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第1章 竜人の国
魔物に遭遇しました
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「えい~!
や~!」
と、今はリリーが一生懸命に頑張っている様をオレとイングリッド、リーゼロッテの3人で見守っているところである。
「あなたたちはここで待機していて下さい」
馬車を降りるとリーゼロッテは護衛と御者にそう告げる。
イングリッドの申し出により神殿を出たあとオレたちがやってきたのは街から離れた場所にある草原地帯。
目の前に広がる野原の先には森があり、更にその奥には岩山が見えている。
そしてなぜかリーゼロッテは、オレとリリーにそれぞれ1本ずつ剣を手渡してきた。
うん…
なんか…もう嫌な予感しかしない…
「あの~イングリッドちゃん…
これは…?」
「念の為じゃ。
森の奥まで行くつもりだが、ここから先は魔素があるからのぅ」
魔素
魔物が生きていく上で必要なものであり、人間にとっての酸素のようなものである。
逆に言えば魔素がないところには魔物は存在しないということになる。
また、この世界に住む生物にとって有害なものではない。
魔素が蓄積されると魔核という石のようなものになり、それが魔物を形成する。
その姿は様々だが、体内にある魔核を破壊或いはその機能を停止させるほどの強い衝撃などを与えることで魔物は消滅する。
この点がモンスターと呼ばれるものとの違いである。
つまり、魔物は魔核を攻撃しない限り死なないということになる。
魔素はこの世界に存在するいくつかの特殊な鉱石に吸収されるという特徴を持っている。
その鉱物が魔素を取り込むことによって変化したものが魔鉱石と呼ばれるものである。
というのが森に向かって歩きながらイングリッドから聞いた説明である。
それを聞いたオレは当然『漆黒のフルプレート』を装備した。
そして案の定…というべきか。
森に近い場所まで来ると、いわゆる魔物というものを初めて目にした。
「イングリッドちゃん…
あれってもしかしてスライム?」
「うむ。
あれらの色はほぼ透明じゃし攻撃を受けてもダメージはないだろうが、ひっつかれると魔力を吸収されるから排除しておくとするか。
リーゼロッテ」
「はい」
返事をしたリーゼロッテは両腰に差していた2本の剣を抜くと、あっという間に10体ほどいたスライムを倒す。
お~すげぇ~
瞬殺じゃん。
しかも二刀流とかカッケ~!
「やっぱスライムって弱いの?」
「ふむ。
スライム自体が弱いわけではない。
あれらが魔力を蓄積しておらんかっただけじゃ。
その証拠に体が半透明ゆえ赤く光る魔核がどの位置にあるのか?がすぐにわかったであろう?」
「確かに。
ってことは魔核が見えないスライムもいるってこと?」
「その通りじゃ。
進化したスライムじゃと全体に色が付いておるから魔核の位置が把握できぬ。
それに加え、猛毒や麻痺を持ち、体の一部を変形、硬化して襲ってくるものもおるから一概に弱いとは言い切れぬのぅ。
まぁ、ここにおるスライム程度なら戦闘未経験のそなたやリリーでも倒せるはずじゃ。
攻撃を受けてもあれらはまだ硬化能力を持っておらぬゆえ、魔力欠乏にさえ気をつければ子供でも倒すことは可能じゃ」
「え?
そうなの?
なら、ちょっと試してみてもいい?」
「もちろん構わぬ。
我もリーゼロッテもそなたらがどの程度の実力なのか?を見てみたいというのもここに赴いた1つの理由じゃからな」
「じゃ、リリーも一緒にやってみる?」
「え~!
私もですか~!
…えっと~…ご主人様がそう言うなら頑張ってみます~…」
というわけで、オレとリリーはスライムを倒すためゆっくりと森のほうへと近づいていく。
イングリッドとリーゼロッテの2人はオレたちの少し後ろに付いてきている。
森の中から先程と同じ種類のスライムが今度は倍近く現れた。
と思ったらいきなり飛び掛かってきた。
予想外の行動とその素早さに驚き体が動かない。
…が、魔物がオレの体に触れることはなかった。
え?
なに?どういうこと?
と思っていると視界の下のほうがチカチカするのに気付いた。
『漆黒のフルプレート』の特殊効果が発動
レベル「99」以下の攻撃を全て無効化しました
という表示のウインドウが何度も表示されては消えを繰り返していた。
マジか!
エインシェントアーティファクト有能過ぎるだろ!
