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4、えたーなる、ふぁんたじーわーるど
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「有利?」
て、この世界が? え、えぇ……?
有利ってあれでしょ。前世で言う、勝ち組みたいなもんでしょ?
ないない。ないから。
むしろ負け組代表って言われた方が、まだ納得出来るから。
(そもそも前世の方が生活水準も高くて、圧倒的に有利だったよ神様!)
魂をスイッチ代わりに使われた挙げ句、転生先に選ばれた世界は地球と比べて、かなり文明が遅れた社会。
これで詫びだと言うなら、神様は酷すぎる。
この生活が当たり前だった時ならいざ知らず、今の俺は地球で過ごした記憶があるのだ。
なんでも手作業の此処とは違い、あの世界には家電製品が充実していた。
神様には悪いけど、この世界のどこにあの世界よりも有利な点があるのか。
「文明の違いは確かにあるだろうが、それとは別に、この世界は君にとってどこか懐かしく感じられるはずなんだ。ほら、この景色だって見覚えがあるだろう? それとも汚染で汚れた魂が癒えるまでに時間がかかりすぎて、記憶が戻り切ってないのだろうか?」
訝しげな顔でこっちを見てくる神様に対して、多分俺も同じ表情を浮かべてると思う。
なぜなら、
(見覚えも何も、生まれた時からこの世界でこの景色だったよ神様!)
そんな当たり前の景色に、懐かしさなんて当然感じるわけがない。
しかもここに生まれてから7年しか経っていないのだ。
まだ懐かしく感じる齢でもないと思う。
俺の思考を読んだ神様が「そうじゃない」と言うように、首を横に振りながら溜め息を吐く。
「──なら『eternal fantasy world』というゲームに聞き覚えはないか?」
これなら分かるだろう、と確信に満ちた声音だ。
「えたーなる、ふぁんたじーわーるど?」
なんだそれ?
あ、いや……、あれ?
どこかでそんな名前を聞いた気がする。こう、何だろ……。
うん。その名前を聞くと、すごく懐かしい感覚が湧いてくるような。
その時、頭の片隅で懐かしい声が聞こえてくる。
『姉ちゃん、今さ☓☓☓ってゲームが──』
これは前世の弟の声だ。
あの時の会話は、確か──……
「あっ」
思い出した!
あれだ。弟が猛ハマりしていたゲーム!!
そのゲームのタイトルが、確かそんな名前だった!
思わず神様を見ると「当たりだ」と言うように、満足そうに頷いてくれる。
「そうだ。ここはあの世界がモチーフとなっている。どうだい? 君なら有意義に過ごせそうだろう?」
「はい?」
自信満々に有意義だろうって言われても……いや、何で?
むしろ断言される意味が分からない。
この世界は『弟がプレイしていたゲーム』までは理解出来る。
それが何で『俺にとっての有意義に繋がる』のかが、全く理解出来ない。
困惑する俺を他所に、神様は、なおも話を続けていく。
「ただ、君のためと言うのも嘘ではないが、他の理由ももちろんある。私だけの力で『世界』を築こうとすると、どうしてもテクノロジー分野に比重が傾いてしまうんだ。そうなると、また同じ悲劇が繰り返される可能性もあったしね。ではそれをどう回避すればいいかと考えていた時に、ちょうど君の弟がプレイしていたこのゲームに出会ったんだ」
「……はい」
分からないながらも、とりあえず頷いとく。
最後まで聞けば、もしかしたら有意義って言った意味が分かるかもしれないし。
て、この世界が? え、えぇ……?
有利ってあれでしょ。前世で言う、勝ち組みたいなもんでしょ?
ないない。ないから。
むしろ負け組代表って言われた方が、まだ納得出来るから。
(そもそも前世の方が生活水準も高くて、圧倒的に有利だったよ神様!)
魂をスイッチ代わりに使われた挙げ句、転生先に選ばれた世界は地球と比べて、かなり文明が遅れた社会。
これで詫びだと言うなら、神様は酷すぎる。
この生活が当たり前だった時ならいざ知らず、今の俺は地球で過ごした記憶があるのだ。
なんでも手作業の此処とは違い、あの世界には家電製品が充実していた。
神様には悪いけど、この世界のどこにあの世界よりも有利な点があるのか。
「文明の違いは確かにあるだろうが、それとは別に、この世界は君にとってどこか懐かしく感じられるはずなんだ。ほら、この景色だって見覚えがあるだろう? それとも汚染で汚れた魂が癒えるまでに時間がかかりすぎて、記憶が戻り切ってないのだろうか?」
訝しげな顔でこっちを見てくる神様に対して、多分俺も同じ表情を浮かべてると思う。
なぜなら、
(見覚えも何も、生まれた時からこの世界でこの景色だったよ神様!)
そんな当たり前の景色に、懐かしさなんて当然感じるわけがない。
しかもここに生まれてから7年しか経っていないのだ。
まだ懐かしく感じる齢でもないと思う。
俺の思考を読んだ神様が「そうじゃない」と言うように、首を横に振りながら溜め息を吐く。
「──なら『eternal fantasy world』というゲームに聞き覚えはないか?」
これなら分かるだろう、と確信に満ちた声音だ。
「えたーなる、ふぁんたじーわーるど?」
なんだそれ?
あ、いや……、あれ?
どこかでそんな名前を聞いた気がする。こう、何だろ……。
うん。その名前を聞くと、すごく懐かしい感覚が湧いてくるような。
その時、頭の片隅で懐かしい声が聞こえてくる。
『姉ちゃん、今さ☓☓☓ってゲームが──』
これは前世の弟の声だ。
あの時の会話は、確か──……
「あっ」
思い出した!
あれだ。弟が猛ハマりしていたゲーム!!
そのゲームのタイトルが、確かそんな名前だった!
思わず神様を見ると「当たりだ」と言うように、満足そうに頷いてくれる。
「そうだ。ここはあの世界がモチーフとなっている。どうだい? 君なら有意義に過ごせそうだろう?」
「はい?」
自信満々に有意義だろうって言われても……いや、何で?
むしろ断言される意味が分からない。
この世界は『弟がプレイしていたゲーム』までは理解出来る。
それが何で『俺にとっての有意義に繋がる』のかが、全く理解出来ない。
困惑する俺を他所に、神様は、なおも話を続けていく。
「ただ、君のためと言うのも嘘ではないが、他の理由ももちろんある。私だけの力で『世界』を築こうとすると、どうしてもテクノロジー分野に比重が傾いてしまうんだ。そうなると、また同じ悲劇が繰り返される可能性もあったしね。ではそれをどう回避すればいいかと考えていた時に、ちょうど君の弟がプレイしていたこのゲームに出会ったんだ」
「……はい」
分からないながらも、とりあえず頷いとく。
最後まで聞けば、もしかしたら有意義って言った意味が分かるかもしれないし。
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