転移しちゃいました!?

みおん

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-Anotherstory- 転生した人も

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今日は玲と出かけている。
今は玲の買い物が終わったから、私の買い物についてきてもらっている。
「優愛ー!このお店?」
「あ、うん!ありがとー!」
今日は母の日のプレゼントを買いに来ている。
数時間後―
「楽しかったねー」
「うん!また一緒に行こー」
「そうだね、優愛」
そしてぼーっと歩いていたら…
「優愛!」
「え?」
何か、衝撃を受けて私は意識を失った。

「優愛!優愛!しっかりしてよ!ねえ!」
優愛はトラックに撥ねられてしまった。
血がダラダラと流れ出ている。
優愛に何度呼びかけても返事がない。
血はどんどん流れ出ていて、止まる様子がない。
周囲の人たちが119番や110番にかけてくれている。
止血をしようとしている人もいる。
でも何となく優愛がもう意識を取り戻さないことがわかった。
でも諦めきれない。
優愛…目を覚ましてよ…
優愛!…優愛!

私の中から何かが流れ出ていることが分かる。
これは何…?
「アンニョフ」
へ?
「アオギョマユア。アオギョマシロンゾムユアッセミヤヌ。デンゾムシロンゾシケンヨフキヤヌ」
え?何語?いやいや、私日本人なんだけど…?いや、話してるのは日本語か?でも全然意味が通じてない…アオギョマユア?まじで何語…?
「あなたのわかる言語で話しましょう」
あ、わかる。というか今私はどういう状態なんですか?って言うかあなたは誰ですか?
「ハンソヨサネエザモミベヌア?」
「ルナ」
「カアニヤキサ」
あの~、説明していただけませんかね?
「私の名前はルナ。」
いや、そっちじゃなくて、今私どういう状況?
「えーっとあなたの状況は、トラックに跳ねられて死にそうな状態ですね」
え?私死ぬの?
「左様でございます。私はあなたの案内をしに参ったのです」
どゆこと?死ぬんならこのまま意識なくなるんじゃないの?
「輪廻転生ですよ」
なんか呆れてない?
「あなたがなかなか理解をなさらないものですから」
馬鹿で悪かったな
「さて、ようやく本題に入れますね。ユア、あなたには国を選んでいただきます」
国?…なんかRPGみたいだね
そう思った瞬間、パネルが目の前に出現した。その中では、人々が歩いていたりしている。
「ファンタジア。あなたはファンタジアに転生していただきます。騎士の国、魔法の国…etc...」
ファンタジア。めっちゃファンタジーの匂いぷんぷんじゃない…。って言うか名前そのまんま…
パネルの中の映像が消えた。
「ヤッセ!ヤガイエンアミキョフキセハミ!」
「あ!忘れてました!」
???どうかしたんですか?忘れてた…?はあ?一体…
「ごめんなさい!一つ過程が抜けていました!」
過程…?抜けてた…?
そう思うと同時に私の意識は消えていった
そうして次に目が覚めると…
「よう」
「え?誰?」
訳の分からない男の人が立っていた。さっきからなんなんだ…?転生だとか…転生しかないか
「俺はお前の案内人。お前が死んだから未練解消の手伝いをしに来た」
「あ、それ本で読んだことある。人は一つの未練を持って死ぬって」
「物分りが良くて助かる」
「んでその未練を解消しなきゃ地縛霊になるって」
「ほんとに知ってるんだな。びっくりだ」
「私の未練は何?」
「…折り合いついてるんだな」
「うん。もう死んでるってわかってるし。さっき、転生させられそうになったからね」
「それはこっちの手違いだ。悪い」
「いいよ、別に」
「じゃあ、お前の未練は人だ。名前は一戸玲」
「友達だ」
「さ、場所はわかる。行くぞ」
「うん」
「ほんとに全然戸惑わないんだな」
「だって人はいつかは死ぬでしょ?」
