207 / 261
第二百八話
しおりを挟む王城は精霊樹の変化に気付いているはずだけど、無視を決め込んだらしい。
どうせ、どうにもできないのだし、俺らのやることに口を出すつもりも無いのだろう。
王都の民は王都を囲む壁に遮られて精霊樹が見えていない。
ただし、壁の上に歩哨に立っている兵士から噂が漏れているようだ。
どうせならお金取って壁の上から見せてあげれば良いのにね。
それで何か企もうにも手出しはできないのだから。
少しは王城の借金返済に役立つかもよ。
なんて話をしていたら採用されたそうだ。
ひとり銅貨5枚、500円相当で10分壁に登れるらしい。
微妙に高いな。
それでも結構な人数が払っているらしい。
うちの飛行場に有るマンションからは只で見えるのだけどね。
里にも来ているような貴族夫人や令嬢たちが旦那や友人を連れて見せに来るそうだ。
旦那は里へ来れないものね。
本人たちも精霊樹に変化が有ってからは来ていないだろうに、里で見た精霊樹を得意気に話しているらしい。
ついでに商会の者が先日里への侵入を試みた元神官の末路も話している。
間近で飛行機の離発着を見ているので手を出そうとする馬鹿は居ないだろう。
更に王都周辺の遊覧飛行もお金持ちには人気だ。
好景気に乗った商人が付き合いの有る貴族を招待しているらしい。
その程度の接待は問題にならないのね?
精霊さんチェックを抜けているのだから大丈夫なんだろうな。
カッセル商会には精霊樹の素材を手に入れられないかとの問い合わせが引っ切り無しに来ているそうだ。
手に入れたってどうこうなるものでも無いし、細工もできないだろうに。
そんなものに払うお金が有るなら一般商品は高目に売ってあげよう。
一応ケイトたち神官の一部は精霊樹の杖を持ってたりするけど、ミスリルの指輪で事足りているそうだ。
余程の浄化が必要な者には使うようだけど、王都近隣にはもはやそのように瘴気に侵されている者は居ない。
王城を通して依頼の来る外国の者に使うくらいだろう。
売れとかよこせとか言う者には容赦無く対応することが王から許されているらしい。
下手すれば神罰にまで発展するかもしれないのだから王だって厳しくするわな。
「うちの里にも精霊樹の素材を求める者が増えておるのじゃ。
浄化の恩恵を受け取る前に素材を欲しがるとは頭の悪いことじゃのう。」
おばばたちの里の精霊樹も育って、外から見えるようになってるのね?
精霊樹の素材と言うネームバリューだけで欲しがる馬鹿はどこにでも居るか。
「我らの里も大精霊が居るおかげで侵入されないのじゃ。
然程心配は要らんじゃろう。」
大精霊はこっちに遊びに来てたりするけどな。
結界も強くなってるそうだから手出しはされないのだろう。
「それよりも花を魔石に封じたそうじゃの。
昨日から精霊たちがその噂で持ちきりじゃ。」
精霊王がひとつ持って行ったので、杖の試作品に使ってるのしかないよ?
もらった花はまだ有るから作れるけど。
「ミスリルの杖でこれなら教会の爺が泣いて欲しがるじゃろう。
それをアダマンタイトで作れとは、女神も無茶を言うものじゃ。」
おばばから見ても無茶だよね。
「わしらでもようやくミスリルの短杖が作れるようになったばかりじゃからな。
ナギサ殿の創造魔法が有るとは言え、アダマンタイトは無茶じゃろう。
更に神の位階を上げるつもりかのう?」
位階を上げるには杖を上位神に差し出さないといけないだろうから、今回はこの世界で使うためじゃないかね?
位階を上げるのはまたの機会で。
「位階を上げるにしても足元のこの世界を安定させてもらわねばならんのじゃ。
浄化に特化しておるこの杖ならば役立ちそうじゃの。」
今はミスリルを使っているから浄化に特化してるけど、アダマンタイトを使ったり、魔石を精霊王が持って行ったりしたので化けるかもしれないよ?
最初からアマリア様専用になりそうだし。
「女神のところへ置いておいたら化けるじゃろうの。
ともかく他の大陸の浄化が進んでくれるなら大助かりじゃ。」
エルフさんの長老のひとりとしても、他大陸のエルフさんたちが瘴気に侵されている姿を見ているから解決はしたいよね。
「少し借りて2つ目の大陸の仕上げをして来るのじゃ。
種が生るのもそう遠くないじゃろうからの。」
2つ目の大陸なら中継地を挟んで転移で行けるから良いだろう。
それにおばばなら下手な使い方はしないよね。
どうせ浄化特化の杖だけど。
次に植えると言えば爺さんの国も有るんだけど、どうするんだろ。
杖を見たら爺さんが騒ぐよね?
「見せびらかして来るのじゃ。」
触らせる気も無いな?
それこそ爺さんが泣くぞ。
27
あなたにおすすめの小説
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる