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残されし者たち

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王が息を引き取るまでを姫の声と
屋敷のビジョン(映像と音声)
鬼鵺きぬ・絹・新次郎の3人は追体験ついたいけんした。

その直後・・・

ズッガッガッガーーーン
ブワサッ・・・

屋敷の中にいる3人の脳裏のうりに突然・
ビジョンが表れた。

うっうっ・・・何なんだっ!
こ・これは・・・
屋敷は更に鬼鵺きぬ達3人の脳裏に映像を
送って来た・・・
ズバババババーーーーン
ガガリガリガリッ・・・ドカンッ!!

鬼鵺きぬが見ているのは
ヤマタノオロチの姫が何者か?に
凄惨せいさんな暴力を受け続けている
場面だった。
「なんだっ!このイメージは!
やめろっ!
前回でヤマタノオロチの姫と皇子
は完じゃなかったのか!」


屋敷は
「姫様ガガガ・・未来へへ・・
行くくく・・
こいつ・・・ののの・・・セイ
・・・」
「えっ!おいっ!屋敷・おまえっ
見てたのかっ!」
「姫様・・・遠いいいい・・・
未来で・・・おまええええ・・・
待ってるううう・・・」

「・・・・よく・・・わからんが
姫がオレを必要としてるから
オマエがオレを拉致らちって未来へ
飛んでるのか?」
「・・・・・・そう・・・だ
・・・」

「お鬼鵺きぬちゃん・・・私にも
見えたわ・・・」
「・・・そうだす・・・ここは
姫の古墳こふんだす。
それも大阪の守護・・・いやっ!
関西全域を守っていると言っても
過言ではない古墳だす。
しかし古墳やけど御遺体ごいたい
あらしまへん。」

「きっ!貴様きさまぁっ!新次郎!
知っていたのかっ!」

「おおっこわっ!・・・まぁ・・
いずれお話しさせて
もらおうとは思てました。
なにしろ話が長いもんで・・・」

「そうだったのですか・・・
新次郎様・・・」

「絹ちゃん!堪忍かんにんやで!またまた
ビックリさせてもうた!
ワシはひどい!のを通り越して
変態悪魔へんたいあくまだすな!堪忍かんにんやで!
せやけど、この
秘密は誰にも明かさず
大男はんや我々われわれで守らね
ば、ならんのだす。
なぜなら・・・ここが
日本の特異点なんだす。」

「・・とっ・・ととと、特異点
・・・そそそ・・そうかも・・
シレン・・・ワタシは・・・ドド
ド・・どえらい事になった・・
と・・・かかか感じっててて・・
・ワタシの周りの・・すすすっ・
・水蒸気ををを・・・レンズに
して・・・ワワワ・・ワタシの・
・目にししし・・・した。
そそそ・・・それがこの記憶
(ビジョン)だだだだ。
ははは・・・はじめ・・・から
・・みみみ見てクレ・・

じじじ・・・事件は起きた。
こここ・・・ここから・・ひひひ
・・姫視点でいいい…行く。

・・・・・・・・・・・・・・・

私は皇子が奈羅・イカルガへ赴き
泣いて暮らしていた。

「クチュン・・クチュン・・・
カッコちゅけて、やってこ~~い
なんて・・・言うんじゃ無かった
れしゅ・・・
ホントは・・行っちゃいやれしゅ・
・・ダメなのれしゅ・・・
ちゃびちいぃれしゅ・・・

こんなヒトのみやこでアタチ一人で
どーちたらいいのレシュカ??

マツリゴトなんて大変な事・
しないでイイれしゅっ!!
それよりっ!!あのっ!!お祭り
を毎週・・・
いやいや・・月に一回で
いいれしゅ・・・・

そちたら・みんなっ!みんなっ!
喜びましゅ・・・
沢山の大阪のお店ももおかって
喜びましゅ・・
だからだから・・・
もう…奈羅・イカルガなんて
行っちゃイヤァァァ・・・・
帰って来てくだしゃい・・・
お願いれしゅ・・・
うっうっうっ・・・」

これが私の本音ほんねだった・・・・

なのに・・あのとき・・私は・・
見送りを精一杯・・
努力して|平成へいせいよそおい・・・

「フンッ・私はおまえなど・・
いなくてもこの地・大阪で
暮してゆける。

フンッ・おまえがマツリゴト~
フフフ・・わらかす!まぁ・・
焦って下手な治世良い政治を起こさず!
のんびりと良く考えて・
間違わない政治をしてこぉ~い!
ふっ!まぁ・・おまえの事だっ!
間違えた政治をして民衆からっ
却下きゃっかの連続で泣いて帰って来る
のがオチだが・・・

まぁ~・・・ダメモトで頑張って
こい!努力は人を裏切らないとか、
人は言ってるようだが・・・
フフフ・・まぁ現実を知るのは
おまえには良い勉強だっ!
頑張ってっ!やってこ~~い!」
などと・・・・・

かっこつけたがうそ嘘でちゅ・・・
うそなんでちゅ・・・・ホントは
・・ホントは・・・
ちゃびちいのれしゅ・・・

なのに・・・カッコつけた事を
言ったら・・・皇子は真に受けて
「姫っ!オレは頑張ってきます!
そして名実ともに民衆に認められ
た王になり堂々とあなたを!
この国の姫としてむかえに来ます!
オレが粉骨砕身ふんこつさいしんして万民ばんみんみとめら
れる様になり
ヤマタノオロチの姫がオレの
よめだっ!~~~てっ
言えるようににしますからっ!」

私は頭の中が真っ白になった・・・

(いやっ!ちがうんだっ!
何を真に受けてるんだっ!
ウソウソウソッ!
違う違う違う・・・・
ごめんっ!うそっ!ごめんっ!
ホンット!!あやまるからここに
居てぇ~んっ!!)

と・・思っていたら・・・
ザッザッザッ・・・と近衛このえ
馬たちが国母を守りつつ
奈羅・イカルガの方向へ
進みだした。

最後まで私の前にいた皇子は
「姫っ!必ずっ!必ずっ!迎え
に来るまでお待ち下さいっ!」
と言い残し・・・きびすを返して
近衛達このえたちについて行った。

行ってしまった・・・

私はポカンッとクチを開けて
ほうけてしまった・・・
(私はどこまでおろかなのだ?
カッコばかりつけて
素直になれない・・・
ヒトじゃない私がこの地・大阪に
いる意味は何なんだ?
そう・・・
皇子が望んだ・・からだ。
皇子となら・・どうなってもいい。
一緒に居れるならどこでも
よかった・・・

でも・・・今日から皇子はいない
・・・
どういう事なんだ?・・・
コレは・・・
どーいう事なんだっ!と
聞いているっ!・・・私はバカ
なのか・・・
自分に聞いてもわからんではっ・
・・無いかっ!!
バカは死ななきゃ・・・
なおらない・・・はホントなのかも
・・・シレン・・・)

あれから、私は屋敷から出る事
も無く・・・2ヵ月ほど経った。

この頃には涙も枯れ果かれはててしまい
・・・暗い屋敷の中で
ボーとして・・・ただ・・ただ・
息をしていた・・・

こんな時・・・食事を取らずとも
生きている私は何なのか?
なぜ?私は一人なのか?
考え続けた・・・以前・・・
洞窟どうくつで一人暮らしは当たり前
だった。
あの頃にはこんな事を考える事は
無かった。
あいつのせいだ!皇子っ!
皇子っ!まだ・・・帰らんのか・
・・うっ・・うっ・・うっ・・・

おまえが肌と肌を合わせてお互い
の身体もココロも温め合う・・・
そんな事を私の全ての五感に・・
・打ち込んでおきながら・・・

おまえはいない・・・

あのバカみたいな、おまえの、
め言葉・・・

私を美しいと連呼れんこし・・・
スキスキの大スキとはずかし気も無く
大声で言うおまえっ!!