「は?」
「人はいつか死ぬんだから、私はそれが早かっただけ。玲は死んでないんだよね?」
「ああ」
「じゃあ、行こ。大体の場所はわかるんでしょ?」
「ほんとに物分りがいいな。玲の家だ」
「おけ」
玲の家に着いた。誰も出てくる様子がない。
「ここだな」
「じゃあ、行ってくる」
「おう」
ドアを開けると玲の靴しかなかった。ということは今家にいるのは玲一人ってこと。安心した。私の姿は未練解消中、玲にしか見えない。それがあったから…
「玲ー?」
そして玲を見つけた。私と玲が僅かに光り出す
「玲」
「優愛!どうして?死んだんじゃなかったの?」
「うん、死んだね。私」
「じゃあ…どうして…」
「未練解消。私は未練の解消をしに来た。私が死ぬ前に思い描いたのは玲だったから」
「私なんだ。お母さんとかじゃなくて」
「うん。最期まで一緒にいたのは玲だから」
「最期って…優愛、私ね…トラック見えてたんだ。でも優愛を止められなくて…」
「うん。でもね、玲。私はこれから面白い体験をしそうなの話せる機会があったら話すね」
「うん…」
「そんなに気を落とさないで。私なら大丈夫だから」
「優愛」
「何?」
「私…」
ふと玲の姿を見ると光が薄くなっていた。きっと玲からは私が薄く見えているはずだ
「…そっか」
「え?優愛?何その意味深な言葉…あ」
「ごめんね、玲 」
「優愛…」
「玲はもっともっと遅く私のところに来てね。すぐにでも私のところに来たら怒るから」
「優愛…うん、わかった。頑張って長生きするね。だから、今度会った時はおばあちゃんになってると思う。それでも優愛は私のこと覚えててくれる?」
「当たり前でしょ、逆に私が玲のこと忘れてたら玲が私のこと怒ってよ」
「うん、わかった」
「お別れの時間だね」
「少しの間だけでしょ」
「バカね。何十年だと思ってるのよ」
「あはは、そうだね」
「玲、私待ってるからずっとずーっと待ってるから」
「うん、ありがとう」
「バイバイ!」
そうしてパタリと音がした。玲の手が私をすり抜けたのだ。もうすぐ私は消えるんだな…
「ああ、そうだな」
「あ、案内人さん」
「古江優愛、未練解消お疲れ様。今から次なるステップに連れていく」
「ああ、私の苗字知ってたんですね。私覚えてませんでした」
「記憶…消える可能性もあるかもしれないからな」
「そっか」
「じゃあな」
「うん。バイバイ」
そうして、私は案内人と名乗る人と別れた。出会いがあれば別れもある。そう言うけど、私の場合は今、別れの連続だ。私はいつか誰かに出会うことはあるのだろうか…?
「いらっしゃ~い!」
「は?」
「もう!忘れたんですか?ルナですよ!」
「ああ…」
忘れてた。未練解消が終わってないから未練解消してたんだった。で、輪廻転生?とやらをするらしい…。めんどw
「そんなに呆れた顔しなくったっていいじゃないですか~」
「そもそもそっちの手違いでしょ?ま、案内人さんが良い人だったから別にいいけど」
「あら?恋しちゃった?」
「恋はするものじゃなくて落ちるものだって。まあ、したことないけど」
「したことないの?」
「うん」
「あの案内人を好きになったりもしなかったの?」
「え?うん」
「ちっ」
「は?何よ」
「いや~、どーせならここにいて欲しかったなーって思ってさ」
「いや、どういう意味?わけわからないんだけど…」
「案内人に恋をしたら永久的にここにいられるの。そしたら転生なんてしなくったっていい」
「転生を…?」
「うん。でも恋はしてないんでしょ?残念!」
「まあ…」
もう一度、まともな人生を送りたい。きっと今頃迷惑をかけているんだろう。私のために泣いているのだろう。そんな母は見たくない。だから…
「それでも私は恋をしてないと言うわ」
「強い決意ね」
「さあ、次のステージへ連れて行って」
「はい」
「さっき見た。ファンタジアだっけ?」
「じゃあ、国は?」
「魔法の国で」
「へぇ…珍しいわね。魔法の国なんて…」