冷静さを取り戻し余裕を持ったオレは、何度も飛び掛かって来るわらび餅みたいなスライムを蹴り飛ばす。
そして動きが鈍ったところを持っていた剣を使って魔核を潰していった。
「ご主人様~!
大丈夫でしたか~!?」
全てのスライムを仕留めたオレのもとにリリーが心配そうな顔をしてやって来る。
「うん。
それより、リリーのほうこそ大丈夫?」
「はい~。
私は襲われませんでしたので~」
そう言われてみれば確かに。
スライムを倒すのに夢中だったけど、たまに視界に入ってたリリーって戦ってる感じなかったよなぁ…
なんでオレだけ~!
てなわけで、イングリッド先生の講義によると…
基本的に魔物が好む魔力は闇属性であり、次に地水火風、最後に光だそうだ。
今回に関してはオレの第一属性が闇であり、かつその魔力で自分の体全体を包み込んでいるような状態だったいうのがその原因。
第一属性とはその者が持っている最も強い属性のことを指す。
この世界に住む生物にはバランスの割合、魔力量の大小に違いはあるものの原則として全ての属性を有している。
魔力量が多い者は基本的にアイテムを使用したりするなどして体外への放出を極力抑えている。
イングリッド、リーゼロッテの姉妹の場合であれば、自身で魔力をコントロール、密度を上げることによって可能な限り体内に留めているそうだ。
「ご主人様~
私も~かっこよく~魔物を倒してみたいです~!」
「まぁ、いいけど…」
そして今に至る。
う~ん…
リリーの設定を考えたのオレなんだよなぁ…
カッコイイものに魅かれるという設定も生きているけど…
運動神経が鈍くて不器用な設定もガッツリ反映されてるみたいだなぁ…
滑ったり転んだりと悪戦苦闘しながらリリーがようやく1匹のスライムを倒したのを見届けると、すぐにリーゼロッテが残っていた10体くらいのスライムを秒殺。
「申し訳ないのですが、今日はそんなに時間がありませんので。
…リリー様。
明日から少し戦闘の訓練をしましょうか」
にっこりとリリーにそう提案するリーゼロッテ。
あ…これ絶対にしごかれるパターンのやつだ…
や~!」
と、今はリリーが一生懸命に頑張っている様をオレとイングリッド、リーゼロッテの3人で見守っているところである。
「あなたたちはここで待機していて下さい」
馬車を降りるとリーゼロッテは護衛と御者にそう告げる。
イングリッドの申し出により神殿を出たあとオレたちがやってきたのは街から離れた場所にある草原地帯。
目の前に広がる野原の先には森があり、更にその奥には岩山が見えている。
そしてなぜかリーゼロッテは、オレとリリーにそれぞれ1本ずつ剣を手渡してきた。
うん…
なんか…もう嫌な予感しかしない…
「あの~イングリッドちゃん…
これは…?」
「念の為じゃ。
森の奥まで行くつもりだが、ここから先は魔素があるからのぅ」
魔素
魔物が生きていく上で必要なものであり、人間にとっての酸素のようなものである。
逆に言えば魔素がないところには魔物は存在しないということになる。
また、この世界に住む生物にとって有害なものではない。
魔素が蓄積されると魔核という石のようなものになり、それが魔物を形成する。
その姿は様々だが、体内にある魔核を破壊或いはその機能を停止させるほどの強い衝撃などを与えることで魔物は消滅する。
この点がモンスターと呼ばれるものとの違いである。
つまり、魔物は魔核を攻撃しない限り死なないということになる。
魔素はこの世界に存在するいくつかの特殊な鉱石に吸収されるという特徴を持っている。
その鉱物が魔素を取り込むことによって変化したものが魔鉱石と呼ばれるものである。
というのが森に向かって歩きながらイングリッドから聞いた説明である。
それを聞いたオレは当然『漆黒のフルプレート』を装備した。
そして案の定…というべきか。
森に近い場所まで来ると、いわゆる魔物というものを初めて目にした。
「イングリッドちゃん…
あれってもしかしてスライム?」
「うむ。
あれらの色はほぼ透明じゃし攻撃を受けてもダメージはないだろうが、ひっつかれると魔力を吸収されるから排除しておくとするか。
リーゼロッテ」
「はい」
返事をしたリーゼロッテは両腰に差していた2本の剣を抜くと、あっという間に10体ほどいたスライムを倒す。
お~すげぇ~
瞬殺じゃん。
しかも二刀流とかカッケ~!
「やっぱスライムって弱いの?」
「ふむ。
スライム自体が弱いわけではない。
あれらが魔力を蓄積しておらんかっただけじゃ。
その証拠に体が半透明ゆえ赤く光る魔核がどの位置にあるのか?がすぐにわかったであろう?」
「確かに。
ってことは魔核が見えないスライムもいるってこと?」
「その通りじゃ。
進化したスライムじゃと全体に色が付いておるから魔核の位置が把握できぬ。
それに加え、猛毒や麻痺を持ち、体の一部を変形、硬化して襲ってくるものもおるから一概に弱いとは言い切れぬのぅ。
まぁ、ここにおるスライム程度なら戦闘未経験のそなたやリリーでも倒せるはずじゃ。
攻撃を受けてもあれらはまだ硬化能力を持っておらぬゆえ、魔力欠乏にさえ気をつければ子供でも倒すことは可能じゃ」
「え?
そうなの?
なら、ちょっと試してみてもいい?」
「もちろん構わぬ。
我もリーゼロッテもそなたらがどの程度の実力なのか?を見てみたいというのもここに赴いた1つの理由じゃからな」
「じゃ、リリーも一緒にやってみる?」
「え~!
私もですか~!
…えっと~…ご主人様がそう言うなら頑張ってみます~…」
というわけで、オレとリリーはスライムを倒すためゆっくりと森のほうへと近づいていく。
イングリッドとリーゼロッテの2人はオレたちの少し後ろに付いてきている。
森の中から先程と同じ種類のスライムが今度は倍近く現れた。
と思ったらいきなり飛び掛かってきた。
予想外の行動とその素早さに驚き体が動かない。
…が、魔物がオレの体に触れることはなかった。
え?
なに?どういうこと?
と思っていると視界の下のほうがチカチカするのに気付いた。
『漆黒のフルプレート』の特殊効果が発動
レベル「99」以下の攻撃を全て無効化しました
という表示のウインドウが何度も表示されては消えを繰り返していた。
マジか!
エインシェントアーティファクト有能過ぎるだろ!
冷静さを取り戻し余裕を持ったオレは、何度も飛び掛かって来るわらび餅みたいなスライムを蹴り飛ばす。
そして動きが鈍ったところを持っていた剣を使って魔核を潰していった。
「ご主人様~!
大丈夫でしたか~!?」
全てのスライムを仕留めたオレのもとにリリーが心配そうな顔をしてやって来る。
「うん。
それより、リリーのほうこそ大丈夫?」
「はい~。
私は襲われませんでしたので~」
そう言われてみれば確かに。
スライムを倒すのに夢中だったけど、たまに視界に入ってたリリーって戦ってる感じなかったよなぁ…
なんでオレだけ~!
てなわけで、イングリッド先生の講義によると…
基本的に魔物が好む魔力は闇属性であり、次に地水火風、最後に光だそうだ。
今回に関してはオレの第一属性が闇であり、かつその魔力で自分の体全体を包み込んでいるような状態だったいうのがその原因。
第一属性とはその者が持っている最も強い属性のことを指す。
この世界に住む生物にはバランスの割合、魔力量の大小に違いはあるものの原則として全ての属性を有している。
魔力量が多い者は基本的にアイテムを使用したりするなどして体外への放出を極力抑えている。
イングリッド、リーゼロッテの姉妹の場合であれば、自身で魔力をコントロール、密度を上げることによって可能な限り体内に留めているそうだ。
「ご主人様~
私も~かっこよく~魔物を倒してみたいです~!」
「まぁ、いいけど…」
そして今に至る。
う~ん…
リリーの設定を考えたのオレなんだよなぁ…
カッコイイものに魅かれるという設定も生きているけど…
運動神経が鈍くて不器用な設定もガッツリ反映されてるみたいだなぁ…
滑ったり転んだりと悪戦苦闘しながらリリーがようやく1匹のスライムを倒したのを見届けると、すぐにリーゼロッテが残っていた10体くらいのスライムを秒殺。
「申し訳ないのですが、今日はそんなに時間がありませんので。
…リリー様。
明日から少し戦闘の訓練をしましょうか」
にっこりとリリーにそう提案するリーゼロッテ。
あ…これ絶対にしごかれるパターンのやつだ…
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本当に、ありがとうございます。
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