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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

60.上級生の決断③

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「今年、小学四年生になっても自分が何者か分かってい
ないから、それが分かるようになる為に、この銀貨が必
要なんです……」
「お前の言い分は分かったから、この痛みを何とか出来
るか?」
「正確には分かりませんが今後、危害を加えないと約束
して貰えば何かしらの変化が起きるかもしれません」
「……」
 額からは冷や汗もあふれている状態なので早く痛みから
解放されたい一心で誓いの言葉を宣言し始める。

「私、南学園中等部中学二年の明石貞浄は今後、こちら
の銀貨に対して一切手出ししない事を誓います」
「明石先輩、流れてる血の量が四分の一に減ってます」
「そいつは助かるよ。後は痛みだな。何か良いアイデア
は思い付くか?」
「個人的な約束だけでなく組織的な約束をしたら、どう
なんだろう?」
「なるほどな。それはスジが通ってる話だ。分かった。
この動画を見せれば、どんなに危険な行為であったかが
分かるだろう。南学園に在籍ざいせきする少数精鋭しょうすうせいえいの不良軍団の
一年~三年生はタカフミが小学を卒業するまで邪魔じゃまだて
はしない事をここに約束する!」

「クゥーーンっ」
 ピューマの猫撫ねこなで声が辺りに響き渡ると強めの痛みが
スーッと引いて部分的な耐えられる痛みへと治まってい
く。
 

 
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