「いいじゃない、別に」
「否定はしないわ。それじゃ、行ってらっしゃい」
「らっしゃいって…もう私帰ってこないから」
「へ?」
そうして私はファンタジアという世界に降り立った。降り立ったって言うより、生まれた…か。私がなぜ魔法の国にしたか。こっちの方が死ににくそうだから。ただそれだけ。早死して親に迷惑をかけることだけは避けたかったから。
「産まれましたよ!かわいい女の子です!」
よ、良かったー…男の子じゃなくて…なんかこういうのって女の子が男の子にってありがちなパターンなきがして…
「あなた…名前、どうしようかしら…」
「ルナかユアだな」
「もう!読み方だけじゃない。ちゃんと漢字も考えてる?」
「ああ。ルナの方がこれで、ユアの方がこれだ」
「こういう漢字なら、ユアがいいわね」
「じゃあ、この子の名前は結愛だな」
はあああああああああ!?紛らわしすぎる!?何この一字違い!これならまだルナの方が良かった!
「あら?この子、不満そうよ?」
「おお、どうした。こんなにグズって…」
グズるに決まってるでしょ!!ふざけんじゃないわよ!前世と一字違いの名前とかほんとに嫌なんだけど!…まあ、言葉通じないんだけどね…。子供になったこと深く後悔するわ。そもそも前世の記憶あるあたり、いじめとしか言いようがなくね?死んだ時の記憶もあるだなんて…。あ、でも魔法とか覚えやすいかも。幸いここは日本語を話してるみたいだし
「泣き止んだみたい」
「あ~、それほど結愛が良かったのか~」
んなわけねーだろ!言葉がまともに喋れるんやったら、今すぐにでも文句言ってやるのに!あれは…兄か?男の子がいるみたいだ
「マ~マ、抱っこ~」
「パパじゃダメか?」
「じゃあパ~パ」
「あ~よしよし」
どうやら普通の家庭みたいだ。とにかくハイハイができるレベルに体が成長したら、本を取りに行こう。それまでこの家の観察だ。
約数ヶ月後…
この家一般的な家庭か…?なんかすっげー甘やかしてくるんだけど…?本をハイハイで取りに行っただけでめちゃくちゃ褒めるし、何をしても褒められる。私が普通に喋りだしたら、多分絶叫するんじゃないかってレベル。とりあえず、本を読んでは見るが、ただの絵本だった。魔術の本があるかパパに聞いてみる必要がありそうだ。
「パ~パ」
「結愛!?喋れるのか!?」
「パーパ、ゆあ、まじゅちゅのほん、よみたい」
「魔術?ああ、いいぞ!」
「ほんとに!?パパだいしゅき!」
「お~そうかそうか~」
「あなたー!家事手伝ってくれなーい!?」
「結愛の相手で忙しい!」
「もう!」
どうやらパパは私にベタ惚れのようだ。これのおかげで私は魔術の本を見せて貰えた。読んでみると、そこにはアルファベットで書いてあった。Icicle?氷?アイシクル?隣にはneedle?針?ニードル?このまま繋げて言ってみるか…
「アイシクルニードル!」
ほへ?こんな威力なの?そこには氷の針がたっていた。全然威力が出てない…
「結愛!?」
「あ、ママ」
「魔法?」
「マ~マ~」
「凄いわね~!」
「えへへ~」
「母さん、どうしたの?」
私の宿敵晴人がやってきた。私の兄だ。私とは三歳差だということをこいつから聞いた。めちゃくちゃ自慢してくるのだ。俺はお前より三歳も歳上なんだぞ!とか何とか…。しかも私がやること全てにいちいち口出ししてくるのだ。自分の自慢が大好きな兄なのだ。
「マ~マ~…」
「結愛、どうしたの?」
幸い、この母親は男の子だから女の子だからということで差別はしない。良い母親だと思う。父親も差別はしない。でも、兄は不服そうだ。
「母さん、結愛の相手なんてしないで僕の相手してよ!」
「もう、晴人。結愛はまだ一歳にもなってないんだからわがまま言わないでちょうだい。それに晴人はお兄ちゃんでしょ。しっかりしなきゃ」
前言撤回。ママは兄妹で差をつけるようだ。まあ、まだ私がよちよち歩きもままならない赤ん坊だからだと思うが…。そもそも兄も語彙力がありすぎなんじゃね?私の相手しないで自分の相手しろ?三歳児そんなこと言わないよ。多分…この兄もだいぶやばいやつなのか…
