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第一章:始まりの世界 ”自己啓発編”

80.4年2組の教室での施錠トリック (改)

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 タカフミは、立花からの合図をしっかりと確認すると
気持ちを抑えて校歌が書かれた厚紙を元の位置に戻して
がした布テープを貼り直してしてから床のホコリを表
面に重ねて真新まあたらしさ感を無くす事に成功した。指に付着ふちゃく
したホコリは教室の前後に置いてあるポンプ式の消毒液
でキレイにした。次に完全な施錠せじょうを作り出す作業に移る
為に事前に調べていた床下のガラス窓に近付いて立て付
けの悪い箇所を探し当てる。教室のほぼ中央に位置して
いるのだが反対側の窓はなんなく動かす事が出来るので、
そこに大工の跡取あととり息子が在学中にガラス扉にカンナ掛
けをして上下に動かせる隙間すきまを作ってから扉に下穴を開
けてレールに一箇所だけ釘打くぎうちをほどこして施錠出来る仕掛
けを作っていたのを立花マイカから聞かされていた。

 何の為に床下のガラス窓がもうけてあるのかは不明だが
やせ型体系の子供の出入りは自由に出来る事から男子の
間では遊び場として使われる事もめずらしくはなかった。透
明でなく、すりガラスな点も意味不明であった。

 数ミリ出っ張っている釘の位置を把握はあくしてから、自分
の頭が出る位までガラス扉を開けて、廊下ろうかに誰も居ない
事を確認し衣服の端が釘に引っ掛からないように細心の
注意をして教室の外の廊下に出るとガラス扉を浮かした
まま、釘の上に穴がおさまるまでスライドさせていく。廊
下の奥から女子生徒の声が聞こえてきたのでひたいに汗が浮
かんで来たが気付かれる前に浮いていたガラス扉がスト
ンと落ちて左右に動かしても開閉しない鍵を持っていな
い状態での外側からの完全な施錠に成功した。

 教室の床下のガラス窓に両足を広げて持たれ掛かって
いる姿が女子生徒達に目撃されたが顔と名前をおぼえられ
ている状態では無かったし、クスクスと笑い声が耳元に
入っていたのでドジっ子として認識されていたと思う。
女子生徒達が視界から消えたのを確認すると心の叫びが
き出ていた。
「今のは少し危なかったぁ~」
 額の汗を右そでぬぐうと腰を上げて隣の4年3組の教室
へと急いだ。
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