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4、困惑と迷走
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恐らくこの場で1番困惑しているのはアンネリーゼに違いない。いつの間にやら城主になっていたり、唯一の配下の元・城の持ち主が伝説上の魔物だったり、自分を助けてくれた騎士に何者なのか疑われたり。
どれだけ問われたところでアンネリーゼは答えることも出来なければ表情をを変えることも無い。
ただただ、目の前のメイド、イルヴェリナが好き放題に説明し、それにつられて感情を顕にする白騎士、ヴィーネのやり取りを見続けることしか出来ないのだ。
「私が目覚めたのは、そうですね、アンネ様が私が眠っていた棺の蓋を開けてくださったからです。ああ、そういえばヴィーネ様がこの城に行くように助言されたんでしたね。そのおかげでアンネ様に出会えた訳ですしそれについてはお礼を言わせていただきます。」
美しい礼を見せながらありがとうございますとイルヴェリナは礼を言うが、言われたヴィーネの方はどうにも苦い顔である。
「まさか、よかれと思ってしたアドバイスのせいで魔物を復活させてしまう事になるとはな…。」
そんなヴィーネに対して今度なニヤリと嫌な笑みを浮かべると話の続きをし始めた。
「ですが、そんなことは実はどうでも良いのですよね。アンネ様はずっとずっと前から、そう私が生まれたその瞬間からお仕えすべき人であり、ここで出会うのは必然だったのですから。馬鹿な太陽の神のせいでこうして出会うのに何万年もかかることになってしまい、挙句の果てには人間などという脆弱な生物になってしまってはおりますが、今こうして出会い自身の指名を全うすることができることを考えると何にも変えられない喜びで溢れてしまいます。神話の時代から私はアンネ様と共にあるべきだったはずの半身とでも言った方がわかりやすいでしょうか?」
驚愕した顔を浮かべるヴィーネ。信じられないと言った表情でアンネリーゼの顔をじっと見つめる。見つめられているアンネリーゼも当然驚いている。顔に出ていないだけだ。なんでそんな嘘っぱちを、なんのためにヴィーネがついているのか皆目検討もつかないのだから仕方ないことではあるのだが。
「アンネリーゼ嬢は、本来神話上の人物であるはずであったと?信じる信じない以前にあなたの言っていることが私には理解できないな。あなたが強大な魔物であるのは認めよう。そして仮にイルヴェリナ本人出会ったとしてだ。なぜそこにアンネリーゼ嬢が絡んでくる。」
「あなたにわかるわけが無いと思いますよ。私とアンネ様は血よりも濃く、絆なんて陳腐な言葉では言い表すことの出来ない濃密な繋がりがあるのです。これは私にとっては祝福でございますが、人間になってしまったアンネ様には呪いと呼んでもいい代物かもしれませんね。私のような化け物と人生を共にしなければならないのですから。」
どこまでも空想の話にしか聞こえない内容であったが、そこに孕んだ熱の量は空想を本物であると信じさせるほどのものである。イルヴェリナように長い間生きた同種の生物であればその熱がそもそも偽りであることに気づくこともあるいは出来たのかもしれない。しかし、ヴィーネは人間であるためにその熱量を信じてしまう他なかった。
「…そんなに熱く語られてはな。事実だと認めざるを得ないだろう。確かに君たちの間には私には分からない何かしらの繋がりがあるのだろう。人になった主と化け物のまま主を待ち続けた従者か。はは、演劇にでもなりそうお話だよ。」
「私がアンネ様を大切にどれだけ大切に思っているのかわかっていただいて何よりでございます。…ヴィーネ様は王国の騎士をやめてここへ来たと仰っていましたがこれからどうすのかなにかご予定はあるのですか?」
不意に真剣な表情になったイルヴェリナじっとヴィーネを見つめて尋ねる。
「ん、ああ。今後…今後の予定ね…。何も無いな。アンネリーゼ嬢生きているようだったら贖罪も兼ねてアンネリーゼ嬢は安心して暮らせる定住地を旅をしながら探そうかと思っていたのだが、どうやらその必要も無さそうだしな。騎士を辞めてきたと言う言葉だけ見れば綺麗なものだが実際はアンネリーゼ嬢の処罰に抗議した上王の目の前で抜剣までしたからな、もはや王国に戻れはしないよ。そうだな、予定とは少し違うが1人で旅をするのも良いかもな。アンネリーゼ嬢への贖罪をと思っても2人の邪魔になっては悪いしな。」
ふっと目を伏せ憂いを帯びた顔を見せるヴィーネ。アンネリーゼは自分のためにそこまでしてくれた騎士がいた事に驚きを隠せない。周りにはその驚きは伝わらないのだが。
「でしたら丁度いいですね。ぜひアンネ様の騎士となってください。私は確実にヴィーネ様より強いですがそれでも私の不在の最中に何かあっては悔やんでも悔やみきれません。ヴィーネ様がいらっしゃればある程度安心できますのでこの申し出飲んで頂けませんかね。それに王国が何やらきな臭いようですし、この城にはアンネ様の守り手が何人いても困ることはありません。」
思わぬ誘いに驚きながらもじっとイルヴェリナの目を見るヴィーネ。
「イルヴェリナ殿がそう言ってくれるのであればぜひ護衛の仕事を請け負わせてもらおう。…贖罪の機会を与えてくださったこと感謝する。この剣に誓ってアンネリーゼ嬢の力になると誓おう。」