「それに晴人、魔術のお勉強してるの?」
「え?」
そういえば、ママが言っていた。この魔法の国は魔術の力量で、色々決まるらしい。私みたいに前世の記憶を持ったまま、この世界に転生した人は希少価値らしく、そういう人は大抵、魔術が上手いそうだ。私もその部類だといいな…。
「結愛は私が言わなくても魔術の勉強を勝手にしてるのよ?」
ママ、それがおかしいとなぜ思わない…。それは凄くおかしいんだよ?女の子がみんなこういうものだと思われてたら大変だよ…
「僕はこんなに小さい時から勉強してた?」
「いいえ、してないわ」
「じゃあ、一緒にしないで!僕勉強してくる!」
「あらあら…結愛も頑張ってね」
兄はドタバタと部屋を去っていった。ママも部屋を出ていった。ママが強すぎるんだよな…。う~ん…何やってたんだっけ?ああ、魔法を唱えたところで終わってたんだ。じゃあ、ニードルは針。えっと…アイシクルの隣に書いてあるのは…と…、Blazing?ブレイジング?多分炎属性だと思う…えっとあとはと…そんなこんなで色々解読してったら炎属性がブレイジング、氷属性がアイシクル、しかもアイシクルは水属性の役割もになっている。雷属性がライトニング、風属性がトルネード、土属性がソイル、光属性がシャイニング、闇属性がダークネス。スピリットってやつがわからなんだよね…。さっき唱えたニードルってやつは補助魔法的なやつっぽい。あとは…ダーツ?多分一直線に飛んでいくのかな?あとは全然読めない…。英語にもっと堪能だったら!ダーツを一回唱えてみるか…
「ダークネスダーツ!」
おおおお!凄い!その辺に円形の板があったから唱えたけど、真ん中に綺麗に刺さった!私ってダーツのセンスあるのかもしれない!
「結愛、今度は闇属性の魔法?凄いね~!」
「マ~マ、これ」
私は読めない単語を指さした
「ハンマーね。これは物理攻撃ができるようになる修飾句よ」
「ハンマー?」
なるほど…これは修飾句って言うのか…
「そう」
「トルネードハンマー!」
「結愛~!!壁に穴あけないでよ~!」
「あ…」
勢い余って壁を壊してしまった…。ママが呆れてる…。でもよくよく見たらわかる単語もある。mist、rain。ミストとレイン。多分ミストは霧状に、レインは雨なんだろう…。ふ~ん…風の雨とか天変地異でも起きてんのかってなるよ…。頑張って制御することを覚えないと!
「もう…まあ、子供ってこういうものよね。パパに言っておかなくちゃ!」
そうして私が一歳になる頃…
「それにしても結愛は凄いな~!」
「あなた、甘やかしすぎよ!気持ちはわからなくもないけど」
私は言葉もちゃんと話せるようになり、パパとママとコミュニケーションを取れるようになった。まだ厄介なのが…
「パパ!ママ!遊んで!」
そう、こいつ。晴人だ。こいつが私からパパ達を奪おうとするのだ。結局なんにも変わらないままなのだが…
「晴人、さっき遊んだでしょ?」
「まだ遊び足りない!」
「勉強!」
「やだ!」
「ライトニングダーツ!」
晴人の真横に魔法を打ってやった。これで大人しくなるだろ。
「結愛!?」
「何をしたのかわかってるの!?」
「晴人を傷つけようとしたの!?」
「ママちがうよ。おにーちゃんがしつこいから…」
「結愛…危ないことがわからない?」
「おにーちゃんにあたらないようにちゃんとこんとろーるしたよ」
「さすがね結愛」
「ママ!僕の心配はしないの!?」
「晴人は頑丈でしょ?男の子だし」
「もう知らない!」
あれから数ヶ月…。私は頑張って魔法を覚えた。だが、回復魔法らしきものはこの本にはなかった。
「パーパ」
「なんだ?結愛」
「結愛、もっと魔術の本欲しい」
「あ~…ゴメンな結愛。魔術の本はこれしかないんだ…」
「ぶー」
「あなた、どうしたの?」
「結愛が魔術の本が欲しいって言ってるんだ」
