黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査開始

20. 八日目、万引き捜査のその後④ 豹変Ⅱ

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 次に後藤は左手で相手を浮かせた状態のままで右手で相手の頬を挟み、自分の
顔を近づけて凄み始める。
「小僧、言いたい事は、それだけか?」
 頬を挟まれては助けを呼ぶ言葉を綺麗に発する事ができないので首を縦に動か
して危険を回避する行動に出る大会社の後継者。
 本気で挑発に乗ってくるとは思っていなかっただけに二人の少年は豹変した男
の行動に失禁してしまっていた。

「大人をむやみに挑発するのは止めた方が良い。自分の身は自分で守らないと誰
も助けてはくれないのだから。俺は未だ優しい方だ」
 二人は目に涙を浮かべて泣き出していた。泣き声が廊下に漏れ出した頃、偶然
近くを通っていた出張帰りの黒沢が部屋に駆けつける。

「一体、何があった?」
「黒沢警部、お疲れ様です」
「挨拶は良いから、事の成り行きを手短に説明してくれ!」
 後藤は言われた通り、簡潔に説明して黒沢の返事を待った。

 一分後、黒沢が喋りだす。
「幾ら何でも子供相手に暴力は不味いだろう。何とか処分が軽くなるようにしと
くから、お前は署から一歩も外に出るな」
「ご迷惑、御掛けします」
 後藤を部屋から退席させると仮眠室から新品の下着とジャージのズボンを二名
分持って取調室に入り、黒沢が得意の話術で爆笑を誘い、空気を一変させていた。
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