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捜査開始
51. 十日目(謹慎二日)、冷凍室の秘密③
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現場に到着すると冷蔵庫周りに置かれた吸水材がフヤけている事が分かり、
霜取りの状態を確認するべく冷蔵庫に近付く二人。
「どうぞ、先に覗いて下さい」
「それじゃぁ、遠慮なく」
短いやり取りが終わると聡から優先権を得た後藤が冷凍室を覗き込むと赤い
物体が視界に入った。
「ビンゴでしたよ!」
「本当なのか!?」
「こんな時に嘘吐いて、どうするんですか? ご自身で取り出してみて確認し
て下さい」
質問を質問で返す程、動揺を隠せない聡が言われた通りに冷凍室の中から、
赤い物体を取り出す作業を黙って見ていた後藤。
「確かに、これは悟が愛用していた氷枕に間違いないっ」
氷枕の金具部分が水色なのが何よりの決め手となったみたいだ。
「問題は中に何が入ってるかですね!」
「もちろん。私も見る権利があるんだよね?」
「えぇ、それはもちろんです。組織で動いてる訳では無いので、そこは、問題
ないです」
興奮を隠せない聡が上擦った声を出しながら確認する程だったが後藤は冷静
な判断をキープしながらゴム製の氷枕を上から触って状態を確かめていた。
「栓がされていたので中身は氷の状態ですのでアイスピックか熱湯を用意して
貰えますか?」
「了解。空気に触れている部分が遮断されていて中身までは解けなかった訳だ」
「おそらくは、そうでしょうね」
聡は急いで準備に取り掛かると三十秒も経たずに両方を用意して戻って来る。
もちろんアイスピック用のハンマーも忘れる事は無かった。
後藤は、金具に熱湯を少しだけ掛けて表面に付いてる氷を解凍してから取り
外すと聡に注ぎ口が均一になるように広げた状態をキープさせて貰ってから、
中心にポットに入った熱湯を注いで行った。物凄い勢いで氷が蒸気に変わって
溶け出すと、まるで白い煙に包まれているようだった。
中の氷がある程度解けて取り出し可能な大きさになった事が確認できた所で
ポットを床に置いて氷枕の中身をブルーシートの上に落下させた。
「カツンッ」
正月に食べる角餅サイズの氷が現れると銀色の物体が透けて見えた。何かの
鍵に見えたが何の鍵なのかは現時点では判別出来ない状態だった。
「聡さん。アイスピックを借りても良いですか?」
「もちろん喜んで。慎重に頼むよ」
「えぇ。武術のセンスはありませんが手先は割と器用な方なので」
後藤は慎重にアイスピックの位置を決めながらアイスハンマーでヒビを入れ
て行き、中身の全貌が明らかとなった。
「やっぱり、思った通り、鍵ですね! 9621と刻印されています。何か思
い当たる事はありませんか?」
「”くろにわ”と読めるが知り合いには居ないし、でも記憶に残ってる気がする。
ちょっと記憶を辿ってみるよ」
両側のこめかみを右手で押さえながら悟を見送った最後の会話を辿っていく。
「自信が持てないが俺に何かあったら、その鍵を探して欲しいと頼まれていた
気がする」
「何処の鍵だとか言ってませんでしたか? メモでも良いですし」
「場所か……。言ってた気がするがメモは貰っていない」
「メモ媒体でないとなると次に考えられるのは携帯電話ですね。聡さんが持っ
ている事を知ってる人物が弟さんしか居なかった訳ですし」
「成程、確かに説得力は十分にある。問題は何処にあるかだ」
携帯電話の機能については後藤の方が詳しいのでメモ機能を検索したが付属
されていないタイプだと分かり暗礁に乗りかけていた所に聡の記憶が甦った。
「確か、兄さんは記憶力に強い方じゃないから、この数字を全て足した合計の
電話帳のメモリNoに詳細を記入しておくとか何とか言ってた気がする」
「つまり、9+6+2+1=18で18番目に登録されている所に保管されて
いるって事ですね!」
流行る気持ちを抑えて聡の携帯電話の画面に釘付けになる二人。後藤は震え
る指でメモリ番号検索を選択し018を入力して反応を待った。息を呑んだ瞬
間でもあった訳だが、この場所から近い郵便局の私書箱だと分かって他にヒン
トが記されていないか登録情報のメモ機能を見ると”最後の隠し場所”と書かれ
ていた。
(要約、最後の手掛かりまで辿り着くことが出来た訳だ)
