イケメンがご乱心すぎてついていけません!

アキトワ(まなせ)

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65.悠との夜④ ※

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 ぼろぼろ涙を零しながら悠の肩に顔を埋めて泣きだすと、悠がハッとしたように中から指を引き抜いた。
 
(くそ…っ。抜くのが遅ぇんだよっ、馬鹿野郎!!)
 
 抜く時の刺激にさえ身体がブルリと震えて、またそれにも泣けてくる。
 悠が慌てたように俺の腰を抱えると、そのまま勢い良く上半身を起こした。
 
 ──こんな時だけど、俺を抱えたままで良くそんなに軽々と起き上がれるよな。
 やっぱこれも腹筋力の差か?
 いきなり身体が浮き上がった時は驚いたけど、対面座位の姿勢のまま、グスリと鼻を鳴らす俺を悠が力いっぱい抱きしめてくる。
 
「アキ、ごめん。嫌だったよな。もうしないから…っ。ごめん、泣き止んで…」
「……泣いてねぇ……グズ…ッ」
 
 狼狽したような声で、悠が背中をポンポン叩いてくる。
 
(子供扱いすんじゃねーよ。全っ然平気だしっ)
 
 ……ただちょっとそこのティッシュは取ってくれ。
 
 顔を背けるように、ティッシュ箱に向かって腕をブンブンと振っていたら、気づいた悠が中から数枚取り出した物を渡してくれる。
 ん、サンキュ。
 重ねたものでチーンッと鼻をかむけど、すぐにまた涙が溢れてきた。
 クソ…ッ、情けねぇ。
 
『泣き止んで』って言われても、普段泣かないせいで、涙の止め方がイマイチよく分かんねぇんだよっ。
 身体は気持ちいいけど、後ろの気持ち良さに心がついていかないだけだっつの。
 あんな所で感じたくなんてなかったんだよっ。
 
 
 あー、もう……。
 俺こんなに泣いて、すげー恥ずかしい。
 泣いてる顔を見られたくなくて、悠の肩口に顔を埋めるようにして隠しながら鼻を啜る。
 そんな俺の背中を、悠がずっと優しく擦ってくれるせいで、また涙が溢れてきた。
 くっそぉお…っ。
 俺の涙腺、崩壊しすぎだろ!!
 
 
 
 ◆◆◆
 
 
「──なぁアキ。今度は気持ち良いことだけしようか。アキはおちんちんの気持ち良さは好きなんだろう?」
 
 俺が落ち着いてきたのを見計らって、悠が優しい声でそう提案すると、俺と自分のちんこに手を伸ばしてきた。
 ローションの滑りと、俺の先端からダラダラと零れ落ちる先走りを指で混ぜるようにしながら、両ちんこに塗りつけられる。
 そのままリズミカルに扱きあげられると。
 
 うわっ…。めちゃくちゃ気持ちがいい!
 
 恥ずかしさで少し不貞腐れ気味だった気分も、どこかに行っちまった。
 快感の力ってすげぇ!
 
「あ…っ、悠。それ、好き……」
「嫌じゃない? ちゃんと気持ちいい?」
「ん…っ、ヤじゃない。はぁ…っ、きもち、ぃ…っ、あ、そこ…っ」
 
 先端部分を悠の大きな手で塞ぐように擦られんのが、堪らなく悦かった!
 
「ここ? アキはここが好きなの?」
「ぅ…ん…っ、うん…っ、はぁあああ…っっ!」
 
 泣いてしまったせいか、今日の悠はとてつもなくサービスが良い。
 いつもは無駄に焦らしたりと、余計なオプションを付け加えてくるくせに、今は俺のリクエストに忠実に応えようとしてんのが分かる。
 これが俗に言う『仲直りセックス』というものだろうか?
 
 うん、悪くない。
 悪くないぞ。なかなか良いじゃないか!
 これだけサービスが良いなら、思う存分この機会に甘えてやろうって気にもなってくる。
 
 
(それに悠にはどうせ、みっともなく泣く姿を見られちまってんだ)
 
 
 今更取り繕ったって、どうしようもねぇ。
 こうなったらノリノリで快楽に没頭するまでだ!!
 
 ギュウウッと悠の背中にしがみつきながら、さらにおねだりを強行する。
 
 
「悠、悠…っ、もっとそこ強くがいいっ。グリグリってやってみて……っ」
「こう? それともこのくらい?」
「あっ、さっきの! さっきの強さでグリグリって…!」
「ん。アキはこうされるのが好きなんだ?」
 
 しがみつく俺の首筋にチュッとキスを落とすと、悠が手首を捩るようにして亀頭をグリグリと刺激してくる。
 途端、身体中から汗が吹き出るくらいの快感が襲ってきて、思わず悠の背中にきつく爪を立ててしまった。
 
「あ…っ、あ…っ、あ…っ!! ヤバい…っ! それ、ちんこヤバいっ!!」
 
 まじでやばいっ。何そのテクニック!!
 自慰の比どころか、俺至上最高に気持ちのいい、ちんこ擦りだわ!!
 完璧にαの才能の無駄遣いってレベルだぞ!!
 
