18 / 136
捜査開始
18. 八日目、万引き捜査のその後②
しおりを挟む
手荒な真似は、極力避けるべきだろう。後で問題になるのがオチだ。彼らの口
調から判断すると捜査に協力する気が無く、挑発してくる可能性があるだろう。
それに乗らなければ問題無く、時間が過ぎて先輩と交代できるであろう。進むべ
き方向が決定すると後藤は彼らに質問をぶつけ始める。
「この男を知っているか?」
一枚の写真を取り出して二人の表情を読み取る後藤。
「こんな人。知らないよ」
「俺も初めて見たよ」
二人は弁解したが視線が泳いでいるのが分かる。一時間が経過して後藤が口を
開いた。
「知らないなら、単独犯って事で上に報告するとしよう。君達は裕福な暮らしだ
から万引きする必要はないしな」
「家柄は関係無いだろっ!」
怒りの形相で声を荒げる大会社の後継者。対照的に顔を下に向けて消沈する市
議会議員の息子。
「言い方が悪かったなら、謝る。済まない」
「分かって貰えれば良いさ」
後藤は彼らが家庭の環境の中で窮屈な思いをさせられている事を敏感に感じ取
っていた。犯行の動機は、おそらく憂さ晴らしであろう。
「少しの間、席を外すから、ここで待っててくれ」
「早目に頼むよ」
顔を下に向けた少年は今回の事を親に知られたくないのか後藤の目を見て悲痛
な声を出していた。
「努力は、してみるつもりだ」
後藤は部屋を出ると外側からの見張り役を近くに居た交通課の人に無理やり頼
んでから先輩の元へと急ぐ。
「意外と早かったな」
こちらに気付いた先輩が笑みを浮かべて近づいて来る。
「いえ。未だ終わっていません。否認しています」
「そいつは困るな。午後から別件で外出しないと行けないんだ。相手の家柄を気
にするお前じゃ無いだろう。相手は子供だ。少し脅かせば自白するだろう」
「しかし、暴力は問題になりますよ」
「何、ばれない程度に上手くやれば問題ない。傷跡が残る顔は絶対にタブーだぞ。
後のやり方は、お前に任せる」
目の前にいる人物から発せられた言葉とは思えずに耳を疑う後藤だった。仕事
を押し付けた張本人は、そのまま後ろを向いて廊下の奥へと歩いて行く。凶悪犯
罪者なら有効な手段も未成年に使用するのは気が進まない。しかも万引き事件で
は弱い者苛めにしか映らないだろう。
調から判断すると捜査に協力する気が無く、挑発してくる可能性があるだろう。
それに乗らなければ問題無く、時間が過ぎて先輩と交代できるであろう。進むべ
き方向が決定すると後藤は彼らに質問をぶつけ始める。
「この男を知っているか?」
一枚の写真を取り出して二人の表情を読み取る後藤。
「こんな人。知らないよ」
「俺も初めて見たよ」
二人は弁解したが視線が泳いでいるのが分かる。一時間が経過して後藤が口を
開いた。
「知らないなら、単独犯って事で上に報告するとしよう。君達は裕福な暮らしだ
から万引きする必要はないしな」
「家柄は関係無いだろっ!」
怒りの形相で声を荒げる大会社の後継者。対照的に顔を下に向けて消沈する市
議会議員の息子。
「言い方が悪かったなら、謝る。済まない」
「分かって貰えれば良いさ」
後藤は彼らが家庭の環境の中で窮屈な思いをさせられている事を敏感に感じ取
っていた。犯行の動機は、おそらく憂さ晴らしであろう。
「少しの間、席を外すから、ここで待っててくれ」
「早目に頼むよ」
顔を下に向けた少年は今回の事を親に知られたくないのか後藤の目を見て悲痛
な声を出していた。
「努力は、してみるつもりだ」
後藤は部屋を出ると外側からの見張り役を近くに居た交通課の人に無理やり頼
んでから先輩の元へと急ぐ。
「意外と早かったな」
こちらに気付いた先輩が笑みを浮かべて近づいて来る。
「いえ。未だ終わっていません。否認しています」
「そいつは困るな。午後から別件で外出しないと行けないんだ。相手の家柄を気
にするお前じゃ無いだろう。相手は子供だ。少し脅かせば自白するだろう」
「しかし、暴力は問題になりますよ」
「何、ばれない程度に上手くやれば問題ない。傷跡が残る顔は絶対にタブーだぞ。
後のやり方は、お前に任せる」
目の前にいる人物から発せられた言葉とは思えずに耳を疑う後藤だった。仕事
を押し付けた張本人は、そのまま後ろを向いて廊下の奥へと歩いて行く。凶悪犯
罪者なら有効な手段も未成年に使用するのは気が進まない。しかも万引き事件で
は弱い者苛めにしか映らないだろう。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
怪異の忘れ物
木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。
さて、Webコンテンツより出版申請いただいた
「怪異の忘れ物」につきまして、
審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。
ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。
さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、
出版化は難しいという結論に至りました。
私どもはこのような結論となりましたが、
当然、出版社により見解は異なります。
是非、他の出版社などに挑戦され、
「怪異の忘れ物」の出版化を
実現されることをお祈りしております。
以上ご連絡申し上げます。
アルファポリス編集部
というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。
www.youtube.com/@sinzikimata
私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。
いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
怪奇蒐集帳(短編集)
naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。
怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——
どれもがただの作り話かもしれない。
だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。
本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。
最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる