勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる

文字の大きさ
93 / 96
第8章 魔人の島

第8話 賽を振る神

しおりを挟む
「遅かったなウーヴァ、ヤツらは始末できたのか?」

「はっ、首尾よく『飢えの間』に飛ばしました。もう会うことはないでしょう」

 ベムラーの問いにウーヴァが答える。
 ウーヴァはリュークたちを撃退したあと、先を進んでいたベムラーと今合流したところだった。

 邪魔者がいなくなったところで、2人で地下28階を攻略し、続いて29階、そして最下層30階に到達する。
 本来ならたった2人で攻略するのは難しい場所だが、ベムラーは『再誕さいたん墓廟ぼびょう』を単独で踏破する『英雄の試練』をクリアした男なので、問題なかった。

 そのまま封印の部屋まで移動したあと、ベムラーたちは封印を解く準備を始めた。

「おおっ、今まで何も反応がなかった封印と『解封の神器』が共鳴しておる。これならば解けるぞ! さあ『解錠の巫女』の手だ」

 切断されたリオンの右手に『解封の神器』――『真紅の指輪』をはめ、その手で封印に触れると、パリンと殻が砕けるように封印は霧散した。
 そして無色透明の石がその場に出現する。
 リュークが求めている『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』だった。

「おおおっ、これだ! これさえあれば、ワシは無限の力を持って生まれ変われる!」

「やりましたね、ベムラー様!」

 無事悲願を遂げ、ベムラーたちが歓喜の声を上げたそのとき……

「そこまでだ。それをこっちに渡せ」

 そう言って現れたのは、『ニホンジン』桐生当真だった。
 桐生当真は姫川翼が製作した飛行機器を使って、この魔人族の島までやって来た。
 リュークに付いている発信機を追ってきたわけだが、島の様子がおかしいことに気付き、魔人を痛めつけて何が起こっているのかを聞き出した。
 それで秘宝のことを知り、この場にやって来たわけである。

再誕さいたん墓廟ぼびょう』の攻略については、『導きの白樹笛ディヴァインフルート』と同性能の魔導具を姫川翼が製作していたので、最短で移動することができた。
 リュークの発する信号も途中までは探知できていたが、転移トラップでリュークが飛ばされたので見失ってしまう。
 それで仕方なく先を進み、この状況となっている。

「どういうことだウーヴァ、まだ残っていたようだぞ」

「これは……私の失態です。まさか別のヤツも来ていたとは……」

 ベムラーに問い詰められ、ウーヴァは青ざめる。
 とはいうものの、ウーヴァがあの場を離れてから桐生当真が来るまでに相当時間も経っており、仕方のないことだった。
 ウーヴァが閉じた壁も、一定時間が経ったことで元に戻っていた。

「まあよい、今のワシは機嫌がいい。死んだことに気付かないほど一瞬で塵にしてやろう」

 そう言いながら、ベムラーは無詠唱で『超越魔法オーバーマジック』を発動しようとしたところ……

「ガッチャ! 2人とも捕捉した。まずはオレのターンからだ」

 桐生当真は笑みを浮かべながら、楽しそうにそう宣言した。
 そして発動寸前だったベムラーの『超越魔法オーバーマジック』もストップする。

「な、なんだこれは……魔法が撃てぬ!?」

「わ、私も何もできません!?」

 ベムラーとウーヴァは、自分の体に起こった変化に困惑する。
 桐生当真が授かったギフトは『神罰の勇者』で、その能力の1つが絶対先制攻撃というもの。
 これは相手が敵対的行動を仕掛けた瞬間、捕捉してストップさせてしまう。
 そしてまず桐生当真が攻撃するまで、相手は絶対に攻撃ができないのだ。

「いいかい? まずはオレが攻撃する。オレの攻撃が終わったら、次はお前たちが攻撃する番だ。これを1回ごとに交替して繰り返す。簡単なルールだから分かるよな? オレの攻撃が終わるまでお前たちは攻撃できないが、避けたり守ったりするのは自由にしていい。まあ無駄だけどな」

 そう言って、桐生当真は1辺が2センチ程度の立方体――サイコロを取り出した。

「それじゃあお前たちに神罰を与える。神はさいを振らないというが、この世界では振るらしいぜ。ま、アインシュタインの言葉なんて知らないか」

 あざけるような笑みを浮かべながら、桐生当真がサイコロを転がす。
 出た目に書かれていたのは『内臓破壊』。
 次の瞬間、ウーヴァが血を吐いて倒れた。

「がはあっ!」

 心臓以外のほぼ全部の臓器が大ダメージを受けたからだ。

「おや、一番可哀想なが出てしまったね。死ぬまでにかなり苦しむからな。次はお前の番だ」

 また桐生当真がサイコロを振ると、出た目は『魔力喪失』。
 よって、ベムラーは全ての魔力を喪失してしまう。

「あはっ、お前はツイてるよ。一番楽な神罰だ」

 魔力は魔法だけでなく、必殺技やスキルの発動にも使用する。
 つまり、魔力がないというのは、己の肉体のみで戦うということである。
 それを知らないベムラーは、先ほど止められた『超越魔法オーバーマジック』を撃とうとした。
 だがもちろん魔法を放つことはできない。

「ど……どういうことだ!?」

 先ほどから理解不能な出来事ばかり起こり、ベムラーは混乱する。

「すまないが、魔法不発も攻撃にカウントされる。剣を空振ったのと同じ判定だからだ。これでお前の攻撃ターンは終了で、またオレの攻撃ターンになる。さて、今度は何が出るかな……?」

 桐生当真がサイコロを振ると、『四肢破壊』という目が出た。
 その瞬間、ベムラーの両手足から力が抜け、だらんとした仕草をしながら地面に倒れた。

「ぐはっ、動けぬ……全身にまるで力が入らん!」

 ベムラーは這いつくばった姿勢からいっさい動くことができない。
 ちなみに、このサイコロの結果は
 リュークの『絶対遮断聖域アブソリュート・ホーリーシェル』やロゥエルの聖鎧の守護獣パンツァーメガテリウムでも防げないし、『捕食の勇者』の能力で1/1000にしようとも結果は変わらない。
 そして破壊されたものは、回復魔法やエリクサーなどの治療薬でも治すことはできない。
 よってベムラーの手足は永劫に動かないし、内臓を破壊されたウーヴァの命は風前の灯火だ。

 サイコロの各面に書かれている6つの目は『内臓破壊』、『四肢破壊』、『五感喪失』、『魔力喪失』、『精神崩壊』、『即死』で、『五感喪失』は視覚や聴覚、嗅覚などの五感を全て失い、『精神崩壊』は思考ができない廃人となり、『即死』は文字通りその場で死ぬ。
 桐生当真本人ですら手加減できない、凶悪な能力だった。

「さあ、次はお前のターンだ。遠慮なく攻撃してくれよ」

 桐生当真はそう言うが、魔法も手足も封じられたベムラーには何もできなかった。

「そっちが攻撃してくれないと、オレは何もできないんだ。そういうルールなんでね」

 強力な能力だけに、発動には条件があった。
 ルールは絶対なだけに、連続でサイコロを振ることはできない。
 とはいえ、必ず先制攻撃ができるため、まず不利になることはないだろう。

「攻撃してくれないなら、この戦いは終わりだな。戦利品をもらうことにしよう」

 そう言いながらベムラーに近付き、手からこぼれていた『回帰の秘石ジェネレート・ゼロ』を拾う。
 そして転送用の魔導アイテムで、帝都に送ってしまった。

「アレは翼が解析してくれるだろう。あとは『覇王の戦士』だが……おっと、なんていいタイミングなんだ! 今日はツイてる。神に感謝しなくてはな」

 誰かがやって来た気配に気付き、桐生当真が入り口のほうを振り返ると、そこにはリュークたち一行が到着していたのだった。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。

アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。 それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。 するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。 それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき… 遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。 ……とまぁ、ここまでは良くある話。 僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき… 遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。 「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」 それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。 なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…? 2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。 皆様お陰です、有り難う御座います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。