「あら、じゃあ市場で探してこないとね」
「やっぱり?でも破産するぞ?」
「その本は回復魔法とかないでしょ?」
「分かった。頑張って稼いで…」
「結愛に稼がせましょ。幸いダーツの魔法を操れるようだし」
「わかった」
「パパ?ママ?」
めちゃくちゃ嫌な予感がするのだが…数日後私が連れてこられたのはバーだった。そこで賭けをしようと言っている。まだ一歳になったばかりの子供にバーだとか賭けだとかって…この親は頭いかれてる!そうして、ダーツの呪文を板に唱えろと言われる。わかるよ、何となくわかる。これで私が真ん中取れなかったら魔術の本はなしなんだよね?よし、頑張るぞ!属性は指定されなかったけど、何となく危なくなさそうな、そしてよくわかんない属性スピリットを使おう!
「スピリットダーツ!」
そして見事にど真ん中に刺さった。でも周りの視線が気になる。スピリットの魔法ってそんなに珍しいのかな?ヒソヒソスピリットっていう声も聞こえるし…無属性?スピリットって無属性なの!?そりゃざわざわするんだ…珍しい魔法だから…でもこれで稼げたはずだ。だって私がダーツをするってなったら真ん中にはかけないはずだ。いくら稼げたんだろ…?
「結愛!よくやった!」
「できなくても良かったのよ?」
「パパ?ママ?」
「国に報告だ!」
「え?」
「い、一歳児なんだろ!?」
「あなた…」
「パパ、ママ、お金だけ持って帰ろ?」
「そ、そうね」
「結愛…ごめんな…」
そうして私達はそそくさと帰った。私はそれからあまり外出することはなくなった。それにパパが新しい魔術の本を買ってきてくれたのでその勉強に勤しんでいる。この本は身体強化だと思う。フィジカルアップは攻撃力アップetc…色々あるから飽きなさそうだ…って言うか魔力学院とか入れてくれてもいいんじゃない?まあ、まだ一歳だからって言うのもあると思うけど…この世界の学校も日本みたいな学校なのかな…?そうだったら暇だろうな~…蘇生魔法とか覚えたいな…テレポートとか…
そんなことを考えて日々を過ごしていると一日一日があっという間にすぎていく…そんなこんなで私は七歳になる春になった
「よし!これで大丈夫だな!」
「パパ、結愛ばっかりずるい!」
「晴人もこれくらいしただろ?」
「む~…」
「それに結愛は優秀なのよ?それに比べて晴人は…」
「う、うるさいな!人にだって得意不得意はあるって!」
今日は入学式。この話はいつもの事。こんな家族で生活してたら毎日が飽きないよ。兄は全く勉強ができないみたいだ。ママとパパが大変そうにしてた。私は一回教えたら覚えるからいいね~!って言われたけど、それは前世の記憶あってこそのものだと思う。これで前世の記憶がなかったら私は馬鹿な子だったと思う。パパたちにはそのことは伝えられてない。というか言えないのだ。ああ、だからこんなに魔法が使えるのね。だからこんなに飲み込みが早いんだね。だから、だから…こんなこと言われるのは嫌。それに兄と比べられるのも正直嫌。だって兄が言っているように人には得手不得手があるもの。そのことをいくら比べられても比べられた本人の意欲はどんどん落ちていくし。比較対象の私もだんだんうんざりしてくる。この際だから言おうかな…?
「パパ、ママ」
「何?結愛」
「あまりお兄ちゃんと私を比べないで欲しいんだ」
「は?え?結愛?」
「あのね、お兄ちゃんと私を比べすぎると魔術とか勉強を頑張る意欲が無くなっちゃうの。だからあまり比べて欲しくない」
「あ…そうなんだ」
「あと今日入学式から帰ったら話すことがあるから」
「結愛から?」
「うん」
「そ、そうか」
話とは私が前世の記憶を持った転生者だということ。だから覚えが早いこと。考えていったらキリがない。私のことをまるっきり話すつもりだ。そして入学式。ダーツの時は一歳だったから、覚えてる人はいないから全然大丈夫だった。そして何事もなく入学式が終わった。いよいよママたちに話す時が来た。前世の記憶を持っていることを…
