10 / 43
10話 ジュニパーとグレープフルーツ
しおりを挟む
とにかく吸水している間はやることないから一旦休憩にしよう。丁度殿下が折っちゃったローズマリーもあるし。
「お茶にしましょう、ちゃんと立って。ザールさん!」
救護棟の中に戻ってローズマリーのお茶を淹れる。ほんのりと甘く爽やかな香りのそれに蜂蜜を一杯。
「落ち着きますよ、はい」
「ありがとうございます。ふうー……」
温かいハーブティーでザールさんも気分が安定したようだ。
「うまく根付くといいですね」
「ええ」
「ブライアンさんの代わりに王子が兵士の訓練にあたっているんですね」
「ああ……本来の団長はフレデリック殿下なのです。この国の騎士団は今の所全部で三つあります。一つは王子の直轄の王国騎士団。それから二つ、東と西の国境沿いを守護している白の騎士団と黒の騎士団です」
「へえ……」
「王国騎士団に入る事は非常に名誉ですが、それは両騎士団が手に負えない事態の援軍という事でもあります。完全な実力主義ですし、厳しい訓練はその為なのですよ」
そうか……だから休憩時間の度に兵士が転がり込んでくるという訳ね。
「まあ、だとしても最近のブライアンはしごきすぎだと思いますけどね。いざと言うときに兵がぼろぼろじゃ元も子も……」
「ははは……。彼も王子の役に立ちたいんですね」
「ええ、彼は殿下に心酔してますから」
騎士団ってすごいな。私に魔物退治は無理そうだし。ポーション作りの他にもなにか出来る事はあるかしら。
「さて、そろそろ挿し木をしましょう」
「ええ」
そうして植木鉢にローズマリーを挿していった。うまく根付いたら畑の予定地に植え替えるつもりだ。
「鬼の切り込み隊長も病気療養ですし、あとはお昼を食べてポーションの量産でもしますかね」
「はい。お手伝いします!」
そして私はせっせと今自分ができる事に取りかかった。
「あいたたた……。こんな事で筋肉痛……」
夜、夕食を終えお風呂を出た私は、一人でぼやいていた。ちょっと植木鉢と土を運んで中腰で作業していただけで体にガタが来ている。魔物退治はむりかもって思ったけど、無理。絶対無理。
「ハーバルバスもいいけどマッサージしたい。リベリオ!」
『なんだ?』
「『ジュニパーとグレープフルーツのマッサージオイル』」
『……ん』
リベリオは黙って手を差し出した。もう。私はそこにカップケーキを置いてやる。
『ほれ。マッサージは手伝わないぞ』
「わかってます」
リベリオはソファに腰かけてもしゃもしゃカップケーキを頬張っている。
『うまいが口がモサモサするな』
「あ、じゃああと『ハイビスカス』のコーディアルも出して。私も飲みたいから」
コーディアルはハーブのシロップみたいなもの。グラスに注いで、水差しの水で割る。リベリオにそれを渡して私もいただく。
「くう……。酸っぱい」
ハイビスカスの酸っぱさが疲れた体に染みる。それを飲みながら足裏とふくらはぎをマッサージする。爽やかな樹木と柑橘の香りでリフレッシュ出来そう。
「そうだリベリオ、もっと騎士団の役に立ちたいのだけど何をしたらいいと思う?」
『そんなものは本人達に聞いたらどうだ?』
「あ……そうよね」
なんだ、なんでそんな単純な事に気が付かなかったんだろう。私は明日早速教練場を訪ねる事にした。
「こんにちは! 皆さんご苦労様です」
次の日、私が教練場を訪れると、皆隊列を組んで行進の訓練をしている。一糸乱れぬその動きに感心して、しばらく眺めてしまった。監督していたフレデリック殿下が手を叩いて止めたのを見計らって声をかけた。
「真白、どうしたのだ」
「真白様……あ、真白さん!」
そう言いながら近づいて来る殿下の後ろから兵士達も追いかけてくる。
「差し入れを作ったので皆さんでどうぞ!」
バスケットから取り出したのはミントのクッキー。ドライのミントだしほのかに香りを感じる程度だけど、ミントには活力を与える効果と鎮静作用の両方がある。休憩時のおやつにはもってこいだろう。
「いいんですか……?」
兵士のみんなは手を伸ばすのを躊躇っている。それを見たフレデリック殿下はさっとクッキーを一枚つまんだ。
「せっかく真白が作ってきてくれたんだ。ありがたくいただこう」
殿下はそれをぱくっと一口で食べた。
「うん、うまい。ほら皆も」
「はい! 戴きます!」
わらわらとバスケットに手が伸びてくる。私が用意したクッキーはあっという間に無くなってしまった。
「ごちそうさまです!」
「いいえ」
美味しそうに食べて貰って嬉しい。私が今まで自宅で育ててきたハーブは、自分で消費するばっかりだったから。
「真白、ありがとう」
「殿下……あの、実はお願いしたい事があって今日は来たんです」
「お願い?」
「騎士団の皆さんの役にたちたいので、何をしたらいいのか知りたいんです!」
私はそう言いながら兵士のみんなの顔を見渡した。
「何をしたら……って、今でも良く効く痛み止めや傷薬を出してくれるし十分ですよ」
「そうだよなぁ」
しかし兵士達は首を傾げるばっかりだ。えー……何かないの。いや、絶対あるはず! 私は質問の仕方を変える事にした。
「騎士団のお仕事中……いいえ、普段の生活でもいいです。困っている事や悩み事はないですか?」
「うーん……」
兵士達はお互い顔を見合わせた。ちょっと言い出しにくい空気が流れている。
「フレデリック殿下、殿下は困って居る事はないでしょうか」
「俺か? そうだな……鎧が重くて熱い……かな。特にこれからの季節は」
今の気候は五月くらいの気候だ。これから夏がきてどんどん熱くなっていくのだろう。
「そうですね。蒸れて正直匂います……あと時々かぶれたり」
「ふむふむ」
殿下が口火を切ると他の兵士達も賛同した。
「しかし、こんな事を聞いてどうにか出来るのか?」
ふふふ、よくぞ聞いてくれました。私の顔はにんまりだらしなく緩んでいたと思う。
「はい。鎧を軽くする事は出来ないですけど、きっと皆さんのお役に立てると思います!」
私はフレデリック殿下と兵士達を前にして胸を張ってそう答えた。
「お茶にしましょう、ちゃんと立って。ザールさん!」
救護棟の中に戻ってローズマリーのお茶を淹れる。ほんのりと甘く爽やかな香りのそれに蜂蜜を一杯。
「落ち着きますよ、はい」
「ありがとうございます。ふうー……」
温かいハーブティーでザールさんも気分が安定したようだ。
「うまく根付くといいですね」
「ええ」
「ブライアンさんの代わりに王子が兵士の訓練にあたっているんですね」
「ああ……本来の団長はフレデリック殿下なのです。この国の騎士団は今の所全部で三つあります。一つは王子の直轄の王国騎士団。それから二つ、東と西の国境沿いを守護している白の騎士団と黒の騎士団です」
「へえ……」
「王国騎士団に入る事は非常に名誉ですが、それは両騎士団が手に負えない事態の援軍という事でもあります。完全な実力主義ですし、厳しい訓練はその為なのですよ」
そうか……だから休憩時間の度に兵士が転がり込んでくるという訳ね。
「まあ、だとしても最近のブライアンはしごきすぎだと思いますけどね。いざと言うときに兵がぼろぼろじゃ元も子も……」
「ははは……。彼も王子の役に立ちたいんですね」
「ええ、彼は殿下に心酔してますから」
騎士団ってすごいな。私に魔物退治は無理そうだし。ポーション作りの他にもなにか出来る事はあるかしら。
「さて、そろそろ挿し木をしましょう」
「ええ」
そうして植木鉢にローズマリーを挿していった。うまく根付いたら畑の予定地に植え替えるつもりだ。
「鬼の切り込み隊長も病気療養ですし、あとはお昼を食べてポーションの量産でもしますかね」
「はい。お手伝いします!」
そして私はせっせと今自分ができる事に取りかかった。
「あいたたた……。こんな事で筋肉痛……」
夜、夕食を終えお風呂を出た私は、一人でぼやいていた。ちょっと植木鉢と土を運んで中腰で作業していただけで体にガタが来ている。魔物退治はむりかもって思ったけど、無理。絶対無理。
「ハーバルバスもいいけどマッサージしたい。リベリオ!」
『なんだ?』
「『ジュニパーとグレープフルーツのマッサージオイル』」
『……ん』
リベリオは黙って手を差し出した。もう。私はそこにカップケーキを置いてやる。
『ほれ。マッサージは手伝わないぞ』
「わかってます」
リベリオはソファに腰かけてもしゃもしゃカップケーキを頬張っている。
『うまいが口がモサモサするな』
「あ、じゃああと『ハイビスカス』のコーディアルも出して。私も飲みたいから」
コーディアルはハーブのシロップみたいなもの。グラスに注いで、水差しの水で割る。リベリオにそれを渡して私もいただく。
「くう……。酸っぱい」
ハイビスカスの酸っぱさが疲れた体に染みる。それを飲みながら足裏とふくらはぎをマッサージする。爽やかな樹木と柑橘の香りでリフレッシュ出来そう。
「そうだリベリオ、もっと騎士団の役に立ちたいのだけど何をしたらいいと思う?」
『そんなものは本人達に聞いたらどうだ?』
「あ……そうよね」
なんだ、なんでそんな単純な事に気が付かなかったんだろう。私は明日早速教練場を訪ねる事にした。
「こんにちは! 皆さんご苦労様です」
次の日、私が教練場を訪れると、皆隊列を組んで行進の訓練をしている。一糸乱れぬその動きに感心して、しばらく眺めてしまった。監督していたフレデリック殿下が手を叩いて止めたのを見計らって声をかけた。
「真白、どうしたのだ」
「真白様……あ、真白さん!」
そう言いながら近づいて来る殿下の後ろから兵士達も追いかけてくる。
「差し入れを作ったので皆さんでどうぞ!」
バスケットから取り出したのはミントのクッキー。ドライのミントだしほのかに香りを感じる程度だけど、ミントには活力を与える効果と鎮静作用の両方がある。休憩時のおやつにはもってこいだろう。
