パイライトの誓い

藜-LAI-

文字の大きさ
41 / 41

誓い

 荒い息遣いで大きく肩を上下させると、ベッドに身を預けて天井を見上げる。
 ふと隣に目を向けると、同じようにぐったりとした様子で、火照った身体を冷ますように胸を上下させて大きく深呼吸している。
「はあ、はあ、はあ……はあ」
 激しく求め合ううちに身体が上気して、掛け布団が邪魔になって足元に蹴って退けた。
「寒くないか」
「はあ、あぁ……はあ、今は大丈夫」
 ふわりと笑顔を浮かべる修に啄むようなキスをすると、龍弥はベッドから立ち上がって冷蔵庫から炭酸水のボトルを取ってベッドルームに戻る。
 キャップを外して炭酸水を一気に喉に流し込むと、引き攣れた喉が潤ってやっと呼吸が落ち着いてくる。
 その様子を見ていた修にボトルを手渡すと、彼が体を起こすのを手伝って胸元に抱き寄せる。
 腕の中で喉を鳴らして炭酸水を飲む、修の髪を梳くように撫でると、紅い痕の散った首筋にまた唇を這わせて甘噛みする。
「ふふ。龍弥はそこが好きだね」
「お前の全部が好きだよ。重たいだろ俺」
「どうしてだい?好きな人に愛されることは重たいことじゃないよ」
 修は首だけ振り向かせると、龍弥の下唇を食んでチュッと吸い上げて口角を上げる。
 少し肌寒くなったのか、修は白く艶かしい臀部を突き出すように四つん這いになると、足元に偏った掛け布団を取ろうとしているらしい。
 その後ろ姿を襲いたい衝動に駆られるが、今夜はもうお互いに余力がないほどに抱き合った後だ。
 龍弥はペチンと音を立てて修の臀部を震わせると、そのままゆるりと双丘を撫でてから、腰に手を回して布団ごと修を抱き寄せた。
「またイタズラしようとしたのかい?」
「残念ながら気持ちだけな」
 二人で笑うと、抱き合ったまま手を重ねて次の休みはなにをしようかと他愛無い言葉のやりとりをする。
 
「そういえば龍弥はこのラダーブレスレットを着けっぱなしにしているのかい」
「ああ。これか?そうだな、いちいち外すのが面倒だから着けっぱなしだな」
 鈍く光るパイライトがあしらわれた、少し擦り切れたコレはいつから着けていたものだっただろうか。
「これはパイライトかい?」
「そうだな。前に石に詳しい奴が、石言葉が恋の戯れだって言ってたな」
 いつだったか、そんなことを聞いて自分らしくて笑いも出なかったことを思い出す。
「そうか。確かにそんな意味もあったね。ふふ、だけどパイライトの本当の石言葉はそうじゃないよ」
「……?」
 龍弥の手首にはまったラダーブレスレットを愛おしそうに撫でると、修は龍弥を振り返ってにっこりと笑う。
「修は石に詳しいのか?」
「少しね。知り合いが宝石を扱う仕事をしてて、一時期興味を持っていたから」
「じゃあ、修のバングルにも意味があるのか?」
 修の手首をなぞってバングルに指を掛ける。これはプラチナのはずだ。商品は永遠を意味する名前が付けられているが、プラチナにも石言葉のようなものがあるのだろうか。
「プラチナにも様々な意味合いがあるね。強い絆、多感な心、忠誠なる愛。とかね」
 結婚指輪なんかに使われるくらいだからねと、修は龍弥の手をなぞるようにバングルを掴む。
「僕の場合は、父から貰ったものだから、強い絆だろうね」
 そう言って修は前に向き直ると、手元の炭酸水を口に含む。
「なるほどな。で?パイライトの石言葉はなんなんだ。恋の戯れじゃないのか」
 龍弥は修のうなじにキスをしながら答えをせがむ。
「……危機からの回避、何があろうともあなたを守る。それがパイライトの石言葉だよ。とても龍弥らしくて似合ってるじゃないか」
 修は振り返って龍弥にキスをすると、柔らかく微笑んだ。
 ———何があろうともあなたを守る。
 龍弥が修に向ける心がそれを表すかどうかは分からない。
 けれど修の口からそう聞かされて、そんな風に彼を愛すことも悪くないと、龍弥は心の底から笑うことができのだった。


おわり。
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話

ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生 Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158 ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/ fujossy https://fujossy.jp/books/31185

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。