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捜査最終日
110. 十一日目(謹慎三日)、武器調達
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後藤は事前に調べた中野のミリタリーショップで目当てのエアガン
を物色していた。運が良かったのかは分からないが他の客は見当たら
なかった。気に入るエアガンが見付かると他の物には、目もくれず、
カウンターへと急いだ。店員にはサバゲー用だと告げた。店員は試し
撃ちをするかを聞いて来たが今は時間が無いので今度買う時は必ず試
させて貰うと素っ気ない返事をした。店を一刻も早く出たかったから
に他ならなかったが店員は訳ありだと見て意外な言葉を口にし始めた。
「こちらの商品は店頭には直接並ばない通販用なのですが護身用には
打ってつけの商品でして良かったら購入しませんか?」
「私は一度も護身用が欲しいとは言っていないのだが私の聞き間違い
だったかな?」
「サバゲーを好まれる方で混雑していないにも関わらず、試し撃ちを
しない方も珍しいですからね~」
「そんなに切羽詰まった顔に見えるのか?」
「えぇ、職業柄、色々な人を観てますからサバゲーで、使用しない事
くらいは簡単に分かりますよ。他の店員なら干渉しないでしょうし、
犯罪に悪用されかねない人にも販売してしまうでしょう。私は店長を
10年勤めさせて貰っております」
丸メガネを掛けたオデコの広い小柄な男だった。茶色いエプロンの
右上に店長の札が取り付けられている事が分かると嘘を付くのを止め
てカウンターに身を乗り出して返事をした。
「そうなのか。分かった。バレバレなのなら仕方ない。そちらのお薦
めする護身用とやらを見せて貰おうかっ」
開き直った態度で相手の出方を伺う事にした後藤。
「えぇ、私も一応、専門グッズを販売しているプロですから貴方が欲
しがっている物は大体想像できます。これなんかどうでしょうか?」
店員が提示した商品は、クレジットカードサイズのカード型ナイフ
だった。財布に忍ばせるサイズ感が魅力だったが実際の切れ味はどう
なのかが気になった。
「ポリプロピレンの本体にステンレス製のサージカルブレードを内蔵
している商品でございます。サージカルとは外科用という意味でして
鋭い切れ味で野菜も細かく切り刻む事が可能ですよっ」
「さっきは護身用とか言っていなかったか?」
「売る時は相手を選びますので慎重に言葉を選んで相手の反応を伺っ
てから提供するようにしております。特に私の場合はですがねっ」
「で、俺にこれを譲ってくれるのかい?」
「えぇ、丸腰では刑事も不安でしょうからね」
「おっおいっ! 今、何て言った!?」
「ですから、おたくが後藤巡査でしょ」
「こりやぁ、まいったな。誰からのタレコミだ」
「3分前に店の方に虻沼と名乗る人から電話が掛かってきまして名前
と職業、外見の特徴を聞かされて護身用を調達してやって欲しいと」
「成程、俺のプライベートは筒抜けって事か……」
「店としては犯罪者予備軍に渡すよりは安心ですがね」
「そうかい。なら買わせて貰うよ。俺がここに来たことは内緒にして
おいてくれ」
「はい。心得ております」
後藤は、現金で払うと二つの商品をショルダーバッグに入れて店を
出た。虻沼という男の気色悪さばかりが目立ったが必要以上の武器が
入手出来た事は嬉しい誤算だった。
を物色していた。運が良かったのかは分からないが他の客は見当たら
なかった。気に入るエアガンが見付かると他の物には、目もくれず、
カウンターへと急いだ。店員にはサバゲー用だと告げた。店員は試し
撃ちをするかを聞いて来たが今は時間が無いので今度買う時は必ず試
させて貰うと素っ気ない返事をした。店を一刻も早く出たかったから
に他ならなかったが店員は訳ありだと見て意外な言葉を口にし始めた。
「こちらの商品は店頭には直接並ばない通販用なのですが護身用には
打ってつけの商品でして良かったら購入しませんか?」
「私は一度も護身用が欲しいとは言っていないのだが私の聞き間違い
だったかな?」
「サバゲーを好まれる方で混雑していないにも関わらず、試し撃ちを
しない方も珍しいですからね~」
「そんなに切羽詰まった顔に見えるのか?」
「えぇ、職業柄、色々な人を観てますからサバゲーで、使用しない事
くらいは簡単に分かりますよ。他の店員なら干渉しないでしょうし、
犯罪に悪用されかねない人にも販売してしまうでしょう。私は店長を
10年勤めさせて貰っております」
丸メガネを掛けたオデコの広い小柄な男だった。茶色いエプロンの
右上に店長の札が取り付けられている事が分かると嘘を付くのを止め
てカウンターに身を乗り出して返事をした。
「そうなのか。分かった。バレバレなのなら仕方ない。そちらのお薦
めする護身用とやらを見せて貰おうかっ」
開き直った態度で相手の出方を伺う事にした後藤。
「えぇ、私も一応、専門グッズを販売しているプロですから貴方が欲
しがっている物は大体想像できます。これなんかどうでしょうか?」
店員が提示した商品は、クレジットカードサイズのカード型ナイフ
だった。財布に忍ばせるサイズ感が魅力だったが実際の切れ味はどう
なのかが気になった。
「ポリプロピレンの本体にステンレス製のサージカルブレードを内蔵
している商品でございます。サージカルとは外科用という意味でして
鋭い切れ味で野菜も細かく切り刻む事が可能ですよっ」
「さっきは護身用とか言っていなかったか?」
「売る時は相手を選びますので慎重に言葉を選んで相手の反応を伺っ
てから提供するようにしております。特に私の場合はですがねっ」
「で、俺にこれを譲ってくれるのかい?」
「えぇ、丸腰では刑事も不安でしょうからね」
「おっおいっ! 今、何て言った!?」
「ですから、おたくが後藤巡査でしょ」
「こりやぁ、まいったな。誰からのタレコミだ」
「3分前に店の方に虻沼と名乗る人から電話が掛かってきまして名前
と職業、外見の特徴を聞かされて護身用を調達してやって欲しいと」
「成程、俺のプライベートは筒抜けって事か……」
「店としては犯罪者予備軍に渡すよりは安心ですがね」
「そうかい。なら買わせて貰うよ。俺がここに来たことは内緒にして
おいてくれ」
「はい。心得ております」
後藤は、現金で払うと二つの商品をショルダーバッグに入れて店を
出た。虻沼という男の気色悪さばかりが目立ったが必要以上の武器が
入手出来た事は嬉しい誤算だった。
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