背に負った剣を引き抜き騎士礼をとるヴィーネを見ながら、アンネリーゼは自分の運命が改竄され迷走を始めたことに嘆息するのであった。
どれだけ問われたところでアンネリーゼは答えることも出来なければ表情をを変えることも無い。
ただただ、目の前のメイド、イルヴェリナが好き放題に説明し、それにつられて感情を顕にする白騎士、ヴィーネのやり取りを見続けることしか出来ないのだ。
「私が目覚めたのは、そうですね、アンネ様が私が眠っていた棺の蓋を開けてくださったからです。ああ、そういえばヴィーネ様がこの城に行くように助言されたんでしたね。そのおかげでアンネ様に出会えた訳ですしそれについてはお礼を言わせていただきます。」
美しい礼を見せながらありがとうございますとイルヴェリナは礼を言うが、言われたヴィーネの方はどうにも苦い顔である。
「まさか、よかれと思ってしたアドバイスのせいで魔物を復活させてしまう事になるとはな…。」
そんなヴィーネに対して今度なニヤリと嫌な笑みを浮かべると話の続きをし始めた。
「ですが、そんなことは実はどうでも良いのですよね。アンネ様はずっとずっと前から、そう私が生まれたその瞬間からお仕えすべき人であり、ここで出会うのは必然だったのですから。馬鹿な太陽の神のせいでこうして出会うのに何万年もかかることになってしまい、挙句の果てには人間などという脆弱な生物になってしまってはおりますが、今こうして出会い自身の指名を全うすることができることを考えると何にも変えられない喜びで溢れてしまいます。神話の時代から私はアンネ様と共にあるべきだったはずの半身とでも言った方がわかりやすいでしょうか?」
驚愕した顔を浮かべるヴィーネ。信じられないと言った表情でアンネリーゼの顔をじっと見つめる。見つめられているアンネリーゼも当然驚いている。顔に出ていないだけだ。なんでそんな嘘っぱちを、なんのためにヴィーネがついているのか皆目検討もつかないのだから仕方ないことではあるのだが。
「アンネリーゼ嬢は、本来神話上の人物であるはずであったと?信じる信じない以前にあなたの言っていることが私には理解できないな。あなたが強大な魔物であるのは認めよう。そして仮にイルヴェリナ本人出会ったとしてだ。なぜそこにアンネリーゼ嬢が絡んでくる。」
「あなたにわかるわけが無いと思いますよ。私とアンネ様は血よりも濃く、絆なんて陳腐な言葉では言い表すことの出来ない濃密な繋がりがあるのです。これは私にとっては祝福でございますが、人間になってしまったアンネ様には呪いと呼んでもいい代物かもしれませんね。私のような化け物と人生を共にしなければならないのですから。」
どこまでも空想の話にしか聞こえない内容であったが、そこに孕んだ熱の量は空想を本物であると信じさせるほどのものである。イルヴェリナように長い間生きた同種の生物であればその熱がそもそも偽りであることに気づくこともあるいは出来たのかもしれない。しかし、ヴィーネは人間であるためにその熱量を信じてしまう他なかった。
「…そんなに熱く語られてはな。事実だと認めざるを得ないだろう。確かに君たちの間には私には分からない何かしらの繋がりがあるのだろう。人になった主と化け物のまま主を待ち続けた従者か。はは、演劇にでもなりそうお話だよ。」
「私がアンネ様を大切にどれだけ大切に思っているのかわかっていただいて何よりでございます。…ヴィーネ様は王国の騎士をやめてここへ来たと仰っていましたがこれからどうすのかなにかご予定はあるのですか?」
不意に真剣な表情になったイルヴェリナじっとヴィーネを見つめて尋ねる。
「ん、ああ。今後…今後の予定ね…。何も無いな。アンネリーゼ嬢生きているようだったら贖罪も兼ねてアンネリーゼ嬢は安心して暮らせる定住地を旅をしながら探そうかと思っていたのだが、どうやらその必要も無さそうだしな。騎士を辞めてきたと言う言葉だけ見れば綺麗なものだが実際はアンネリーゼ嬢の処罰に抗議した上王の目の前で抜剣までしたからな、もはや王国に戻れはしないよ。そうだな、予定とは少し違うが1人で旅をするのも良いかもな。アンネリーゼ嬢への贖罪をと思っても2人の邪魔になっては悪いしな。」
ふっと目を伏せ憂いを帯びた顔を見せるヴィーネ。アンネリーゼは自分のためにそこまでしてくれた騎士がいた事に驚きを隠せない。周りにはその驚きは伝わらないのだが。
「でしたら丁度いいですね。ぜひアンネ様の騎士となってください。私は確実にヴィーネ様より強いですがそれでも私の不在の最中に何かあっては悔やんでも悔やみきれません。ヴィーネ様がいらっしゃればある程度安心できますのでこの申し出飲んで頂けませんかね。それに王国が何やらきな臭いようですし、この城にはアンネ様の守り手が何人いても困ることはありません。」
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「イルヴェリナ殿がそう言ってくれるのであればぜひ護衛の仕事を請け負わせてもらおう。…贖罪の機会を与えてくださったこと感謝する。この剣に誓ってアンネリーゼ嬢の力になると誓おう。」
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