黒庭 ~閉ざされた真実~

五十嵐 昌人

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捜査最終日

83. 十一日目(謹慎三日)、山城の告白②

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「頭の中を整理していたもので直ぐに言葉が出なくて済みません。
個人的な意見を言わせてもらうと追い込まれてた状況では、あなた
を誰も責められないと思います。他に室木さんと親しい人は御存知
ですか?」
「えぇ、もちろん知ってます。黒沢と室木は、もう一人の同級生と
一緒に行動する事が多かったですよ。名前は庭村と言います」
「えっ今、何と言いました???」
「ニ・ワ・ム・ラですよ。庭遊びの庭に市町村の村と書きます」
 山城はワザとゆっくりとした口調で話すと後藤の反応を待った。

 目を丸くしながら記憶の奥底から警察手帳に書いたであろう名前
のページを探し出し照らし合わせる後藤。
「私が追っている別の事件の被害者の父親の名前が庭村と言いまし
た。そして中の良かった同級生の室木さんが鑑識官であるという事
で別々だった点と点が結ばれて一つの線になりました。ベテラン鑑
識官と表記されていて苗字を見るのを疎かにした私のミスです。後
で確認する必要が出て来ました」
「誰だって思い込みの強い時は一つや二つは在るものですよ」
「この件に黒沢警部は関与してるんでしょうか?」
「さぁどうだろうか? 卒業してからとなると室木としか付き合い
が無いから詳しくは分かりませんが室木に関しては上司や部下から
も信頼が厚いと伺っています」
「うーん。根回しをしなけらばならない理由が私には思い浮かびま
せん。後の優秀なベテラン鑑識官が二人と行動を共にするキッカケ
は何だったんですか? ありがちな煙草を吸っていたのを身代わり
になったとかですか?」
「残念ながら煙草ではありません。私は学年主任もやってましたか
ら、当時、室木のクラスでは陰湿なイジメがありまして男子生徒4
人と女子生徒4人による午前、午後の入れ替わり制のイジメが毎日、
続いていたんです。生徒による目撃情報はあったんですけど教員が
現場に駆け付けようとすると被害を受けた室木だけがポツンと居る
だけで証拠も無く、犯行を認めさせる決め手がありませんでした」
「8人もいるグループで一人もですか?」
「そうです。恥ずかしい話ですが一人も捕まえられませんでした」
「8人の各々の親は議員やPTA関係の有力者ばかりでして刺激を
与えたくないという教頭の意向もあり、教員(大人)が目撃しない
場合はイジメとは認めないという特別なルールが設けられました」
「そんなバカなっ!!」
「当時は普通にあったんですよ。教員も上下関係が厳しいですから
出る杭は打たれるという奴でして8人以外を厳しく指導してるだけ
なので”教頭の腰ぎんちゃく”という渾名が流行ってましたよ」
「イジメの原因は何だったんですか?」
「テストのカンニングをホームルームの時間に担任へ名指しで注意
したんですよ。担任は例の8人に関してはカンニングは、お前の見
間違いだって鼻で笑われたという事を本人から聞きました。
「担任では取り合ってくれないので学年主任の山城先生に相談しに
行った訳ですね。で、どう答えたんですか?」
「学年主任を任されるにあたって小学生時代に好き勝手やってきた
生徒をまとめた資料に目を通した事がありましたから顔と名前と人
数は全て把握してましたのでイジメが始まるのは時間の問題だと告
げました。そして、その件に関して、この校内で助けてくれる教員
(大人)は独りも居ない事を正直に話しました。耐えられなくて死
にたいと思うようになったら、もう一度だけ相談に来て欲しい。底
から脱出できる協力な助っ人を紹介する事を約束して帰しました」
「そこまでハッキリ言えるものなんでしょうか?」
「当時は、それが正解だと思ってました。ですが、それが数十年後
、間違っていたかもしれないと思うようになりました。室木は、ま
ともですが黒沢に輪を掛けてヤバかったのが庭村なんです……」
 山城のあまりに真剣な眼差しを受けて唾を飲み込む音がゴクンと
響き渡った後藤だった。
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