 ブルブルと身体を震わせながら、強すぎる快感にまたもや涙が溢れ始めた。
 
「可愛いよ、アキ。もっとアキの好きなところ、オレに教えて?」
 
 俺の流した涙を唇を寄せて吸い取ると、乳首に這わした手で周りを優しく撫で回した後に、親指の先で先端をクリクリと擦られた。
 
「は…っ、ぅンン…っ」
 
「ここも好き?」
 
「んっ、すき…っ」
 
「…舐められるのは?」
 
「すき…あ、ぁあっ、お前の舌、すき…っ。ヤじゃないっ」
 
「いい子だね、アキ。もっとおちんちん気持ち良くしてあげるから、いっぱいオレにアキの事を教えてくれる?」
 
 
 耳の中に睦言のように甘く囁いてくると、弱い亀頭部分と乳首をさらに執拗に攻められて、失禁しそうな快楽に我を忘れる。
 足がシーツを掻くように突っ張ってきた。
 
「ん───~~ッッ、もっ、むり…っ! からだ、溶けるっ!!」
「溶けていいよ。オレでもっと溶けて」
「はぁ…っ、はぁ…っ」
 
 悠に触られると、本気で脳みそが蕩けそう。
 これはやばい。
 マジで依存症になったらどうしよ……。
 尻は触られたくねーけど、悠にちんこを扱かれんのは好きかも。
 さっきから縋り付いてる悠の汗ばんだ身体からも、甘くて良い匂いが漂ってきて、離れたくないって気持ちになる。
 
 はぁ、この匂いめっちゃ好き。
 悠の手も好き。キスも好き。
 全部を手に入れている今は、最高に幸せな瞬間なのかもしれねぇ。
 
 
(このままイッちまったら、俺……ほんとに昇天すんじゃねーのか?)
 
 
 怖い。腹上死なんて洒落になんねぇ。
 こんな理由で死んだなんて知られたら、姉ちゃんも泣くに泣けねーだろ。
 ほんとヒデー男だわ、コイツは。
 
 胸を喘がせるようにハァハァしていたら、一旦手を止めた悠が俺の身体に、愛おしそうにキスをしてくる。
 そんなただの軽いキスでも、敏感になった肌には刺激になるのか、キスの度に身体がピクッと揺れた。
 
「あ…っ、あ…っ、あ…っ……」
「はぁ…っ、アキ可愛いね。全部可愛い……好きだよ」
  
 ……どこが可愛いんだよ。
 目の補正がヤバすぎんじゃねえの?
 今の俺はアヘアヘ言うだけの、ただのアホ面だぞ。
 そんなものを可愛いなんて言えんのは、お前くらいのもんだっての。
 
 
 あぁ…あぁ……。
 ダメだ……。思考が散乱する。
 白く濁る……。
 
 早く…白いの、ビュービュー出しちまいたい。
 そんでお前なんか、俺のモノでドロドロに溶かされればいいのに……っ。
 
 
「んん…っ、悠、キスしよ。…なぁ、キスしたい」
 
 口の中から少しだけ舌を出すと、悠がすぐに貪るように唇を吸ってくる。
 柔らかくて温かい舌がすぐに口の中に入ってきたのに安心する。
 迎えるように、自分から舌を絡めに行った。
 
 あ……キスしながら扱かれんの、すげークる。
 
 下っ腹が熱くて堪んない。
 なんかもう、本当に溶けてないのが不思議なくらいに、身体がドロドロの甘さに浸かっているみてぇ。
 悠を熔かすどころか、俺の方が限界を迎えそう。
 
「アキ…イキそう? 身体、すごく熱い。ほら、いいよ。イッて?」
「ぁ…っ、ああンンっ、…ぃ、あっ、ぁああぅ…っ、はぁ、はぁっ」
 
 悠が追い上げるように、扱く速度を上げてきた。
 頭が真っ白になる程の快感が襲ってきて、今にもイキそうだと思ってたんだけど。
 
 
 
 …………あれ?
 
 
 
 身体は限界まで昂ぶってるはずなのに、何故だかイケない。
 快感を邪魔するように、項がピリピリと痛痒く、疼いている。
 ちんこはもうパンパンで痛いくらいなのに、何かで塞き止められてるかのように、最後の一線が越えられねぇ感じ。
 腹筋に無駄に力が入るせいで、だんだんと体力が削られてくる。
 
(よく分かんねーけど、項が我慢できないくらいに熱くなってきた…うぅう、痛ぇっ!!)
 
 そういえば身体の中に溜まったフェロモンって、悠が噛んでくれないと抜けなかったんじゃねーの?
 これもその一種か…?
 
 なんで悠が噛むと、ソレ・・が抜けるのかについては未だによく分かんねー。
 けど、実際に悠が鍵を握ってんのは確かなんだ。
 この苦痛を逃がすことが出来るんなら、何でもいい。
 早く何とかしてくれって思う。
 ずっとお預けを食らってるみたいで、頭がおかしくなりそうだ。
  
 最後の希望に縋るように、潤んだ目を悠に向ける。
 
「はぁ…っ、はっ、……アキ?」
 
 俺の視線に気づいた悠が、不思議そうにこっちを見てくる。
 

 うん、なんか悠に噛まれたらイけそうな気がしてきた。
 前回も痛かったのに、噛まれながら何故かイく事が出来たし……。
 未だにあの痛さでよく射精出来たなって思うけど、前回出来たんなら、今回だって同じように出来るはずだ。
 

(肌に食い込むあの歯の感触……まだ、覚えてる)

 
 気がついたら悠の唇を、親指の腹でなぞっていた。
 
「アキ? どうし……」
 
 尋ねようと口を開けた悠の前歯を、中に入れた指の先で触ってみた。
 
 
 硬い──これで思いっきり噛んでもらえたら……。
 
 
 あんなに痛くて嫌だった筈なのに、今はすごく噛まれたい。
 戸惑う悠の口元に、熱を持ったように脈打つ首筋を近づけた。
 

「なぁ悠。項、噛んで。お前に噛まれたいんだ」
 
 
 
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