邪竜と聖竜に懐かれた黒騎士~設定してたイメージとは似て非なる異世界を管理中?~

フィーたら

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第1章 竜人の国

ここだけ世界観が違うんですけど…

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地下へと続く階段、そこは城の地下牢までのものとは全く雰囲気が異なっていた。
壁、床、天井は何かの金属でできているようで頑丈かつ整ったレイアウトで設計されている。
それに加え、一定の距離ごとに平たく四角い物が埋め込まれておりそれが蛍光灯のように光っているため、誰もランプを持っていないにも拘わらず明るい。

…なんか急にSFチックな場所に来てしまったなぁ…

地上とはまるで違う世界観に戸惑いながらもオレは姉妹たちの後に続く。



「ここに来るのは…300年ぶりくらいでしょうか…
かなり久しぶりですが、相変わらず不思議な空間ですね…」

「そういえばお主は普段地下まで来ることはないからのぅ」


え?
300年ぶりくらいって!
リーゼロッテさんって一体何歳なんだよ!
てか、お姉ちゃんのイングリッドちゃんはもっと年上ってこと!?
めっちゃ気になる…
でもまだ出会って間もない女性にいきなり年齢を聞くってのはちょっとアレだしなぁ…
そもそもドラゴンとか竜人の寿命ってどれくらいなんだろう?


階段を下りながら会話する2人の言葉にも驚いたが、この後更なる驚きが待っていることをオレはまだ知らなかった。


「イングリッドちゃん、ここって…?」

「正直なところ我にもよくわからん。
わかっておるのは何かあった時はここに避難するように、と「るしふぁ~」が創った空間だということだけじゃな」

「え?
ルシファーって…
もしかして、あの堕天使の!?」

「ブラッドよ!
やはりそなたはるしふぁ~を知っておったのか!」

「オレが知ってるのと同じかどうかは別として、まぁ、一応は。
もちろん知り合いとかそういうのじゃないけど、オレがいた世界だとある意味有名だからな。
元々は神に近い天使だったけど、神に背いた結果、天界から追放されて悪魔の王になってしまったとかどうのこうの…
オレもその辺りは詳しくは知らないけど。
あとは12枚の翼を持ってたらしい」

「…となると…
そなたが知る者とは別人かもしれぬな、翼自体持っておらなんだし…
それにあやつが神に近い存在だったとはとても思えぬ…
じゃが、そう考えれば確かに妙な力を持っておったことには納得できるか…」

「妙な力って?」

「ふむ。
この空間もそうじゃが我が今着ているこの服もるしふぁ~から贈られたものじゃ。
おそらくだが、我はあやつが自身の力を使って創ったものだと思っておる」

「えっと…
じゃあ、エインシェントアーティファクトってその人が創ったもののこと?」

「どうじゃろうな…
全てが…とは言い切れぬ部分もある。
この服以外のものは、我の知る限りダンジョンの宝箱に入っているものじゃしのぅ」

「なるほど…謎だらけだな。
てかさ、そもそもイングリッドちゃんとその人とはどういう関係なの?」

「どういう関係と言われてものぅ…
昔、この島であやつが迷っているのを見つけてからというもの、我のことを好いてしまったようでやたらと付きまとってきていた男じゃ。
根は優しくて親切じゃったし我も嫌いではなかったが、容姿がタイプとはかけ離れておったし何より変わり者だったからのぅ…
隙あらば我とリーゼロッテの下着を覗こうとしておったし、我の普段の口調がこうなったのもこの服に袖を通してからじゃ」

「あ…そうなんだ…」


てか、めちゃくちゃ凄い能力持ってんじゃん!
ほんと何者なんだよ…
でもまぁ、オレがイメージしてるような堕天使ではない気がする…



「ブラッドよ、こっちじゃ」

階段を下り少し進むと正面に扉があった。
だがイングリッドはその扉を開けることなくT字になっている通路の左側に曲がり進んでいく。
その奥にはまた別の扉が見えた。

「ねぇ、イングリッドちゃん
さっきの扉の中ってどうなってるの?」

「特に何もないただの広い空間じゃ。
あるとすれば、山の結界を起動させたり解除させるための魔法陣があるだけじゃな」

「山の結界って?」

「森の奥に岩山が見えてたじゃろ?
あれ自体が巨大な特殊な鉱物の塊のようなものとなっておってのぅ。
魔素を吸収した魔鉱石が大量に取れるのじゃ。
魔鉱石は我が国の輸出品、貴重な資源となっておるゆえ乱獲を防ぐために結界を張っておる。
基本的には年に一度解放するのじゃが、我がしばらく国を離れると決めた際には試算で15年分のものを一気に採掘したからのぅ。
我もここへ来るのは約10年ぶりじゃ」

「てことは、あと5年分は山に入れないってこと?」

「まぁ試算が正しければ…という話にはなるがな。
それよりも、ブラッドよ。
この扉じゃ」


通路の行き止まりには今イングリッドが示した扉があった。
そのドアのすぐ隣の壁には黒色の薄い板のようなものがある。

「この部屋には何があるの?」

「実は我も知らぬ。
中が気になって全力で壊そうと試みたこともあったが、この空間内の金属は我の力を以てしても破壊できぬからのぅ。
ただ、伝承に謳われる者であればこの扉を開くことができる、とるしふぁ~が言っておった。
ブラッドよ、そこの板に手を当ててみてはくれぬか?」

「これを触ったらいいのか?」

「おそらく…じゃが。
反対側にある扉を開ける時、るしふぁ~が右手で同じ板を触っていたのを見たことがある」


オレはイングリッドが言うように右手をその板に当ててみたが何も起きなかった。


「えっと…ごめん。
開かないみたい…」

「解除方法に何か間違いがあるのかのぅ…」


いや…この空間内の雰囲気にこのまるでタブレットのような板の感じからすると…

「あ、もしかしたら…」



オレは鎧を外し再びそれに触れてみる。
するとその扉は自動ドアのようにスライドして開いたのであった。
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