4 / 24
4話 保護者
しおりを挟む
悠希たちが去ってから数分経った頃、扉が開いた。
「生きてるか~?」
呑気な知らない声が部屋中に響いた。涼太がピクリとも反応しなかったため、声の主は焦って近づいて来た。
「やばいやばい。もう死んじまったのか?」
ギロッと睨み上げる涼太に声の主だった男は、安心して息をついた。
「なんだ死んでないじゃん」
男は20代くらいだろうか。神官が着ていた白衣は着ておらず、シンプルな形の黒いスーツを着こなしている。後ろで結われた髪は夜のような暗く深い青、瞳は髪よりも明るいが同じ深さの青。クールな見た目と呑気な口調はミスマッチだ。
男は小さく抗う涼太を簡単に起こし、懐から小瓶を取り出した。小瓶の中には青と緑の間の色をした液体が入っている。
「魔力回復薬だ、ちゃんと飲めよ~」
男は小瓶を開け、涼太の口に押し付けた。知らないものを飲む気にはなれず、涼太は口を固く閉ざした。液体が口元と白いカッターシャツを汚した。
「ちゃんと飲めって」
「んぐっ…!?」
口に指を突っ込まれ、無理矢理口を開かされた。見た目通りのまずい味が口に広がり、涼太は精一杯暴れたが、男の力は意外にも強く少し飲んでしまった。
液体を飲んでしまったせいか少しだけ身体に力が入るようになった。残り半分くらいの小瓶から顔を背けた。残っていた液体はびちゃびちゃと床にこぼれた。
「こぼすなよ~。全部飲まなきゃ回復しないぞ?」
「…うるさい」
涼太は男を押し除けようとしたが、力が足らず、男の腕の中から逃げられなかった。
「仕様がないな~。舌を噛んでくれるなよ」
顔に影がかかり、2つの唇が重なった。
「んんっ!?」
ぬるっと侵入してきた男の舌は涼太の口の中で暴れ回った。押し除けようとしても力が足りない。
「や…ん、やめ…っ」
隅々まで舐められ、ほぐされた。上手く息ができず、全身から力が抜けて来た時、男の唾液が舌を伝って流し込まれた。思わず飲んでしまった。それは熱くて。飲んだ瞬間、身体中に巡っていく感覚がした。
涼太は知らなかったが、魔力は体液を介して生物の身体中を巡っている。そのため、魔力回復をするには魔力回復薬以外にも他の生物の体液を取り込むことでも可能なのだ。
熱さが巡るにつれ、身体に力が入ってきた。不思議な感覚に、そのまま舌が促すまま何度か喉を鳴らした。
「ぷはっ…はぁ、はぁ…」
やっと唇が離れたとき、魔力は回復したものの酸欠で身体はまだ動かせなかった。力が入らず、舌を口に戻すことができない。
「あー、やりすぎたか…?」
くたっと腕の中で動かない涼太を見下ろして男は苦笑いした。罵ってやりたかったが、疲れた口は思うように動かなかった。
(いろいろありすぎて、流石に疲れた…。はる…、…)
涼太はそのまま意識を手放してしまった。
「やっちゃったな~…」
男は軽くため息をついた後、よっこらしょと軽くはない涼太をお姫様抱っこし、自分の屋敷へ向かった。
○○○
「ただいま~」
教会から馬車で屋敷へ帰ると、出迎えてくれた2人の使用人は驚いて目と口を丸くした。
「エトワール様、その方はどうされたのです?」
黒いスーツを文句のつけようもないほど完璧に着た初老の執事が代表して言った。
「教会から連れてきた」
「誘拐かしら?」
初老の執事の隣にいた同じく初老のメイドが首をかしげて人聞きの悪いことを言う。
「言い方が悪いよ…。保護したんだ。悪いが兄上に手紙を届けて欲しい」
「かしこまりました」
「頼むよ、リュシオル」
リュシオルと呼ばれた初老の執事はお任せくださいと微笑んだ。
「この子を使っていない部屋に寝かせてくるよ」
涼太を抱いたまま階段を上っていく主人を、心配そうに執事とメイドは見送る。
「騒がしくならなかったらいいわね」
「そう願うばかりです」
「生きてるか~?」
呑気な知らない声が部屋中に響いた。涼太がピクリとも反応しなかったため、声の主は焦って近づいて来た。
「やばいやばい。もう死んじまったのか?」
ギロッと睨み上げる涼太に声の主だった男は、安心して息をついた。
「なんだ死んでないじゃん」
男は20代くらいだろうか。神官が着ていた白衣は着ておらず、シンプルな形の黒いスーツを着こなしている。後ろで結われた髪は夜のような暗く深い青、瞳は髪よりも明るいが同じ深さの青。クールな見た目と呑気な口調はミスマッチだ。
男は小さく抗う涼太を簡単に起こし、懐から小瓶を取り出した。小瓶の中には青と緑の間の色をした液体が入っている。
「魔力回復薬だ、ちゃんと飲めよ~」
男は小瓶を開け、涼太の口に押し付けた。知らないものを飲む気にはなれず、涼太は口を固く閉ざした。液体が口元と白いカッターシャツを汚した。
「ちゃんと飲めって」
「んぐっ…!?」
口に指を突っ込まれ、無理矢理口を開かされた。見た目通りのまずい味が口に広がり、涼太は精一杯暴れたが、男の力は意外にも強く少し飲んでしまった。
液体を飲んでしまったせいか少しだけ身体に力が入るようになった。残り半分くらいの小瓶から顔を背けた。残っていた液体はびちゃびちゃと床にこぼれた。
「こぼすなよ~。全部飲まなきゃ回復しないぞ?」
「…うるさい」
涼太は男を押し除けようとしたが、力が足らず、男の腕の中から逃げられなかった。
「仕様がないな~。舌を噛んでくれるなよ」
顔に影がかかり、2つの唇が重なった。
「んんっ!?」
ぬるっと侵入してきた男の舌は涼太の口の中で暴れ回った。押し除けようとしても力が足りない。
「や…ん、やめ…っ」
隅々まで舐められ、ほぐされた。上手く息ができず、全身から力が抜けて来た時、男の唾液が舌を伝って流し込まれた。思わず飲んでしまった。それは熱くて。飲んだ瞬間、身体中に巡っていく感覚がした。
涼太は知らなかったが、魔力は体液を介して生物の身体中を巡っている。そのため、魔力回復をするには魔力回復薬以外にも他の生物の体液を取り込むことでも可能なのだ。
熱さが巡るにつれ、身体に力が入ってきた。不思議な感覚に、そのまま舌が促すまま何度か喉を鳴らした。
「ぷはっ…はぁ、はぁ…」
やっと唇が離れたとき、魔力は回復したものの酸欠で身体はまだ動かせなかった。力が入らず、舌を口に戻すことができない。
「あー、やりすぎたか…?」
くたっと腕の中で動かない涼太を見下ろして男は苦笑いした。罵ってやりたかったが、疲れた口は思うように動かなかった。
(いろいろありすぎて、流石に疲れた…。はる…、…)
涼太はそのまま意識を手放してしまった。
「やっちゃったな~…」
男は軽くため息をついた後、よっこらしょと軽くはない涼太をお姫様抱っこし、自分の屋敷へ向かった。
○○○
「ただいま~」
教会から馬車で屋敷へ帰ると、出迎えてくれた2人の使用人は驚いて目と口を丸くした。
「エトワール様、その方はどうされたのです?」
黒いスーツを文句のつけようもないほど完璧に着た初老の執事が代表して言った。
「教会から連れてきた」
「誘拐かしら?」
初老の執事の隣にいた同じく初老のメイドが首をかしげて人聞きの悪いことを言う。
「言い方が悪いよ…。保護したんだ。悪いが兄上に手紙を届けて欲しい」
「かしこまりました」
「頼むよ、リュシオル」
リュシオルと呼ばれた初老の執事はお任せくださいと微笑んだ。
「この子を使っていない部屋に寝かせてくるよ」
涼太を抱いたまま階段を上っていく主人を、心配そうに執事とメイドは見送る。
「騒がしくならなかったらいいわね」
「そう願うばかりです」
0
あなたにおすすめの小説
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
聞いてた話と何か違う!
きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。
生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!?
聞いてた話と何か違うんですけど!
※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。
他のサイトにも投稿しています。
台風の目はどこだ
あこ
BL
とある学園で生徒会会長を務める本多政輝は、数年に一度起きる原因不明の体調不良により入院をする事に。
政輝の恋人が入院先に居座るのもいつものこと。
そんな入院生活中、二人がいない学園では嵐が吹き荒れていた。
✔︎ いわゆる全寮制王道学園が舞台
✔︎ 私の見果てぬ夢である『王道脇』を書こうとしたら、こうなりました(2019/05/11に書きました)
✔︎ 風紀委員会委員長×生徒会会長様
✔︎ 恋人がいないと充電切れする委員長様
✔︎ 時々原因不明の体調不良で入院する会長様
✔︎ 会長様を見守るオカン気味な副会長様
✔︎ アンチくんや他の役員はかけらほども出てきません。
✔︎ ギャクになるといいなと思って書きました(目標にしましたが、叶いませんでした)
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
【柳原学園】いやいや、俺は『俺様生徒会長』だから
西園 斎
BL
家の都合で『俺様』を演じてる生徒会長が、生徒会やら風紀やら教師やらから好かれるお話。
演技俺様会長総受け(愛され)/後固定CP
*10年以上前の作品を、やや加筆修正していきます
妖精です、囲われてます
うあゆ
BL
僕は妖精
森で気ままに暮らしていました。
ふと気づいたら人間に囲まれてました。
でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。
__________
妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精
なんやかんやお互い幸せに暮らします。
分厚いメガネ令息の非日常
餅粉
BL
「こいつは俺の女だ。手を出したらどうなるかわかるよな」
「シノ様……素敵!」
おかしい。おかしすぎる!恥ずかしくないのか?高位貴族が平民の女学生に俺の女ってしかもお前は婚約者いるだろうが!!
その女学生の周りにはお慕いしているであろう貴族数名が立っていた。
「ジュリーが一番素敵だよ」
「そうだよ!ジュリーが一番可愛いし美人だし素敵だよ!!」
「……うん。ジュリーの方が…素敵」
ほんと何この状況、怖い!怖いすぎるぞ!あと妙にキモい
「先輩、私もおかしいと思います」
「だよな!」
これは真面目に学生生活を送ろうとする俺の日常のお話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる