仙人の島

モリタロウ

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時の仙人

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はじめに多知火島にあらわれたのは、ワカレという男でした。

ワカレは西の大陸で、星見ほしみの占いや、生薬しょうやくの調合をしていました。

ワカレは皇帝から不老不死の霊薬探しを命ぜられ、各地を探し回った末に、多知火島に辿り着いたのでした。

ワカレは、多知火島の西、ミクリの入り江から陸に上がり、一夜ひとよを浜で過ごしました。

ワカレが浜で星見の占いをしたところ、白い鷹があらわれ、ワカレを島の北にあるミダガの森に導きました。

ミダガの森で鬼熊おにぐまに襲われたワカレは、鬼熊から逃げるうちに、キヌウの木に出会い、これに登りました。

三夜の間、キヌウの木を登り続けたワカレは、キヌウの木の真ん中にあるうろに隠れました。

そこでワカレは、「すべてを知っている」実を食べ、三夜さんやの間、眠り続けました。

目が覚めた時、ワカレはもはやワカレではなく、時を司る仙人となっていました。
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