ある日、ペットになりました。

みゆ

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「ご飯食べた~?」

「ちょっとだけさっきお菓子食べました」

「お菓子?なにそれ、ご飯じゃないじゃん」

「でもラスクだから、炭水化物かなーって」

「ふーん。炭水化物だとご飯なの?」

「……あれ、違うかな?」

「んは、なにそれ」


もうあたりはすっかり真っ暗で
時折すれ違う車のライトや建物の灯りで照らされるシロさんの横顔をチラ見しながら
シートベルトを握りしめて。

変なの~、ってケラケラ笑いながら
右に曲がるウインカーをカチカチと表示させた。


「てかさ、凄い無防備だよね。あなた」

「え?」

「急にほぼ初対面の人のペットになって
その知り合いだという男の俺にもホイホイついてきて」

・・・確かに。

「どーすんの?
俺らが凶悪犯だったら」

「どんな凶悪犯なんですか?」

「ぐわーって襲って、ぽかって殴って
海に沈める」

「……怖いんだか可愛いんだか分かんないですね」

「んはは、嘘だけど」

「うん、でしょうね」


・・・緩いなぁ、この人。

初対面の印象がスーツだったからか
今日のラフな服装と、よく話をしてみればふわふわしてるとこが
すごくギャップをうんでる。
ふにゃふにゃな笑顔が
この雰囲気とすごくマッチしてる。

そんなことを考えながらまたチラ見していると
ちょっと寄ってくとこあるけどいー?って
大通りから外れた道へと入っていった。


「スーパー寄ってこ。
なんか作って、おいしいもの」

「……は?」

「最近外食ばっかでめちゃくちゃなの、体が」

「え、なんで私が?!」

「料理できる?」

「いやまぁ、普通ですけど…」

「何でもいいよ、手料理なら。
ここで食材調達してこ」


ちょうどよく着いたスーパーに車を止めて
降りるよ~、って。
バタン、と先に降りて閉められた扉に
一気にシーンとした車内に取り残された私。

「・・・」

なにこれ。
なんで私が料理なんて、
「はーやーくー!おいてくよっ!」


屈んで助手席の窓から顔を覗かせたシロさんが
口を尖らせながらコンコンと窓を叩いた。


「……はいはい、」


なんて強引で緩い子なの。

これが私が初めてシロさんに感じた率直な感想だった。




━━━

「これとこれと、これもっ!」

「ちょっ、そんな買っても、」


店に入るなりポイポーイ、ってありとあらゆるものをカゴに放り込んで


「あー、やばい。
やっぱなんか買ってこ、出来てるもの」

「へ?」

「今から帰って作るんじゃ時間かかるしね」

「…ですね」

「なにたーべよっ」


外食ばっかで体めちゃくちゃ、とか言ってたくせに
結局は楽しそうにお惣菜とかピザとかお寿司とかを大量に買い込んで、


「早く家で食べよ、一緒に。
あ、ミツもすぐ帰ってくると思うし」

「あ、うんっ」

「何か食べたいものない?」

「ん~…、それだけあれば充分なんじゃ…?」


カゴいっぱいに詰め込まれてる食料品。
多分三人じゃ食べきれないほどの量だと思うし
これ以上買うとか考えられないんだけど。


「そう?大丈夫?
遠慮しなくていいんだよ?」

「うん、大丈夫です」

「そっ?」


じゃあ会計しまーす、って
足取り軽くカートを押してレジに向かうから
私も小走りでついてった。


「あ。」

「わっ、」


キキーっとブレーキをかけるように急に止まるもんだから
勢い余って背中にぶつかった。


「ドックフードはいらない?」

「ドックフード…?」

「あれ?キャットフードだった?」

「……バカにしてますね?」

「だってバカじゃーん。
ペットになるって時点でもう」

「バカ?!」

「ばかばか、ばーか」

「な、なんなのっ?!」

「んはは、おもしろーい」


散々バカバカ言っといて面白い?!?!
ワナワナとオコな私にまた笑って見せて
再びカートを押して背を向けた。
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