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序章
リラックスできる環境って必要だと思うんだ
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「使徒様?
どうかされたのですか?」
「あっ!
いえ、大丈夫です。
ちょっと気になることがありまして…」
あまりにも突然に視界に表示された文章に脳が追い付かず呆けてしまっていた。
その内容があまりにも気になる。
困惑している、というのもあるが、それと同時に魔法が使えるのであれば体験してみたいという好奇心が…
もちろん他にも気がかりなことはある。
目の前にいる少女、そして、この右手に伝わるリアルな感触…
薄々感じてはいたが、オレは本当に異世界に来てしまったのかもしれない。
仮にそうだとしても、今はそれを確かめる術がないのだが…というか思いつかない?
とりあえずできることと言えば、情報収集と時間経過を待って様子を窺うことだろう。
夢であれば、いつか覚める時が来るだろうし、その時は趣味である小説の設定にも今後活かせるはずだから無駄にはならない、と信じている。
と言っても、目覚めた時に今の記憶があれば、という話にはなるが。
そして、もしもこれが現実であるとするならば…
「そういえば、えっと…
イングリッド?さん…で良かったでしたっけ?」
「はい、使徒様。
それと私めに対して敬称や丁寧語などは不要でございます。
イングリッドとお呼び下さい」
呼び捨て…ねぇ…
流石に気が引けるなぁ。
別にオレの妹や娘といった家族ってわけじゃないし、幼馴染や彼女ってわけでもないからなぁ。
そもそも今の見た目は美少女だけど、元々はブラックドラゴン。
しかも、さっきの文章が真実なら伝説のドラゴンってことになるわけ?だろ。
幸い魔力量が凄いっぽいのと、オレのことを神の使徒?だと思ってるらしいから今は良いとしても…
そんな相手に対して普段から上から目線の態度だと、もしもオレが無能だって思われたときに大変なことになりそう…
それだけは避けたい!
ただ、口調に関しては少女相手に敬語を使うのは、今後周囲から見られる場合を想定すると確かに不自然かもしれないな。
だとすると、落としどころとしてはせめて対等に近い関係ってとこか…
「そう言われても何か抵抗があって。
あまり堅苦しいのはちょっと。
だからイングリッドちゃんってのはどう?
敬称には変わりないけど、まだマシだと思うんだけど」
「使徒様がそう望まれるのであれば」
「ありがとう、助かるよ。
じゃあ、イングリッドちゃんもオレに対して普通に喋ってほしいかな。
さっきまで、我は、とか言ってたし。
それが普段の口調っぽいって思うんだけど」
「そんな!
神の御使いである使徒様に対してそのような無礼など!」
「でも、さっきも言ったけど堅苦しいのは苦手なんだよなぁ。
あと、その使徒様ってのもやめて欲しいかな」
「いや、しかしそれは!」
「オレが望むことなら、それに従ってくれるみたいなことをついさっき言ってた気がするんだけど…
あ、ごめんね。
オレの聞き間違いだったのかもしれないね」
少し意地悪な言い方だけど、これから色々と聞きたいことがあるし、この調子でずっとってのは精神的に結構キツいものがあるからな。
「…わかりました…
善処致します…」
全然わかってねぇじゃねぇか!
てことで
敢えてオレは心を鬼にして無言で彼女を見つめ続けた。
「…くっ…
…致し方あるまい…
承知した。
じゃが、使徒様という呼び名が気に入らぬのなら、何と呼べば良いのじゃ?」
あ!
そう言えばオレってまだ名乗ってなかったっけ。
「オレの名前は…」
いや、ちょっと待て!
本名を名乗るのは危ないかもしれん…
冒険者パーティー4人組と黒いドラゴンの対決シーンなんてビックリするくらいよく見かけるテンプレの展開。
ということは、オレが自分で考えてた小説のワンシーンだと思っていたものが普通に勘違いだったって可能性もある。
ここがもしも本当に異世界だとするなら、地球の総人口80億人以上の中からオレだけが選ばれたなんて可能性は宝くじの当選確率よりも遙かに低い。
つまり、オレ以外にもこの世界に召喚された人間がいると考えるのが普通だろう。
いや、ここは転移者や転生者の存在も考慮しておくべきだな。
いずれにしても、それが善人であればまだ良いんだけど…
そんな世界で、特に日本人の名前なんて名乗ったらすぐにバレてしまう。
この子もイングリッドって名乗ってたし、やはりここは欧米風の名前にしておいたほうが無難だろう。
「…ブラッド…
ブラッドがオレの名前だからそう呼んでほしい。
あと、様とかの敬称もいらないよ」
「承知した。
では以降、ブラッドと呼ばせてもらうことにする」
「うん、それでいい。
で、イングリッドちゃん。
オレに聞きたいことは他にもまだまだあるんだろ?
