黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査開始

55. 十日目(謹慎二日)、不在連絡票

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 鼻からも吐しゃ物が出たので何も食べる気になれずに歯磨き粉で歯の上と鼻
の穴にも塗り込んで異臭の根元を根絶させるべく掃除していく。
 同期の小林の言う通り、中々の刺激だったので精神的なダメージも大きくて
しばらく天井をボーっと眺めるしかなかった。
(流石に、あの動画は西新宿所の皆には見せられないよ……。特に女性には)

 慌てて玄関に入った事を思い出して玄関に備え付けられた郵便受けを確認す
ると不在連絡票が入っている事に気付いた。手に取って差出人の名前の欄を見
てみると黒沢となっていた。商品の項目には家電にチェックが入っており、
FAX機と書かれていた。
「何で俺の所にFAXが届くんだよ。意味が分からない……」
 しかし、あの映像を観た後では、簡単に送り返すという選択肢は無くなり、
怒らせてキレさせない事だけに注意を払う必要がある事を脳が理解していた。

  頭の中が混乱している所で噂をしていた黒沢警部から携帯電話に連絡が入っ
てワンコールで電話に出る後藤。
「ちゃんと家で大人しくしてたか?」 
「はい。もちろんです」
「それは良い心掛けだ。今日の午前中に宅配便で俺からの荷物が届かなかった
か?」
「トイレで便をしてた時だったみたいで受け取れなかったです。しかし、どう
してFAX機なんですか!?」
(とっさの嘘にしては上出来だと自分で褒めたくなっていた)
「謹慎中にも有益な情報を集めたいと思って少し前に署の使わなくなった中古
品を拝借して送ったんだ。東先生も治療で忙しいみたいだから、他にも説明し
たい事もあるって事になって、じゃあFAXでやりとりした方が早いかもしれ
ないって盛り上がってな。きょうの昼にでも使える契約を代理で済ませて置い
たから遠慮せずに活用してくれ。それとも何か不満でもあるのか?」
 黒沢の質問に足して、怒らせない返事の仕方を頭の中でフル回転させていた
ので額から汗が滴り落ちていて首元が汗でヨレヨレになっていく。

「そんな事があったんですか……。不満なんてとんでもございません。分かり
ました。有効活用させて貰いますっ!」
 黒沢からの電話が切れると張り詰めた緊張の糸が切れて、膝から崩れ落ちる
後藤だった。外出していた事がバレていないと分かると急いで宅配ドライバー
に再配達を頼む為に不在連絡票に書かれている携帯電話の番号を押した。 
 電話は3コールで繋がり、午前中の再配達の約束に漕ぎ着けると肩の力が抜
けてヘロヘロとなっていき、床に対して横向きで寝そべる後藤だった。
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