うっうっ・・・クチュン・・・
クチュン・え~~ん・・え~~ん
早く・・・早く・・・帰って来て
くだしゃい・・・

お・・・お願いれしゅ・・・

れたと想った涙は・・まだまだ
・・・出続けた・・・

そんな頃だった、事件は起きた。

ザクッ・・ザクッ・・・ザクッ
・・・・
大きな足音がした。

何者かが・・・皇子と私の屋敷
に近づいてきた・・・
私の何かが?ざわついた・・・
身体が?ココロが?・・・
イヤッ!!全身が危険を
感じたっ!

外には皇子がおいて行った私の
ため世話係せわがかりがいる。
そいつらとは極力きょくりょく・・
接触せっしょくこばんでいたが・・・

何度か面識めんしきはアル。
一目みて、相当な手練てだれ(プロの事)
でアル事は理解できた。
(優しい皇子と違って)

その世話係達が外で
何奴なにやつっ!ここからっ!
立ちされいっ!ここは貴様のよう
やつが足を踏み入れる場所では
無~~~い!」と注意喚起ちゅういかんきをした。

だが、私はこれは・良く無いっ!
と・・本能的ほんのうてきに感じた。

泣いてバカリの私は体力も落ちき
っていたが・・・これは・・
世話係達が殺されるっ!
と判断した。

屋敷のふすまを「バァ~~ン!」
と開けっ!
「オマエっ達っ!
手を出すんじゃ~~~無いっ!」

長らく顔を見せて無い私の突然の声に
「えっ!」ときょをつかれた世話係たちは
合計5人居た。

みんな・・・感じていたのだろう・・・
「自分たちではこの無頼ぶらいに勝てない・・
・危険すぎる!」と。
私の掛け声で5人の内・
4人は瞬間に姿を消した?

私は驚いた!
「えっ!ホ~~~凄い!」
これが忍術なのか?

ヒトの能力を超えてるのでは・・
・と感心したのもつかの間・・・

一人の若く背丈せたけの小さい世話係は
姿を消さず、無頼ぶらいに向かって
行った・・・

無頼ぶらいは(楽しくも面白くも無い)
・・・只々・・・単にあわれみを
感じるぞっ!と
言う目つきで若い世話係を見た。
「フゥ・めんどくさい・・・」

若い世話係は猛烈な勢いで走り
ながらも右腕は背中のクナイ。
左手は腰の位置の手榴弾しゅりゅうだん
にぎっていた。

前面にいる無頼ぶらいに手榴弾を
投げて無頼ぶらいがそれを避けた場所
を予測してクナイで切るっ!
これが、この若い世話係の作戦
のようだ・・・

しかし、それをかくれて見ていた
他の世話係達は
「やめろっ!無理だっ!
コリス丸っ!」と叫んだ!

コリス丸は、
「ツグミ丸先輩っ!こいつは
危険ですっ!これはっ!コイツは
尋常じんじょうじゃぁ無いっ!
ツグミ丸先輩!見てて下さいっ!」

奥義!爆陣無双っ!

と叫んだが その瞬間!
5メートル離れていた無頼ぶらい
目の前にいた。
瞬間移動しゅんかんいどうで、来ていた。

「えっ!」と驚いたコリス丸と
呼ばれた若者は次の瞬間・・・

無頼ぶらいのボディーブローが
スクリュウーの様に回転しなが
らヘソの上にねじ込まれた。
瞬間・・・肋骨ろっこつ粉砕骨折ふんさいこっせつする
ベキバキベキベキッとイヤな
音がした。
アッパー気味にななめ下から
突き上げられたボディーブロー
はコリス丸が上空5メートルに
吹っ飛ぶ破壊力だった。

キリモミの様に回転しながら
コリス丸はズドンッと地面に
落下した。

まだ、息をしているが内臓破裂ないぞうはれつ
必至ひっしだった・・・

それをかくれて見ていた
ツグミ丸兄さんと呼ばれた世話係
・・・の一人が木の枝から
「バサリッ」と降りて来た。

残されし者たち編
完。

次回 忍びの里編。
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