邪竜と聖竜に懐かれた黒騎士~設定してたイメージとは似て非なる異世界を管理中?~

フィーたら

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第1章 竜人の国

忙しいと時間経つの早く感じる時ってあるよね

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オレの名はブラッド。
この異世界ケイオスに来てからはそう名乗っている。
そして、さすがに3日以上経っても状況が変わらなかった時から、オレは本当に異世界に来てしまったのだと結論付けた。
ちなみに、この世界の名前を知っている者は今のところほとんどいないようだ。

これまで考えることや頭の中を整理することが多かった影響だろうな。
時が経つのは早いもので、オレがここ竜人の国ドラゴネシアで世話になってから今は5日目の朝を迎えたところになる。

…さて、そろそろ起きるとするか…


「おはようございます~ご主人様~」

1人で使うには余りにも大き過ぎるベッドで上体を起こすと、朝の挨拶が耳に入ってきた。
声のほうに目をやるとそこにはオレ専属のメイドが立っている。
整った顔立ちの白髪セミロング、額には2本の角があり、尻尾も生えている。
まぁざっくり説明するなら、見た目はクール系美女のお姉さんって感じだ。
…ただし…喋らなければ。
そう、黙っていれば…

「おはようリリー。
てか、オレよりも早起きなんて初めてじゃね?」

「はい~
実は~お腹が空きすぎて~あんまり眠れなかったんですよ~
だからね~ご主人様~
早くお着替えして~朝ごはんに連れてって下さいよ~」

「そっか、わかったよ」


そう返事したオレは鏡の前でとりあえず寝ぐせを確認。
顔を洗い用意されていた服に着替えると、彼女を連れて城内の食堂へと向かった。



って!おい!
一体どういう状況で何がどうなってんだよ!?
しかも、いきなり新キャラ登場させておいて、ほとんど説明無しとかあり得ないんですけどぉ!

という声が聞こえてきそうだし、オレが読者ならそう思うのでその辺りについて軽く触れておくことにしよう。



異世界にやって来た初日、この国に到着した時には空が薄暗くなっていた。
にも拘わらず、久しぶりに戻ってきた女王が急に歓迎の宴を催すとか家臣に命令を下したもんだから城内は慌ただしい雰囲気に包まれる。
しかも、オレをここに連れてきた張本人は留守にしていた時の報告やら何やらで部下達から引っ張りだこ。
そんな状況なので準備が整い落ち着くまで、先程いた部屋を用意されたオレはそこで待機することになった。

その時にオレは固有スキルであるアドミニストレータープリヴィレッジを初めて発動させたのだ。
ちなみに、発動の仕方についてだが、どうやらオレが何かをしたいと強く思った時に視界に文字が表示される。


固有スキル『アドミニストレータープリヴィレッジ』を使用しますか?

はい/いいえ


その状態で、はい、と強く思うと再び別のウインドウが現れるといった感じだ。
例えるなら、ゲームのステータス画面やコンフィグに近いと思う。

それを見る限り多種多様な設定もできるみたいだが、今は2つの項目について。


まず1つ目は装備の設定。
装備する/装備を外す を選べるのだが、初期設定は、装備する、になっていた。
なので、装備を外す、にしてみたところ、鎧が一瞬で消えてしまいTシャツを着たジャージ姿になってしまったのだ。
そして、試しにもう一度、装備する、に戻すと瞬時にフルプレートが装着された。

魔法少女かよ!
とか思ったが、ちょっとエッチな変身シーンなどはない。
当然そんな需要はないし、一瞬の出来事なのでそんなことをやってる時間もない。

ただ、気になるのは漆黒のフルプレートがどこに収納されているのか?
あと、Tシャツやジャージ、下着などは装備の対象外であるということ。
まぁ、それはなんとなくわかるが…
では一体、どのような装備品がウインドウに表示され、このような事象を引き起こす条件を満たすのか?
という点だ。


2つ目は年齢の設定。
固有スキルを使うと、いわゆる自分のステータス画面みたいなものも表示できるのだが…
なんと驚くことに年齢の設定ができてしまう!
つまり、おばさん…もとい大人の魅力溢れる女性がよく口にする永遠の17歳というのも実際に可能になるようなのだ!

それはさておき…
少し見方を変えれば、このスキルを使える限りにおいては不老不死ということになる。
もちろんこれは老衰で死ぬことはないという意味であって、外傷や病気に対してはその限りではないだろう。

ちなみに、今のオレの年齢は27歳に設定してある。
あまりにも若すぎたら舐められるかもしれないというのと、見た目と言動や考え方が一致しないのもどうかと思ってね。
かと言って、せめて20代ではありたいという願望から…
まぁ、不都合があれば設定を変えれば良いだろう。



と、設定の話をしてきたわけだけど、最後に魔法の発動について語ろう。

こちらもスキルと同様、魔法を使いたいと強く思うと使用可能な魔法がウインドウに表示される。
あとは、魔法を選ぶだけなんだけど、最初から特定の魔法を使いたいと思うとショートカットされて、使用するか否かの選択だけで済む。

ここで魔法について触れたのは、リリーが魔法によって召喚された存在だからだ。
つまり、オレが召喚魔法を使って彼女を呼び出した。

結論を言うと、リリーの正体はオレの設定の中だと本来この世界に召喚されるはずだったホワイトドラゴンだったのだ!

と、ドヤ顔で言いたいところなんだけど…

めっちゃ弱い!

その時のエピソードは後にするとして、とにかく驚くほどに弱いということは判明している。
本人もこんな物騒な世界には居たくないし、早く帰りたいと言って泣きだす始末…
その様があまりにも可哀想だったから、じゃあ元いた場所に帰っていいよって告げてみたんだけど、どうやら無理だったっぽい。

おそらくその原因は初日の夜に獲得した 称号『聖竜の導き手』 の影響だろう。
称号を得た直後に 聖魔法『召喚』 が使用可能になったし。
でも、1回使ったらもう使えなくなっちゃった…

仕方がないので、彼女に名付けをすることによって主従の契約を結び、専属メイドという扱いにして保護している。

てか、そもそもなんでオレが聖竜を守らなきゃならんのだ…
普通は逆じゃね?
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