それに、オレのほうも聞きたいことが沢山あるんだけど、どっか落ち着いて話ができる場所ってない?」
「確かに…
このような殺風景で何も無い場ではのぅ」
だよねぇ。
本当に周りには何もない場所だもんなぁ。
にしても、ここって何処なんだろ?
と思った瞬間、またもや突然視界に文字が表示される。
魔の渓谷
聖魔法『転移』に『魔の渓谷』が登録されました
転移魔法って!
それよりも、ここが魔の渓谷って名前の場所だってことは、オレが設定してた通りの世界なのか?
「ブラッドよ。
1つ提案なのじゃが、我の国へ来ぬか?
そなたの歓迎もしたいと思っておるしのぅ」
「イングリッドちゃんの…国?」
「まぁ国と言っても、さほど発展はしておらんがな。
大陸の西方にある島国じゃ」
やっぱりオレの設定してたことが反映された世界じゃないのか?!
ブラックドラゴンは魔王の配下であって国なんて持ってるはずがない…
ああ!
考えたいことが山積みだよ!
とりあえずはリラックスして落ち着ける場所に行きたい…
「島国って。
それってここから遠いんじゃ?」
「近くはないが、今からであれば我に乗れば日が暮れるまでには着くはずじゃ」
「イングリッドちゃんに乗るってことは…
オレ、ドラゴンに乗ったことなんてないけど、大丈夫なの?!
振り落とされたりしない?」
「我の角を握っておれば問題なかろう。
頭を振りながら飛ぶわけではないし、我もその点については配慮するつもりじゃ」
「まぁ、それなら。
じゃ、頼むよ」
そう告げるとイングリッドちゃんはブラックドラゴンさんの姿に戻る。
てか、一瞬の出来事で驚いたよ。
オレはちょっと気まずい思いをしながらも彼女の頭の上に乗り、そして両手でしっかりとその角を握ると空へと舞い上がった。
どうかされたのですか?」
「あっ!
いえ、大丈夫です。
ちょっと気になることがありまして…」
あまりにも突然に視界に表示された文章に脳が追い付かず呆けてしまっていた。
その内容があまりにも気になる。
困惑している、というのもあるが、それと同時に魔法が使えるのであれば体験してみたいという好奇心が…
もちろん他にも気がかりなことはある。
目の前にいる少女、そして、この右手に伝わるリアルな感触…
薄々感じてはいたが、オレは本当に異世界に来てしまったのかもしれない。
仮にそうだとしても、今はそれを確かめる術がないのだが…というか思いつかない?
とりあえずできることと言えば、情報収集と時間経過を待って様子を窺うことだろう。
夢であれば、いつか覚める時が来るだろうし、その時は趣味である小説の設定にも今後活かせるはずだから無駄にはならない、と信じている。
と言っても、目覚めた時に今の記憶があれば、という話にはなるが。
そして、もしもこれが現実であるとするならば…
「そういえば、えっと…
イングリッド?さん…で良かったでしたっけ?」
「はい、使徒様。
それと私めに対して敬称や丁寧語などは不要でございます。
イングリッドとお呼び下さい」
呼び捨て…ねぇ…
流石に気が引けるなぁ。
別にオレの妹や娘といった家族ってわけじゃないし、幼馴染や彼女ってわけでもないからなぁ。
そもそも今の見た目は美少女だけど、元々はブラックドラゴン。
しかも、さっきの文章が真実なら伝説のドラゴンってことになるわけ?だろ。
幸い魔力量が凄いっぽいのと、オレのことを神の使徒?だと思ってるらしいから今は良いとしても…
そんな相手に対して普段から上から目線の態度だと、もしもオレが無能だって思われたときに大変なことになりそう…
それだけは避けたい!
ただ、口調に関しては少女相手に敬語を使うのは、今後周囲から見られる場合を想定すると確かに不自然かもしれないな。
だとすると、落としどころとしてはせめて対等に近い関係ってとこか…
「そう言われても何か抵抗があって。
あまり堅苦しいのはちょっと。
だからイングリッドちゃんってのはどう?
