黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

文字の大きさ
50 / 136
捜査開始

50. 十日目(謹慎二日)、真夜中の着信&朝食タイム

しおりを挟む
 後藤が寝静まった頃、組員の恩田は、追い込みを掛けるべく債務者の帰宅を
待っている途中だったが子分からの緊急な電話が入って内容を耳にすると人が
変わったように挙動不審になり、その場を行ったり来たりして落ち着きを失く
して行った。辮髪に灰色のカンフー道着を来た危険な匂いのする人物を見掛け
たらしく急いで電話してきたとの事だった。電話を掛けてきた子分は盃を交わ
したばかりだったので、それが銀髪の悪魔と恐れられた男の正装だとは気付く
筈も無かったが本物かどうかを確認したかったので望遠レンズを使って写真を
取るように指示して電話を切った。シャッター音が耳に入れば無事で済む筈が
無い事を百も承知のアドバイスであった。
「堅気になって名古屋でラーメン屋をしてた筈じゃなかったのか!? 何故、
今になって新宿歌舞伎町に戻ってきたんだ?」
 何度、頭の中で考えても答えは、一向に出て来ないので体温が急激に下がる
のを止める事が出来ず、一旦引き上げる事も念頭に置きながら、体温を急いで
温める必要がある事と記憶の奥底に隠していた”悪夢”の封印が解かれるのを必
死で抑え込んでいた。恩田にとって法海侯の存在は恐怖の対象であり、唯一の
弱点でもあった。 
 

「ピピッピピッ……」
 携帯電話のアラームで目覚めた後藤は朝食の準備をしているエプロン姿の聡
を発見して声を掛けた。
「聡さん。おはようございます! 昨日は眠れましたか?」
「それが興奮して眠れなくてね。まぁでも何が出てくるかは楽しみではあるよ」
「ハードル上げないで下さいね。もしかしたら読みが外れてる可能性だって0
じゃないんですから」
「それはそうだけど、頭の中で考えたって答えは出ないんだから先ずは朝食に
しよう」
「はい。食欲だけが取り柄みたいな所もありまして食事は一度も残した事が無
いのが自慢です」
「へぇーそうなんだ。好き嫌いが無いのは今時、珍しいかもしれないな」
「私はそうは思いませんけど……」
 陶器の白い皿にはハムエッグとシーザーサラダにパニーニが載せられていて
手作りの野菜ジュースも添えられていた。二人とも、ほぼ同時に食事を全て平
らげるとシンクの中に皿を重ねて西隣の悟の部屋へと移動していた。もちろん
秘密の通路を使用する選択肢を選んでおり、人目に付く行動を避ける事を心掛
けていた。

*パニーニ=パンで具材を挟んだイタリア料理の軽食

 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

怪異の忘れ物

木全伸治
ホラー
千近くあったショートショートを下記の理由により、ツギクル、ノベルアップ+、カクヨムなどに分散させました。 さて、Webコンテンツより出版申請いただいた 「怪異の忘れ物」につきまして、 審議にお時間をいただいてしまい、申し訳ありませんでした。 ご返信が遅くなりましたことをお詫びいたします。 さて、御著につきまして編集部にて出版化を検討してまいりましたが、 出版化は難しいという結論に至りました。 私どもはこのような結論となりましたが、 当然、出版社により見解は異なります。 是非、他の出版社などに挑戦され、 「怪異の忘れ物」の出版化を 実現されることをお祈りしております。 以上ご連絡申し上げます。 アルファポリス編集部 というお返事をいただいたので、本作品は、一気に全削除はしませんが、ある程度別の投稿サイトに移行しました。 www.youtube.com/@sinzikimata 私、俺、どこかの誰かが体験する怪奇なお話。バットエンド多め。少し不思議な物語もあり。ショートショート集。 いつか、茶風林さんが、主催されていた「大人が楽しむ朗読会」の怪し会みたいに、自分の作品を声優さんに朗読してもらうのが夢。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo
ホラー
この世には、知ってはいけない話がある。  怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——  どれもがただの作り話かもしれない。  だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。  本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。  最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

処理中です...