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捜査開始
11. 出前の店員の正体
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「あんたは法海侯(ホウ・カイコウ)か?」
「黒沢先輩、久しぶりですね。お元気そうで何よりです。三年前から名古屋で、
堅気の商売(ラーメン店)を初めました。一年間、店に修行に来ていた愛弟子が
東京で支店を出す事になりまして挨拶も兼ねて出前持ちをさせて貰っております。
これからも、どうか御贔屓に御願い致します」
「成程。こちらこそ。美味いラーメンを堪能させて貰っているから応援している
と店主に伝えてくれ」
「分かりました。伝えておきます」
銀髪の男は頭を下げてから帽子を被ると出前桶を持って退室していく。
眉間に皺を寄せている黒沢の表情を見て我慢できなくなった後藤が口を開いた。
「今の人、誰なんです?」
「銀髪の悪魔と恐れられた人物で中国拳法の達人だ」
「それですか。でも辮髪ではないんですね?」
興奮する後藤を無視して淡々と説明に入る黒沢。
「奴が武力を行使する時のみに辮髪の髪形に整えるんだ。夜の新宿歌舞伎町を腕
力のみで一年間支配した屈強の男だ。もちろん上から押さえつけるだけのやり方
は長くは支持されなかったみたいだがな。名古屋に移り住んだのは知っていたが、
まさかラーメン屋を開業しているのは知らなかったな」
「目的は何ですか?」
「警告だな。店に危害を加えると出張って来るって事だ。警察も法海侯が絡んで
いると分かれば迂闊に手は出さないからな」
漫画みたいな話に想像が付かなかった後藤。
「それより、改まって聞くが本当に捜査を続けるつもりか? あの事件で俺は、
相棒(木島)と家族を失った。残ったのはギャンブルで損して膨れ上がった借金
だけだ」
黒沢は自慢のリーゼントを右手で触れながら忌まわしい過去を告げ始める。
「動き出した船は、そう簡単には停まりませんよ」
「手を引くなら早い方が良い。取り返しの尽かない事になるのは避けた方が将来
のある若いお前の為だ!!」
「私が好んでやっている事ですから迷惑は掛けません!!」
二人の激しいやりとりがあってから間を置いて黒沢が口を開いた。
「分かった。そこまで意思が固いなら、今後、何も言うつもりはない。充分に気
を付けろよ!」
「分かって貰えて感謝します!」
両手の爪先を両側の太腿にピタリと揃えると頭を深々と下げながら礼を言った。
後藤は幼少期から他人に人生を決められて来たので説得されるのが嫌で仕方がな
かったのだ。結局、黒沢の説得も空しく、一歩も引かなかった後藤。この後、知
人が揃っての麻雀大会があるとの事で後藤は早めに帰る事となった。部屋を出て
行く時に麻雀牌の白(ハク)が妙に目に焼き付いていた。
午後十九時。自宅に戻ると連日の疲れからかベッドで横になると、そのまま眠
りに落ちてしまう後藤だった。
「黒沢先輩、久しぶりですね。お元気そうで何よりです。三年前から名古屋で、
堅気の商売(ラーメン店)を初めました。一年間、店に修行に来ていた愛弟子が
東京で支店を出す事になりまして挨拶も兼ねて出前持ちをさせて貰っております。
これからも、どうか御贔屓に御願い致します」
「成程。こちらこそ。美味いラーメンを堪能させて貰っているから応援している
と店主に伝えてくれ」
「分かりました。伝えておきます」
銀髪の男は頭を下げてから帽子を被ると出前桶を持って退室していく。
眉間に皺を寄せている黒沢の表情を見て我慢できなくなった後藤が口を開いた。
「今の人、誰なんです?」
「銀髪の悪魔と恐れられた人物で中国拳法の達人だ」
「それですか。でも辮髪ではないんですね?」
興奮する後藤を無視して淡々と説明に入る黒沢。
「奴が武力を行使する時のみに辮髪の髪形に整えるんだ。夜の新宿歌舞伎町を腕
力のみで一年間支配した屈強の男だ。もちろん上から押さえつけるだけのやり方
は長くは支持されなかったみたいだがな。名古屋に移り住んだのは知っていたが、
まさかラーメン屋を開業しているのは知らなかったな」
「目的は何ですか?」
「警告だな。店に危害を加えると出張って来るって事だ。警察も法海侯が絡んで
いると分かれば迂闊に手は出さないからな」
漫画みたいな話に想像が付かなかった後藤。
「それより、改まって聞くが本当に捜査を続けるつもりか? あの事件で俺は、
相棒(木島)と家族を失った。残ったのはギャンブルで損して膨れ上がった借金
だけだ」
黒沢は自慢のリーゼントを右手で触れながら忌まわしい過去を告げ始める。
「動き出した船は、そう簡単には停まりませんよ」
「手を引くなら早い方が良い。取り返しの尽かない事になるのは避けた方が将来
のある若いお前の為だ!!」
「私が好んでやっている事ですから迷惑は掛けません!!」
二人の激しいやりとりがあってから間を置いて黒沢が口を開いた。
「分かった。そこまで意思が固いなら、今後、何も言うつもりはない。充分に気
を付けろよ!」
「分かって貰えて感謝します!」
両手の爪先を両側の太腿にピタリと揃えると頭を深々と下げながら礼を言った。
後藤は幼少期から他人に人生を決められて来たので説得されるのが嫌で仕方がな
かったのだ。結局、黒沢の説得も空しく、一歩も引かなかった後藤。この後、知
人が揃っての麻雀大会があるとの事で後藤は早めに帰る事となった。部屋を出て
行く時に麻雀牌の白(ハク)が妙に目に焼き付いていた。
午後十九時。自宅に戻ると連日の疲れからかベッドで横になると、そのまま眠
りに落ちてしまう後藤だった。
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