「結愛、話って何?」
「パパ、ママ、お兄ちゃん、このことを聞いても私を軽蔑しないでほしいです。だからこんなこともできるんだねって言わないでほしいです。お願いできますか?」
「結愛…?」
「ママ、結愛がこう言ってるんだ。お願いを聞こう」
「いくらなんでも…」
「ママ、僕は信じるよ。結愛のこと」
「ええ、そうね」
「私は―…」
そして私に起こったことを全てママたちに話した。途中からママは泣いていた。そりゃそっか。私が親不孝だったとか言ってるからな…
「結愛…」
「何?ママ」
「結愛は生きてね?」
「この世界に車なんてものは無いんだからそうそう死なないよ」
「でも…」
「だから言いたくなかったんだ…余計に心配されるから。私の事なんて心配しなくていい。ママたちはいつも通りの生活をして欲しい。私もいつも通りの生活するから」
「うん…」
「私は…優愛!古江優愛です!」
「ねえ、もしかして名前が似てるからグズッた?」
「あ、バレた?」
「じゃあ改名するか、優愛に!」
「パパ、いいの?」
「あなた…」
「呼び方は変わらないからな!」
「ありがとう」
「で、戻りたいの?その…地球に」
「ううん。私はここで一生を遂げるよ。それからだね。パパ、ママ、お兄ちゃん、これからもよろしくね!親不孝しないように頑張るからね!」
「わかった」
「あとこの世界の魔法って覚え方にコツがあるんだ。お兄ちゃんに教えるね!」
「な、なんか複雑…」
「優愛の方が年上なんだからちゃんと従うのよ!」
「む~…」
「私にとっては晴人はお兄ちゃんだよ!」
「えへへ~」
こいつ、チョロい。まあ、ちゃんとママたちには私が転生者だということを告げた。でもママたちは軽蔑なんてしなかったし、私の前世の名前で呼ぶことにもなった。私的には嬉しい。ここにいていいんだって、ここは私の場所なんだって教えて貰えた気がするから。こんな最高のママたちに私は一生頭が上がらないと思う。本人を目の前にして言うのは恥ずかしいけど、誰かが聞いてる訳でもないけど、パパ、ママ、お兄ちゃん、ありがとう。私はこれからもずっとここにいていいんだよね?優愛、これが私の名前。そんなこんなで約…何年経ったんだろ?何年じゃないね。何十年とたってる。私はあまり苦労もせず魔法学校を卒業して、才能を買われて女王様の元でも働いたこともあった。女王様は変わらない。長寿っていうか不老不死みたいな感じ。多分そういう魔法を使ってるんだと思う。私?いやいや、私はそんな魔法使ってないよ。そのままおばあちゃんになった。パパとママは数年前に亡くなった。しかも同時に。お兄ちゃんはまだ元気そう。しかも私が勉強を教えたせいかめちゃくちゃ成長が早い。この世界で一番なんじゃないかって言うくらい上達が早かった。お兄ちゃんと私は結婚はしなかった。それより魔法の研究が忙しかった。パパたちには親不孝かなって思ったけど、パパたちには研究をしてた方がいいって言われたから大丈夫…なんだよね?ありがとうね…パパ、ママ。ある日、お兄ちゃんと研究をしてる時に目の前に女の子が落ちてきた!?
「いててて…」
「あれ?お嬢さん、どうしたの?」
「あれ?ここどこですか?」
「ファンタジア。あなたはどこから来たの?」
「日本…」
「日本!?」
「優愛…」
「日本から来たの?」
「うん…」
「名前は?」
「楓。小山楓」
「私は…古江優愛。よろしく」
「あ、交通事故…でなくなった…方と…同じ名前…ですね…」
「そっか…その事故からどれくらい時間経ってるの?」
「…8年くらい?…ごめんなさい…ちゃんと覚えてなくて…」
「そっかありがとう。これからどうするの?死んだって訳じゃないだろうし…」
「多分…転移だと…思います…」
「じゃあ城に案内するけど行く?」
「あ、はい…」
「じゃあ、おいで」
「優愛?」
「ちょっと行ってくるから待ってて」
「お、おう」
そうして私は城に行った。一方その頃…

「ふわあ~…」
優愛は城に行っちまったし、ちょっとの間暇だな…何してようか…ん?誰か来た
「あのーごめんください…」
「なんだ?」
「…あなたはこの国で1番魔力が強いのですか?」
「外ではそう持て囃されておるな」
「…少しご相談を聞いて頂いても良いですか?」
「…どんな相談だ?」
「私に関しての…」
「あがれ」
「わかりました…」
「なるほどな。お主ファンタジアの人間ではないな?」
「!?どうしてわかったんですか?」
「ファンタジアの人間とは全く顔つきが違うからの」
「そうなんですね…」
「…それで何を相談したいんじゃ?」
「その…私を元の世界に戻す魔法ってありますか?」
「…あるにはあるが…扱うことは難しいぞ?」
「方法があるのであれば私はやります」
「ほれ、これがその呪文じゃ。お主は見た事はあるであろう?」
「!?はい」
「ここで唱えてみろ」
「…わかりました『テレポート』」
とりあえずは大丈夫だ。こいつが戻ってきたいと願わん限りな

「楓!」
「桜!茜!」
「よかった」
「…あのあなたは…?」
「優愛よ。あなたたちは全員転移者?」
「はい…あ、あの!ちょっと手伝って欲しいことが…」
この子達の顔つきを見て何となく察した。きっとこの子達は日本に帰りたいはずだ。だってこんな所に何日もいたくないはずだ。
「帰りたいんでしょ?家においで。帰る方法教えてあげる」
「あ、ありがとうございます!!!」
「あ、あと友人が…」
「その辺も聞くから。じゃあ…魔法陣!」
「おお!」
「この魔法陣の中に入って」
「はい…」
「テレポート!!!」
「すご…」
「まあ戻るよ」
「はい!」
そうして私達は家に戻った。そうして―――
「晴人~、柚色の目をした女の子来なかった?」
「あー…帰らした…」
「はあ!?呼ぶ!」
「おけ…」
「どうやら入れ違いみたいね」
「へー…」
「まあ戻ってくるまでここにいていいよ。私はちょっと外出てくるから」
「は、はい…」
私が家を出たのには理由がある。柚って子に会いたくなかったからだ。なんかその子の気配が嫌な感じがする。気配…なのだろうか…?魔法を扱っていたのだろうか…?桜って子も何か別のものを持ってる。私が会うべきじゃないのは嫌でもわかる。できるだけ会わないように気をつけよう。そうして晴人から彼女たちが帰ったとの連絡があった。
「ただいま」
「おかえり、優愛」
「あの子たちどうだった?」
「無事怒られたよ」
「え?どういうこと?」
「俺が最初魔力を渡さなかったんだよ」
「そりゃ怒られるわよ」
「そういえば、優愛。向こうに帰りたいとか思わないのか?」
「思わないよ。だって、今が楽しいからね」
「そうか…」
「何?」
「女王様とは会ったのか?」
「あの子たち引き渡してから、話してないよ」
「話せばいいじゃねーか」
「いやよ。向こうは不老不死という選択をとって私はその選択をとらなかったんだから」
「取ってたらお前が女王だったもんな」
「うるさい」
「でも結局最強ってどっちなんだろうな」
「どういうこと?」
「最強の魔法使いだよ」
「そりゃ、永遠に魔法の研究をしてられる女王様でしょ」
「そうだよなー…」
「何々?」
「俺はお前が最強だと思うな」
「それ、私たちだけの中に留めときましょ」 
「そうだな」
そうして私達は一生を全うした。不老不死という選択肢を取った方が良かったのかもしれない。そっちの方が魔法の研究をしていられたから。でも私はその選択肢を取らなかった。輪廻転生という垣根を越えてはいけない気がしたから。そうして私はまた輪廻転生をする
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感想 1

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みんなの感想(1件)

あげぱん刑事

会話文が少し多すぎる気がしますこれだと台本みたいになってしまうかな・・・
内容的には面白いと思うので、頑張ってください。

2018.08.25 みおん

感想ありがとうございます!
会話文が多くなってしまうのは私のくせでもあるので、頑張って直します!

解除

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