安堵した二人はブルーシートに飛散した水たまりも、お構いなしに勝者の様
な仰向けで倒れ込んでのガッツポーズを繰り出していた。
霜取りの状態を確認するべく冷蔵庫に近付く二人。
「どうぞ、先に覗いて下さい」
「それじゃぁ、遠慮なく」
短いやり取りが終わると聡から優先権を得た後藤が冷凍室を覗き込むと赤い
物体が視界に入った。
「ビンゴでしたよ!」
「本当なのか!?」
「こんな時に嘘吐いて、どうするんですか? ご自身で取り出してみて確認し
て下さい」
質問を質問で返す程、動揺を隠せない聡が言われた通りに冷凍室の中から、
赤い物体を取り出す作業を黙って見ていた後藤。
「確かに、これは悟が愛用していた氷枕に間違いないっ」
氷枕の金具部分が水色なのが何よりの決め手となったみたいだ。
「問題は中に何が入ってるかですね!」
「もちろん。私も見る権利があるんだよね?」
「えぇ、それはもちろんです。組織で動いてる訳では無いので、そこは、問題
ないです」
興奮を隠せない聡が上擦った声を出しながら確認する程だったが後藤は冷静
な判断をキープしながらゴム製の氷枕を上から触って状態を確かめていた。
「栓がされていたので中身は氷の状態ですのでアイスピックか熱湯を用意して
貰えますか?」
「了解。空気に触れている部分が遮断されていて中身までは解けなかった訳だ」
「おそらくは、そうでしょうね」
聡は急いで準備に取り掛かると三十秒も経たずに両方を用意して戻って来る。
もちろんアイスピック用のハンマーも忘れる事は無かった。
後藤は、金具に熱湯を少しだけ掛けて表面に付いてる氷を解凍してから取り
外すと聡に注ぎ口が均一になるように広げた状態をキープさせて貰ってから、
中心にポットに入った熱湯を注いで行った。物凄い勢いで氷が蒸気に変わって
溶け出すと、まるで白い煙に包まれているようだった。
中の氷がある程度解けて取り出し可能な大きさになった事が確認できた所で
ポットを床に置いて氷枕の中身をブルーシートの上に落下させた。
「カツンッ」
正月に食べる角餅サイズの氷が現れると銀色の物体が透けて見えた。何かの
鍵に見えたが何の鍵なのかは現時点では判別出来ない状態だった。
「聡さん。アイスピックを借りても良いですか?」
「もちろん喜んで。慎重に頼むよ」
「えぇ。武術のセンスはありませんが手先は割と器用な方なので」
後藤は慎重にアイスピックの位置を決めながらアイスハンマーでヒビを入れ
て行き、中身の全貌が明らかとなった。
「やっぱり、思った通り、鍵ですね! 9621と刻印されています。何か思
い当たる事はありませんか?」
「”くろにわ”と読めるが知り合いには居ないし、でも記憶に残ってる気がする。
ちょっと記憶を辿ってみるよ」
両側のこめかみを右手で押さえながら悟を見送った最後の会話を辿っていく。
「自信が持てないが俺に何かあったら、その鍵を探して欲しいと頼まれていた
気がする」
「何処の鍵だとか言ってませんでしたか? メモでも良いですし」
「場所か……。言ってた気がするがメモは貰っていない」
「メモ媒体でないとなると次に考えられるのは携帯電話ですね。聡さんが持っ
ている事を知ってる人物が弟さんしか居なかった訳ですし」
「成程、確かに説得力は十分にある。問題は何処にあるかだ」
携帯電話の機能については後藤の方が詳しいのでメモ機能を検索したが付属
されていないタイプだと分かり暗礁に乗りかけていた所に聡の記憶が甦った。
「確か、兄さんは記憶力に強い方じゃないから、この数字を全て足した合計の
電話帳のメモリNoに詳細を記入しておくとか何とか言ってた気がする」
「つまり、9+6+2+1=18で18番目に登録されている所に保管されて
いるって事ですね!」
流行る気持ちを抑えて聡の携帯電話の画面に釘付けになる二人。後藤は震え
る指でメモリ番号検索を選択し018を入力して反応を待った。息を呑んだ瞬
間でもあった訳だが、この場所から近い郵便局の私書箱だと分かって他にヒン
トが記されていないか登録情報のメモ機能を見ると”最後の隠し場所”と書かれ
ていた。
(要約、最後の手掛かりまで辿り着くことが出来た訳だ)
安堵した二人はブルーシートに飛散した水たまりも、お構いなしに勝者の様
な仰向けで倒れ込んでのガッツポーズを繰り出していた。
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