家政婦さんは同級生のメイド女子高生

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「ゆず、結衣、彩乃ちゃん、メイクするからこっち着て!」
「はーい」
呼ばれた3人は、明衣のいるレジャーシートに集まった。
「はい、順番にしまちゅから、ちょっと待っててねぇ」
「お姉ちゃん!私たち、赤ちゃんじゃないよ!」
「あはは、ゆずのあどけない顔見てるとなんかねぇ」
「わ、私だって結衣ちゃんたちより年上・・・」
ゆずが自信なさそうに自分より背の高い中3女子たちの方を向いた。
「わかります。ゆずさんってほわんとしてて、なんかかわいいですよね」
「ほ、ほわんって・・・」
彩乃の優しい眼差しに、ゆずは恥ずかしそうに目をふせた。
「じゃあまず彩乃ちゃんから。ここ座って」
「はーい」
明衣に呼ばれた彩乃が鏡の前に座った。
いつにない真剣な表情でメイクを始めた明衣を、ゆずと結衣が少し離れたところから見守っている。
「お姉ちゃん、最近毎日メイクの練習してるんですよ」
「えっ、そうなの?」
「はい。私、受験生だから勉強しなきゃなのに、いっつも練習台に使われるんです。ちょっとはこっちのことも考えて欲しいんですけど」
まあ、あのお姉ちゃんですから仕方ないですよね、と微笑む結衣。
「大変だね・・・でもなんかそういうの羨ましいかも」
「そうですかぁ?」
「うん。私一人っ子だから」
「そっか。1人じゃそういうのできないですもんね」
「ねえ結衣ちゃん。もしよかったらなんだけど・・・今度、私とお出かけしない?」
「いいですよ」
結衣は笑顔で答えた。
「わ、わらひも!」
メイク中で会話に入れない彩乃も、手を振って主張した。
「ぎゃー彩乃ちゃん!メイク中に喋っちゃダメ」
「ふ、ふいまふぇん・・・」
慌ててメイクブラシを持つ手を引いた明衣に、彩乃はなるべく表情を動かさないように謝った。
「・・・でもさあ、その3人で歩いたらやっぱゆず、一番妹っぽく見えない?」
話をしながらも明衣は慎重に彩乃のメイクを続けている。
「そ、そんなことないよ!私の方が大人だし・・・」
「大人ねぇ・・・」
明衣はアイライナーを手にして彩乃のまぶたを見つめた。
「だったら、ゆずお姉ちゃんって呼びましょうか?」と結衣。
「ふんふん。ほうひようほうひよう」
「彩乃ちゃん。もうちょっとだから」
「ふわぁい」
「ゆずお姉ちゃん。だぁいすき」
女子には物怖じしない結衣が早速ゆずに抱きついた。
「ちっちゃくって、ほわほわしてて・・・あったかぁい」
「ゆ、結衣ちゃん・・・」
いつもの勢いのある明衣とは違って結衣に優しく抱きつかれて、ゆずは何故かドキドキしてしまった。
「ほらね、やっぱゆず妹キャラなんだよ」
「うう・・・でも、年下の女の子に抱きつかれるのって、ちょっと嬉しいかも」
「ゆず、あんたまさか百合・・・」
ゆずの思わぬ言葉に、明衣の手が止まった。
「ちちち、違うわよ!」
ゆずは飛び上がるように結衣から離れた。

少し離れたもう一枚のシートには、鷹文と大和が並んで座っていた。
「鷹文はこの後どうするんだ?」
「今日は彩香の見張りかな」
「彩香ちゃんの見張り?必要なのか、そんなの?」
カメラを持った彩香のドジっぷりを知らない大和は不思議そうな顔をした。
「ああ、見てればわかるよ。大和は?」
「俺は荷物番してろって、明衣が」
「だな、今日はかなり大荷物だし。そういえば彩香が、これは先に飲んでもいいって言ってたぞ」
鷹文は、自分が持ってきた大きなバッグの中からポットを取り出した。
大和に渡したカップに、鷹文はコポコポとコーヒーを注いだ。いい香りが広がってゆく。
「お、コーヒーじゃん。さすが彩香ちゃん!」
「お前もブラックでいいんだったよな?」
「ああ・・・ふぅ。こういうところでホットコーヒーってのもいいもんだな」
空を見上げるとキレイな青空に程よく雲があり、爽やかな風が抜けて行く。
鷹文も一口飲んでから、
「だな。休みって感じだな」
芝生の広場を眺めると、何組かの家族連れも同じようにシートを敷いて、その近くで遊んでいるのが見える。
「娘たちを連れて公園に遊びに来た休日のパパ・・・お疲れっす!」
「誰がパパだ」
気持ちの良い初夏の空に、鷹文のツッコミもどこか穏やかだった。
「ところで大和、この後もしやることなかったら、これ読んで意見聞かせてくれないか?」
「何?学園祭の台本?」
大和は鷹文から分厚い紙束を受け取った。
「ああ。演劇部と橋畑さんには渡したんだけど、橋畑さん以外ほとんど女子だから男の意見も聞いてみたくてさ。お前のセリフとかもあるし」
「わかった、読んでみるよ」
「頼む」
「しっかしこれだけの量、よくか書けるもんだな」
大和は受け取った台本に目を落とした。
「まあセリフがほとんどだからな。見た目より文字数は少ないんだ」
「そっか。『おい!』みたいに2文字でも一行だもんな」
「そう言うこと」
「じゃあ斉藤先生の作品、謹んで拝読いたします」
大和は鷹文の方を向いて慇懃にお辞儀した。
「先生はまだ早いよ」
言いながらも少し照れる鷹文だった。
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