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捜査最終日

107. 十一日目(謹慎三日)、舞い込んだ新たな情報

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 室木との会話で木島課長が自殺で間違いないとの情報を得た後藤だったが、
庭村と思われる人物と会っていると言われた事に動揺していた。誰なのか本当
に見当が付かなかった。身体的な特徴を知っている訳でもないので更に不気味
さが増していく。

 しばらく何も考えられない状態になっており、テレビ番組を付けっぱなしに
していた。もちろん内容など頭に入る訳もなく、無駄な時間が流れていった。
時刻は17時半を指していた。
 その時、携帯電話の着信音が鳴り響いた。
「テロンテロン、テロン」
「もしもし、後藤さん。私、聡です。ちょっと思い出した事があったんで電話
する事にしました。実は生前、弟の悟にはマニアックな趣向がありまして高級
ブランド物の葉巻を愛用していたんです。いつもストックを切らす事が無かっ
たのですが先程、隣の部屋で何度も探したのですが現物とシガーカッターが、
一向に見当たりませんでした。難解な事件を解決した自分への御褒美に自室で
籠っての一服をしているんだと聞かせれていましたので無いのは不自然な気が
したんです!」
「つまり、その高級ブランド物の葉巻を犯人が持っている可能性があると言い
たいんですね!」
「えぇ、そうです」
「その話が本当ならば、その可能性は、かなり高い気がします」
「捜査には直接、関係が無いと思っていたので今まで忘れていましたが紛失し
ているって変ですよね?」
「確かに変です。悟さん。貴重な情報を教えて頂いてありがとうございますっ」
「じゃぁ、また何か分かったら連絡します」
 ここで聡との電話が終わった。この時点で新たな手掛かりを入手出来た事は
大きかったが犯人が残りの葉巻を今も持っているのか迄は判断がつかなかった。
吸い尽くしてしまった可能性はゼロでは無いからだ。もし吸い尽くしてしまっ
たとしたらシガーケースやシガーカッターも処分しているので、そうなってい
たとしたら犯人へと繋がる重要な手掛かりは確実に無くなったと言っても過言
ではなかった。

 数秒後、悟からショートメールにて詳細が記載されていた。念の為、目を通
して見るとロブストと呼ばれるタイプの葉巻でサイズ 直径19.84mmx長さ
124mm 喫煙時間50分で愛用していたのがキューバ産のコイーバ・ロブスト
と書かれており、一本3500円はするともあり、思わず二度見してしまった。
特徴としては琥珀色のボディで蜂蜜の成熟した味わいがとてもリッチな気分に
浸らせてくれるそうで中盤から、土や木の香りが強くなっていき、最後まで、
しっかりとした味を楽しめる逸品。と結ばれていた。

 紙煙草やパイプでは無くて葉巻を愛用していた事を初めて知った訳だが、
葉巻=マフィアの乏しいイメージしか沸いてこなかった。大人の嗜みとしての
愛好家が存在する事は知っていたが自分が吸っているイメージは想像すら出来
なかった。
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