Coffee Break

Pomu

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また明日

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シャワーを浴びてホテルの部屋に戻ると、あいつはいつも窓の側に立って、ただじっと外を見ている。 

 バスローブがはだけた細い肩に、髪の先から雫が落ちる。

今、その後ろ姿を抱きしめて、一言何か愛の言葉でも囁けば、何か変わるのだろうか。



いや…きっと何も変わらないだろう。

何も変わることなく、今日もあいつはきっと、俺の腕をすり抜けていく。





いつから、こんな関係になったんだろう。

何で、こんな関係になってしまったんだろう。

きっかけは全部、あいつだった。





その細い肩を、柔らかな髪を、花が咲くような笑顔を、ほんの一瞬でも俺だけのものに出来るならそれでもいいと思った。

気まぐれでも、暇潰しでも、誰かの代わりでも。

でもそんなふうに思えたのは、本当に一瞬だけで、こうして夜を重ねれば重ねるほど、俺はどんどん欲張りになっている。



あいつを本当に、俺だけのものにしたい。

誰かの…何かの代わりなんてもううんざりだ。







「なぁ」



振り向いた瞳は、涙が溜まったように潤んでいる。

その目に、俺だけが映ればどんなにいいだろう。





「なに?」



顔を近寄せて、何を考えているのかわからない表情で俺を見上げる。

数ミリほどの距離。

それでも、ここに愛がないだけで、果てしなく遠くに感じる。





「俺たち…」



ちゃんと付き合おう。

恋人になろう。

こんな虚しい夜はもう終わりにして、一から始めよう。



そんな言葉たちを、唇で止められ、耳元にいつもの言葉が聞こえる。





「また明日ね」





そして俺から、この夜から、逃げるようにあいつはホテルの部屋を出ていく。





俺の腕に残るのは、いつも虚しさだけ。

まとわりつくような、ボディソープの香りだけだった。










………END
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