敬称には変わりないけど、まだマシだと思うんだけど」
「使徒様がそう望まれるのであれば」
「ありがとう、助かるよ。
じゃあ、イングリッドちゃんもオレに対して普通に喋ってほしいかな。
さっきまで、我は、とか言ってたし。
それが普段の口調っぽいって思うんだけど」
「そんな!
神の御使いである使徒様に対してそのような無礼など!」
「でも、さっきも言ったけど堅苦しいのは苦手なんだよなぁ。
あと、その使徒様ってのもやめて欲しいかな」
「いや、しかしそれは!」
「オレが望むことなら、それに従ってくれるみたいなことをついさっき言ってた気がするんだけど…
あ、ごめんね。
オレの聞き間違いだったのかもしれないね」
少し意地悪な言い方だけど、これから色々と聞きたいことがあるし、この調子でずっとってのは精神的に結構キツいものがあるからな。
「…わかりました…
善処致します…」
全然わかってねぇじゃねぇか!
てことで
敢えてオレは心を鬼にして無言で彼女を見つめ続けた。
「…くっ…
…致し方あるまい…
承知した。
じゃが、使徒様という呼び名が気に入らぬのなら、何と呼べば良いのじゃ?」
あ!
そう言えばオレってまだ名乗ってなかったっけ。
「オレの名前は…」
いや、ちょっと待て!
本名を名乗るのは危ないかもしれん…
冒険者パーティー4人組と黒いドラゴンの対決シーンなんてビックリするくらいよく見かけるテンプレの展開。
ということは、オレが自分で考えてた小説のワンシーンだと思っていたものが普通に勘違いだったって可能性もある。
ここがもしも本当に異世界だとするなら、地球の総人口80億人以上の中からオレだけが選ばれたなんて可能性は宝くじの当選確率よりも遙かに低い。
つまり、オレ以外にもこの世界に召喚された人間がいると考えるのが普通だろう。
いや、ここは転移者や転生者の存在も考慮しておくべきだな。
いずれにしても、それが善人であればまだ良いんだけど…
そんな世界で、特に日本人の名前なんて名乗ったらすぐにバレてしまう。
この子もイングリッドって名乗ってたし、やはりここは欧米風の名前にしておいたほうが無難だろう。
「…ブラッド…
ブラッドがオレの名前だからそう呼んでほしい。
あと、様とかの敬称もいらないよ」
「承知した。
では以降、ブラッドと呼ばせてもらうことにする」
「うん、それでいい。
で、イングリッドちゃん。
オレに聞きたいことは他にもまだまだあるんだろ?
それに、オレのほうも聞きたいことが沢山あるんだけど、どっか落ち着いて話ができる場所ってない?」
「確かに…
このような殺風景で何も無い場ではのぅ」
だよねぇ。
本当に周りには何もない場所だもんなぁ。
にしても、ここって何処なんだろ?
と思った瞬間、またもや突然視界に文字が表示される。
魔の渓谷
聖魔法『転移』に『魔の渓谷』が登録されました
転移魔法って!
それよりも、ここが魔の渓谷って名前の場所だってことは、オレが設定してた通りの世界なのか?
「ブラッドよ。
1つ提案なのじゃが、我の国へ来ぬか?
そなたの歓迎もしたいと思っておるしのぅ」
「イングリッドちゃんの…国?」
「まぁ国と言っても、さほど発展はしておらんがな。
大陸の西方にある島国じゃ」
やっぱりオレの設定してたことが反映された世界じゃないのか?!
ブラックドラゴンは魔王の配下であって国なんて持ってるはずがない…
ああ!
考えたいことが山積みだよ!
とりあえずはリラックスして落ち着ける場所に行きたい…
「島国って。
それってここから遠いんじゃ?」
「近くはないが、今からであれば我に乗れば日が暮れるまでには着くはずじゃ」
「イングリッドちゃんに乗るってことは…
オレ、ドラゴンに乗ったことなんてないけど、大丈夫なの?!
振り落とされたりしない?」
「我の角を握っておれば問題なかろう。
頭を振りながら飛ぶわけではないし、我もその点については配慮するつもりじゃ」
「まぁ、それなら。
じゃ、頼むよ」
そう告げるとイングリッドちゃんはブラックドラゴンさんの姿に戻る。
てか、一瞬の出来事で驚いたよ。
オレはちょっと気まずい思いをしながらも彼女の頭の上に乗り、そして両手でしっかりとその角を握ると空へと舞い上がった。
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本当に、ありがとうございます。
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