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第二十四話
しおりを挟むSide ミュリエル
「ちょっと、ミュリエル、セラフィナ、なんですの、この隠し玉は。」
そう言われてもわたしたちだって初めて聞いたわ。
ナギサがヒールを使っているのは気付いていたけれど、生活魔法覚えたての頃にクリーン連発してたのと同じようなものかと思っていたのだもの。
結果を教えてもらってない実験が沢山有るわ。
「ジャクリーヌ、あれがナギサだ。
突然訳の判らない知識で訳の判らない事を起こす。
ジャクリーヌも諦めてこちら側に来れば?
それこそわたしたちの知らない世界が見られるぞ。」
セラフィナの言うとおりね。
基本となる常識が違うのだから日常を理解するのが大変だ、とナギサは言っていたわ。
「そうね、ジャクリーヌの常識も粉砕してくれるわ。
特に夜は強烈よ。
この国の貴族の常識とは大幅に違うらしいわよ。
わたしたちはナギサしか知らないからそういうものだと思っていたのだけれど、ミランダやミリアムが侍女に教えられたのとは違うと言っているわ。
アンも亡くなった旦那さんとは別の事をしているようだったと言ってるの。
ジャクリーヌも確かめてみたら?
両手で胸を包まれたとき抱かれたいと思わなかった?」
「それは少し思ったけど、あなたたちは良いの?
人が増えてあなたたちの持ち時間が減るのではなくて?」
「わたしたちには時間が十分有るからな。
それにこの町ができ上がったらひとりひとりにナギサを独占できる時間を作ろうとミュリエルと決めている。
ナギサもデートというやつを計画しているそうだ。」
デートする場所が無いから作ると言っているものね。
出歩かなくても寝室にふたりで籠っているだけでわたしは良いのに。
「それじゃあ、ジャクリーヌも参加で決まりね。
セラフィナ、ちょっと結界を突いている虫がいるから退治しにいくわよ。」
「また出たの?
この前はミリアムを連れ戻す依頼を受けた虫だったけど、結界も破れず実力も無くつまらなかったぞ。
この結界を破れる者は居ないだろうけどな。」
「元とは言え貴族令嬢が沢山居るものね。
ミランダとも関わりを持った娘をまた駒にしたいのでしょう。
令嬢を連れ戻す仕事に実力者なんて居ないわよ。
放っておいても良いのだけれど、町を開いたときに残っていると面倒ですもの。
ジャクリーヌ、この後ナギサをお願いね。
楽しんでいらっしゃい。
後で聞かせてね。
わたしたちはちょっと虫退治してから教会を完成させておくわ。」
「結界への攻撃はそのままわたしたちへの攻撃と見做します。
Sランク冒険者が居るって情報ももらえなかったの?
つまらない依頼に命を賭けるのなら掛かって来なさい。」
「情報は吐いてもらうけどな。
情報も持たない盗賊ならばそのまま切り捨てて報奨金になってもらうぞ。」
セラフィナ、あなたが威圧しちゃったら攻撃してこなくなっちゃうじゃない。
ナギサと開発したレーザービームというのを試してみたいのに。
隠れているつもりの相手になら撃っても良いわよね?
魔力込め過ぎなければ燃え上らないとナギサは言ってたし。
警告の為に赤くて弱い威力で額に当てるのだったかしら。
ちょっと煙出ちゃったわね、もっと弱くしないといけないのね。
「ミュリエル、杖で指しただけで額が焼けるとか怖いんだけど。
薙ぎ払えって言うと全員の胴体が2つに別れるってナギサが言ってたやつか?」
「薙ぎ払ったら森が丸裸になっちゃうわよ。
返り血は少ないだろうと言ってたから便利かもしれないわね。」
見える範囲なら一瞬で届くと言ってたから少し逃げてもらおうかしら。
あら、王家の手の者だったの?
ミランダが何をしているか知りたかっただけなのね。
ナギサが話してた婚約破棄の話に出て来る王家の影と言う人たちかしら。
ミランダの冤罪を晴らすはずだった役割の人よね。
時間掛かったのはこの人たちがダメだったからなのね。
この程度の実力では仕方ないのかもしれないわ。
「ミランダはちゃんと後継者作りに励んでいるわ。
王家や王国を潰すのならわたしたちふたりできるのだから、この地を気にしても無駄だと王に伝えなさいな。」
額の火傷は治して解放してあげた。
レーザービームは要練習ね。
鳥撃ちから始めましょうか。
教会の建築へ向かえば城のような巨大な建物だった。
異世界人何考えてるのよ。
宗教を巡って戦争が絶えないと言ってたわね。
その為の城なのかしら。
それにここまでナギサが午前中に作ったのよね。
異世界人がどこまで魔法を使いこなすのか恐ろしいわ。
ナギサはこちらに来てから魔法を使い始めたと言うのに。
設計図通りに完成させ、セラフィナと一緒にナギサを待っていた。
ナギサにはドヤ顔で待っていたと言われたけれど、成程これがドヤ顔なのね。
完成させて誇らしかったのよ。
それから話に聞いていた結婚式のマネも3人でしてみたわ。
「折角だからウェディングドレスも着てみたかったな。」
セラフィナもうれしそうね。
ゴスロリよりもフリフリなあのドレスはわたしも着てみたいわ。
いつもと違う軽いキスだったけれど、これも良いわね。
誓うまでもなくわたしたちはずっと一緒よ。
皆で教会を見ている間にジャクリーヌに聞いてみたら、ふらふらになるまでしてもらったそうね。
あれ程の快感と幸福感は初めてだったと言うジャクリーヌを見ると、わたしたちもあんな幸せそうな顔になっていたのかと思う。
道理で侍女たちの参加希望が増えるはずだわ。
ひとりで暮らしているときも、ナギサとふたりだったときも良かったけど、こうして幸せを共有して共感できるのはとても良いわ。
その夜は更に凄かったわ。
結婚式をしてあの女神が何かしたのかしら。
希望するなら参加権あげても良いわよ?
セラフィナも同じこと言っているから笑ってしまったわ。
今夜もわたしとセラフィナ、アンにマルグリット、そして新たに加わったジャクリーヌでナギサにしてもらったことを話し合うわ。
まだ参加していない侍女たちも興味津々のようね。
早くナギサの時間が取れて参加できると良いわね。
ナギサは寝室でのことをバラされるのが嫌みたいだけど、これだけの女性を幸せにしているのですもの、大丈夫。
わたしたちもナギサの喜ぶことをしてあげたいのだから必要な話し合いなのよ。
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