「いいんですか……?」
兵士のみんなは手を伸ばすのを躊躇っている。それを見たフレデリック殿下はさっとクッキーを一枚つまんだ。
「せっかく真白が作ってきてくれたんだ。ありがたくいただこう」
殿下はそれをぱくっと一口で食べた。
「うん、うまい。ほら皆も」
「はい! 戴きます!」
わらわらとバスケットに手が伸びてくる。私が用意したクッキーはあっという間に無くなってしまった。
「ごちそうさまです!」
「いいえ」
美味しそうに食べて貰って嬉しい。私が今まで自宅で育ててきたハーブは、自分で消費するばっかりだったから。
「真白、ありがとう」
「殿下……あの、実はお願いしたい事があって今日は来たんです」
「お願い?」
「騎士団の皆さんの役にたちたいので、何をしたらいいのか知りたいんです!」
私はそう言いながら兵士のみんなの顔を見渡した。
「何をしたら……って、今でも良く効く痛み止めや傷薬を出してくれるし十分ですよ」
「そうだよなぁ」
しかし兵士達は首を傾げるばっかりだ。えー……何かないの。いや、絶対あるはず! 私は質問の仕方を変える事にした。
「騎士団のお仕事中……いいえ、普段の生活でもいいです。困っている事や悩み事はないですか?」
「うーん……」
兵士達はお互い顔を見合わせた。ちょっと言い出しにくい空気が流れている。
「フレデリック殿下、殿下は困って居る事はないでしょうか」
「俺か? そうだな……鎧が重くて熱い……かな。特にこれからの季節は」
今の気候は五月くらいの気候だ。これから夏がきてどんどん熱くなっていくのだろう。
「そうですね。蒸れて正直匂います……あと時々かぶれたり」
「ふむふむ」
殿下が口火を切ると他の兵士達も賛同した。
「しかし、こんな事を聞いてどうにか出来るのか?」
ふふふ、よくぞ聞いてくれました。私の顔はにんまりだらしなく緩んでいたと思う。
「はい。鎧を軽くする事は出来ないですけど、きっと皆さんのお役に立てると思います!」
私はフレデリック殿下と兵士達を前にして胸を張ってそう答えた。
0
あなたにおすすめの小説
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
「女のくせに強すぎて可愛げがない」と言われ婚約破棄された追放聖女は薬師にジョブチェンジします
紅城えりす☆VTuber
恋愛
*毎日投稿・完結保証・ハッピーエンド
どこにでも居る普通の令嬢レージュ。
冷気を放つ魔法を使えば、部屋一帯がや雪山に。
風魔法を使えば、山が吹っ飛び。
水魔法を使えば大洪水。
レージュの正体は無尽蔵の魔力を持つ、チート令嬢であり、力の強さゆえに聖女となったのだ。
聖女として国のために魔力を捧げてきたレージュ。しかし、義妹イゼルマの策略により、国からは追放され、婚約者からは「お前みたいな可愛げがないやつと結婚するつもりはない」と婚約者破棄されてしまう。
一人で泥道を歩くレージュの前に一人の男が現れた。
「その命。要らないなら俺にくれないか?」
彼はダーレン。理不尽な理由で魔界から追放された皇子であった。
もうこれ以上、どんな苦難が訪れようとも私はめげない!
ダーレンの助けもあって、自信を取り戻したレージュは、聖女としての最強魔力を駆使しながら薬師としてのセカンドライフを始める。
レージュの噂は隣国までも伝わり、評判はうなぎ登り。
一方、レージュを追放した帝国は……。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
『婚約破棄ありがとうございます。自由を求めて隣国へ行ったら、有能すぎて溺愛されました』
鷹 綾
恋愛
内容紹介
王太子に「可愛げがない」という理不尽な理由で婚約破棄された公爵令嬢エヴァントラ。
涙を流して見せた彼女だったが──
内心では「これで自由よ!」と小さくガッツポーズ。
実は王国の政務の大半を支えていたのは彼女だった。
エヴァントラが去った途端、王宮は大混乱に陥り、元婚約者とその恋人は国中から総スカンに。
そんな彼女を拾ったのは、隣国の宰相補佐アイオン。
彼はエヴァントラの安全と立場を守るため、
**「恋愛感情を持たない白い結婚」**を提案する。
「干渉しない? 恋愛不要? 最高ですわ」
利害一致の契約婚が始まった……はずが、
有能すぎるエヴァントラは隣国で一気に評価され、
気づけば彼女を庇い、支え、惹かれていく男がひとり。
――白い結婚、どこへ?
「君が笑ってくれるなら、それでいい」
不器用な宰相補佐の溺愛が、静かに始まっていた。
一方、王国では元婚約者が転落し、真実が暴かれていく――。
婚約破棄ざまぁから始まる、
天才令嬢の自由と恋と大逆転のラブストーリー!
---
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる