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17.全部アイツのせい ※
力の入らない足を引きずるようにして、何とか数m先のトイレに辿りつくことが出来た。
覚束ない足取りで奥の個室まで歩きながら、他に人がいないかをちゃんと確かめておく。
うん、大丈夫そう。俺の他には誰も居ねーな。
念の為に手前ではなく最奥の個室に入った。力の入らない手では鍵をかけるのにも一苦労する。
これだけの動作でも倦怠感がすごいし、息も切れる。
ぶるぶる震える手でなんとか鍵を掛けることは出来たけど、ここまでが限界だった。
とりあえずこれ以上歩かなくてもいいんだと分かった途端、全身の力が抜けるように膝が笑い出した。
扉を背にしたまま、その場にズルズルとしゃがみ込んでしまう。
火にくべられたように身体中が熱をもって苦しい。
汗はダラダラ流れるくせに、熱が一向に外に発散出来ないせいで、どんどん内部に溜まっていくみたいだ。
何かが肌にまとわりつくような不快感がすごい。
とりあえず、ちゃっちゃとクララを始末して楽になろうと、ベルトに手をかけた所でピタリと止まる。
──待てよ。
こんな状況とはいえ、汚いトイレの床にそのまま座るのは何か嫌かも。
今すぐ抜きたい気持ちを抑えつつ、震える足を叱咤しながら目の前の便座に縋り付くようにして、その上に腰を下ろした。
よし、これで安心して抜ける。
ホッと息を吐いたものの、パンツの中が最高に気持ち悪かった。
思わず顔を顰めてしまう。
早くしないと我慢汁のせいで、ズボンにまでシミを作っちゃうんじゃねーの、これ。
それくらいの勢いで、中身がグチョグチョになっている気がする。
ほんとクララさん…。なんでこんなに大興奮なんだよ?
自分のちんこながら呆れてしまう。
とりあえず急いで前を寛げようとしたけど、その前にベルトという関門に泣かされた。
(くそっ、力が入らないせいで上手くこいつが外れねぇよ…!)
無駄にガチャガチャと、音だけを響かせてるみたいになってんじゃん!
それでも涙目になりながら、なんとかベルトとチャックを外し終えると、中からブルンとちんこが飛び出てきた。
「は……、はぁ……、はぁ……」
我慢しすぎたせいで、ちんこが涙でべとべとに濡れそぼっている。
たまらずに震える指でクララを握ったら、突き抜けるような快感が脳に走って、それだけでイッてしまいそうになった。思わず縋るように自分のペニスを握りしめて、刺激に堪える。
「ふ…っ、ふぅ……、はぁ……っ」
どうしよ。握っているだけなのに、気持ち良すぎるんだけど……。
思う存分『擦り上げたい!』という欲求はあるけど、与えられる快感が強すぎるせいで、下手に指を動かすことも出来ない……。
(とりあえず落ち着け…落ち着け……)
ふぅふぅ息を吐いて快感をやり過ごす。
固まったように動かせなくなっていた指を、恐る恐るゆっくりと上下に動かした瞬間──…
「────ぅ…っ、あぁああああ……ッ!!」
脳天に火花が散ったような衝撃が走って、気づくと喉から悲鳴のような声が漏れ出していた。
止める間もなく、ビュクビュクと鈴口から精液を吐き出す。
精子が尿道を通る刺激にさえ、軽くイッてるような感覚。
ただの射精のはずなのに、脳が焼け爛れるほどの快感に襲われた。
止まらない射精感に腰が戦慄く。
「は…っ、あ、はぁ…っ、はぁ…っ、ん──…」
ぶるりと腰を揺らしながら、中の残滓を絞り出すように指で扱くと、やっと安堵のため息をつくことができた。
目の裏がまだチカチカする。痺れすぎた腰が自分のものじゃないみたいだ。
まさかこんなにオナニーで感じるとは思ってなかった。
溜まりすぎだとしても異常すぎる。
まじでどうしちゃったんだよ、俺の身体……。
汗で額と頬に張り付く髪の毛が煩わしいけど、腕を持ち上げるのさえ億劫に感じる。
喘ぎすぎてカサつく唇を舐めるように湿らせながら、ドロリと淀んだ目で、床と制服を汚す自分の精子を見る。
見ても『あー、やっちまったなぁ』とは思うけど、どこか他人事のようだ。
とにかくもう、動くのも考えるのも面倒くせぇ。
怠い身体を後ろのタンクに預けるようにしながら、虚ろな視線でボーッと扉を眺める。
片付けなきゃいけないのは分かっていても、動こうという気力が湧いてこねぇ……。
「──もう教室に戻ったのかな、あいつ…」
ボーッとしたまま考えるのは悠の事だ。
そろそろ昼休みが終わるはず。
真面目な奴だから、あのまま先輩と抜け出すようなことはしないだろうけど。
「あ──…、連絡先の交換くらいしとけば良かったな…」
ポツリと呟いてしまう。
なんとなく聞きそびれたまま、未だに悠のスマホの番号さえ知らない。
知ってたからって、ちんこ出したままのこんな格好でSOSなんて出せないだろうけど、なんだか無性にアイツの存在が懐かしくなってきた。
つーかちんこ出してても、アイツなら表情も変えずに『大丈夫か?』って普通に言ってきそう。
『これを使え』って嫌がらずにハンカチも貸してくれそうだよな。
やっぱハンカチも、あのいい匂いがすんのかな?
……ちんこ出しっぱで考えることが『悠の妄想』って、だいぶ頭がおかしいな俺。
ただ…今はあいつからたまに香ってくる、あの爽やかな匂いが無性に嗅ぎたいんだよ。
あれが鼻に入ってくると、何かすげー落ち着いた気分になるんだ。
「悠……」
呟いた途端、腰がゾクリと快感に震えた。静まっていた身体も、また発熱し始めている。
(え……何で……!?)
出番は終わったはずだろ?
なのに何でお前はまた元気を取り戻そうとしてくんだよ。意味が分かんねぇよ!
頭が混乱する。
だっていつもは不甲斐ないはずのクララが今日に限って『俺はまだやれるぜ!』と無駄に元気アピールをしてくるんだぞ。本気で意味が分からない。
戸惑っている間も、どんどん身体が熱くなってくる。
背骨にへばりつくような快感が抜けない。
そこでハッとした。悠の言葉が突然脳裏に蘇えってくる。
《 吸い込みすぎると毛穴にフェロモンが入り込んで、のぼせたりするしな 》
あの時はΩのフェロモンの話をしていたけど、これがαにも当てはまるとしたら──…?
(……原因はアイツか!!)
本当かどうかは分からねぇ。けど、今となってはそれ以外考えられない。
さっきから肌に感じるへばりつくような不快感も、悠のフェロモンが原因なら、この意味のわからないクララの反乱にも納得がいく。
αのフェロモンにそんな効果があるのかは分からねぇけど、もしかしたら純血種にはそういう力があるのかも。
憶測だけど、なんとなくその考えで合っている気がする。
さっきもあいつの匂いを思い浮かべた途端、身体が熱くなってきたし。
これで勃起の謎は解けたけど、怒りと熱は治まってくれない。
どうすればいいんだこれ……。
ちんこを前に途方にくれてしまう。
身体は勝手にどんどん高ぶっていくし、またもやクララがアップを始めてるんだけど……。
(あー、もう! クソッ!クソッ!クソ……!!)
悠のフェロモンに、勝手に興奮しているみたいなのが悔しい。
友人をオカズにオナニーしているような気分になってきた。
情けないって気持ちと申し訳ないという後悔が襲うけど、クララだけは俺の気持ちとは裏腹に、元気よく勃ち上がっている。
……つーかここまできたら、もう一回抜くしかないんだけどさ。
ゆるゆると擦り上げるだけで、我慢出来ないほどの快感が襲いかかってくる。
「あ…っ、あぁああ…んん……っ」
頭が蕩けそうなほどの快感に、声を押さえるのさえ、どうでもよくなってきた。
とにかく今は気持ち良くなりたい……!
ただその一心で、ちんこを上下に扱き上げている。
擦るごとに先端から我慢汁がとめどなく溢れてくる。それがさっき出したばかりの精子と混ざり合って、握る手はもうグチャグチャだ。
それがローション代わりになって、すげー気持ちいい…。
「あっ、うん…ぁ、はぁ…っ、あっ──…んっ」
下腹部から立ち昇る快感のせいで、乳首がぷくりと膨れあがってくる。
くそっ。何度もオナニーはしてきたけど、乳首が立ったことなんて今までねーくせに。
今日に限って何でこんな飾りみたいな粒が、すげー感じるんだよっ!
ペニスを擦る動きでシャツも動くのか、そのたびに乳首が刺激されて、今すぐ乳首をこね回したくなってくる。
「ぁ……んっ、も、くそ……っ」
ジンジン痺れるような刺激に、乳首を思うさま掻きむしりたい衝動に陥るけど、ここはしっかり我慢だ!
普段ちんこが勃たねぇくせに、乳首で快感なんか感じるようになったら、男として色々終わってしまう気がする。
乳首から必死で意識を逸らすようにしながら、一心不乱にちんこを扱きあげる。
今誰かがこのトイレに入ってきたら、音と匂いでオナニーしてんのが一発でバレるんだろうな。
多分マジでこの瞬間、誰かが中に入ってきたとしても、途中で指を止めれる自信がない。
「あ……はぁっ、きもち…い……っ」
良すぎて頭にモヤがかかってきた。
出したい……。出したい……。
「っふぁ…、は、ぁ…んあっ、…も、イく…っ!」
ブルブル腰が震えてくる。
開きっぱなしになっている口元から、涎が垂れ落ちる刺激だけでもゾクゾクする。
あつい……。あつい、あつい……。
吐き出す吐息にも熱が籠もってきた。
小刻みにヒクヒクと震える身体から、ブワリと汗が吹き出る。
……無理。あ、イク……!!
「~~~~~─────…ッッ!!」
ギュッと瞼を瞑って刺激に耐えようとするけど、身体が馬鹿みたいにガクガク揺れる。
頭の中がハレーションを起こしたみたいだ。チカチカする。
精子を絞り出す自分の手の刺激だけでも、身体が仰け反るほどに気持ちがいい。
「……ひ…っ、ぅ……、はぁ…っ、はぁ……っ」
快感が強すぎて、啜り泣くように息を吐き出す。
心臓がバクバクいって破裂しそう。
なのに息を整える暇もなく、またゾクリとした痺れが身体の中に走る。
(何これ……全然治まらないんだけど……)
果てが見えない快楽にゾッとした。
───疼きは俺の精子を空にするまで治まってはくれず、結局途中で意識を飛ばすまで、俺の一人遊びは続行された。
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