや立っていられないようで、膝から崩れ落ちたあと、全身をガクガクと震わせ続けている。
涙どころか、鼻水や涎まで垂れ流していた。
「リューク、ちょっと意地悪しすぎじゃない?」
後ろで見ているジーナたちが、そう言って苦笑いしている。
この辺で許してやるか。
「サイコロを振るのは勘弁しよう。その代わり、君たち異世界人のことを話してもらう。君たちは世界を征服したいらしいが、何かおかしい気がする。君たちの真の目的はなんだ?」
「それは……」
桐生当真は少し迷うような仕草を見せたあと、おもむろに話し始めるのだった。
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