パイライトの誓い

藜-LAI-

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誰かと眠る夜

 リビングの暖房をつけると、バスタオルを腰に巻いただけの姿でキッチンに向かい、冷蔵庫からいくつか野菜を取り出して流水で洗う。
「それでなに作るの」
 龍弥を後ろから抱きしめて手元を覗くと、同じくバスタオルを腰に巻いただけの修は、悪戯に龍弥の乳首を捏ねて甘ったるい息を吐く。
「あー。飯?なんも食ってないから。ジュースにするだけ。修も飲むか?」
「フレッシュジュースか。ますます龍弥のことが好きになりそうだね」
「はいはい、飲むんだな。危ないから手ぇ避けろ」
 適当に返事してあしらうと、たっぷりのトマトとほうれん草、セロリやにんじん、少しの玉ねぎをカットして手慣れた様子でミキサーに放り込む。
 押し込むように蓋をして撹拌させると、グラスを用意して水で濯ぎ、どろりと混ざった液体を均等に分けてグラスに注ぎ入れて、片方を修の手に引き渡す。
「ほら。味付けたかったらそこに塩があるぞ」
「ありがと」
 グラスを持ってリビングに移動すると、ソファーに座ってテレビをつける。
 時計を見るが、コンタクトは外してしまったのでボヤけて大体の時間しか分からない。
「もう3時過ぎてたんだな。修、寝なくて大丈夫なのか。着替え貸してやろうか」
「そうだね、せっかく温まったのに冷えちゃいそう。時間は問題ないから大丈夫」
「じゃあ待ってろ」
 テーブルにグラスを置くと、龍弥は寝室に移動してクローゼットから適当に部屋着を取り出す。
「あ……」
 取り出した着替えをベッドに投げようとして、シーツをまだ取り替えてなかったことに気付くと、汚したシーツを剥がして新しいものに取り替える。
 その作業をしていたからだろう。戻りが遅いと気になったのか、修がドアにもたれてベッドルームを覗き込んでいるのと目が合った。
「なんとも不器用だね。言ってくれたら僕が取り替えたのに。声を掛けてよ」
「なら別の礼を貰うだけだ」
 龍弥は小さく笑って傍に寄ってきた修に着替えを渡すと、下着は新しい物があるからとクローゼットを再び漁ってパッケージに入ったままのボクサーパンツを手渡した。

「龍弥……」
「ん?なんだよ」
「いや。なんでもない」
 柔らかく笑うと本当になんでもないんだと言い置いて、修は渡された着替えを身に付けるとリビングに戻って行く。
 落とされたままのバスタオルを呆れながら拾い上げると、着替えを済ませた龍弥はシーツやバスタオルを持ってバスルームに向かい、乾燥までをセットして衣服と纏めて洗濯機を回した。
「修の服も洗っちまったぞ。出る時に間に合わなければ俺の服で我慢して出てけ」
「追い出すみたいな言い方するね」
「そりゃあな」
 素肌にパーカーだけを羽織った龍弥はソファーに座って修を一瞥すると、家に上げたからって縁を繋ごうなんて思ってないとボソリと呟いて、野菜ジュースを喉に流し込む。
「残念ながら僕はそう思ってないよ」
 グラスが離れた龍弥の唇を食むと、トマトの味がするねと笑って舌なめずりすると修は上目遣いに挑発する視線を向ける。
「なんだ。そんなに良かったか」
 揶揄い半分で視線はテレビに向けると、龍弥は何事もなかったように再びグラスを口元に運んだ。
 修の意図は分からないが、確かに肌馴染みがよくて久しぶりに沸き立つ感情が心の中に広がった。けれどそれは相手が一晩限りと分かっているからこそだと龍弥は思っている。
 それに、修は自分と似た感性を持つ部類の人間だと直感的に感じるのだ。
 パートナーになることが束縛とまでは言わないが、フットワークを軽くしてその場限りの火を灯す付き合い方の方が煩わしいことがなくていい。
 そうだ。修とだってまたこの次。そんな機会さえ有れば、どうにでも満たすことが出来る。卑屈にも取れるそんな気持ちが龍弥の中に沈澱するように広がった。
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