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12話 私の事は塾長と呼ぶのですわ
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「こ、これは何事ですの!?」
その時、扉を開けて入ってきたのはリリアンナである。リリアンナはみすぼらしい女の子達が泣いているのを見て絶句した。
「ハルト様、何を……」
「だぁ! これは違うんだ! この子達をメイドカフェの従業員にと思って……」
「え?」
リリアンナはハルトをぽこぽこ叩こうとしていた手を止めた。
「そりゃあ良い考えじゃない~」
「ウルスラ」
「この子達、奴隷でしょ? 他に行くところもないし、あのへんてこな衣装だって命令すれば着てくれるわよ」
「へんてこじゃありません! ……でも『飛ぶ』可能性が限りなく低いのは魅力ですね……」
リリアンナはウルスラに抗議しつつ、奴隷を使うメリットを検討しはじめた。
「その『飛ぶ』ってなんだい」
「急にお給仕を辞めてしまう事です。メイドはそれぞれにファンがついてますから場合によっては大きな痛手になります」
「へぇ……そうなんだ」
「とにかく! この子達は嫌がっています。メイドはいやいややるものではありません!」
リリアンナはハルトにそう言った。しかし一個問題がある。
「リリアンナ……この子達、もう俺が買ってしまったんだ。奴隷商人に返したらどんな目にあうか……」
「そうなんですの?」
リリアンナは女の子達を見つめた。
「なぜ、こんなに怯えてますの? それになぜミニスカート?」
「それは……この聖剣が急にみんなをミニスカートにしたんだ……」
ハルトはマントルピースの上の聖剣アクアゾッドを指差した。
「これが……?」
リリアンナは剣を手にした。すると、聖剣は鈍い光を放つ。
『絶対……領域……』
「……どういう事ですの……!?」
これにはリリアンナも首を傾げた。その様子を見ていたウルスラは聖剣に嵌まる青い貴石を覗きこんだ。
「これは、ハルトの使っていた聖のパワーから別のものに置き換わってる……?」
「馬鹿な!? 確かに魔王を倒した時にその力の全てを使ったが……」
「『萌え』のパワー……?」
リリアンナはふと呟いた。ここの所居間で繰り広げられたのはリリアンナの一人コンサートに絵師達の萌え調教である。
「もしや『萌え』の力を糧にこの聖剣は動いたのかもしれません」
「ええっ……ま、まあ確かに貴石が青からほんのりピンクになっているけど……」
「じゃあこのままだと『萌え』の力を吸収した聖剣アクアゾッドが誕生するのか?」
ハルトはそれはちょっといやだなぁ、と思った。いや、親友とも呼べる剣と再び会えるのは嬉しいのは嬉しいのだが。
「だから女の子のスカートをミニスカートにしたのか……」
それを聞いたリリアンナは女の子達に語りかけた。
「皆さん、これからあなた達に働いて貰う飲食店は決していやらしい場所ではありません。カワイイ制服を着て、お客様をおもてなしして貰う仕事です!」
「ほ、本当ですか……」
一番年長のイルマがほっとしたように呟いた。
「ただ!」
リリアンナはまたどこからか出した乗馬鞭を振り上げた。
「あなた達にはこれから、私の理想とする『萌え』の概念を理解し、それを体現して貰わなくてはなりません。その道は……険しく辛いこともあるでしょう」
「キチンとご飯とベッドがあれば……」
「よろしい、頑張りましょう!」
「「はい、奥様!」」
奴隷の女の子達はリリアンナに挨拶をした。それを聞いたリリアンナはふるふると首を振った。
「私の事は塾長と呼びなさい」
「「はい! 塾長!!」」
ハルトはあっちゃあ、と頭を抱えた。またリリアンナの何かスイッチが入ったらしい。
「そうしましたら、お風呂に入ってらっしゃい」
リリアンナはにっこりと微笑み、使用人に命じて風呂に入りに行かせた。
「……ハルト様、私決めましたわ」
「な、何を……?」
「あの子達を一期生として徹底的に鍛えあげると! なんせあの子達は……ほかに居場所がないのですものねぇ……」
その壮絶な笑みにハルトはぞっとした。これからあの子達にどんな試練が待ち受けるというのだろう。
「あ、寮はしばらくこの屋敷でよろしくて?」
「ああ。空き部屋はいっぱいあるし、大して客も来ないしな」
「分かりましたわ」
リリアンナはるんるんと鼻歌を歌いながら居間を出て行った。
数日後。メイドカフェの従業員一期候補生の寮が完成した。それを見たハルトはあんぐりと口をあけた。
「なんだこれ……」
「乙女カワイイお部屋に住んでこそ、カワイイは磨かれるのですわ」
小ぶりなシャンデリアにリボン柄のカーテン、ピンクのフリルのベッド……そこは夢の国のようだった。
「奥さ……塾長、私達ここに住んでいいのですか?」
奴隷のイルマもあんぐりと口を開けている。そしてその奴隷の女の子達は皆、薄ピンクのワンピースに身を包んでいた。シンプルだが、もちろんミニスカートである。
「ええ。これからよろしくね、皆さん」
リリアンナは優しい微笑みを浮かべながら、黒い乗馬鞭を握りしめた。
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その時、扉を開けて入ってきたのはリリアンナである。リリアンナはみすぼらしい女の子達が泣いているのを見て絶句した。
「ハルト様、何を……」
「だぁ! これは違うんだ! この子達をメイドカフェの従業員にと思って……」
「え?」
リリアンナはハルトをぽこぽこ叩こうとしていた手を止めた。
「そりゃあ良い考えじゃない~」
「ウルスラ」
「この子達、奴隷でしょ? 他に行くところもないし、あのへんてこな衣装だって命令すれば着てくれるわよ」
「へんてこじゃありません! ……でも『飛ぶ』可能性が限りなく低いのは魅力ですね……」
リリアンナはウルスラに抗議しつつ、奴隷を使うメリットを検討しはじめた。
「その『飛ぶ』ってなんだい」
「急にお給仕を辞めてしまう事です。メイドはそれぞれにファンがついてますから場合によっては大きな痛手になります」
「へぇ……そうなんだ」
「とにかく! この子達は嫌がっています。メイドはいやいややるものではありません!」
リリアンナはハルトにそう言った。しかし一個問題がある。
「リリアンナ……この子達、もう俺が買ってしまったんだ。奴隷商人に返したらどんな目にあうか……」
「そうなんですの?」
リリアンナは女の子達を見つめた。
「なぜ、こんなに怯えてますの? それになぜミニスカート?」
「それは……この聖剣が急にみんなをミニスカートにしたんだ……」
ハルトはマントルピースの上の聖剣アクアゾッドを指差した。
「これが……?」
リリアンナは剣を手にした。すると、聖剣は鈍い光を放つ。
『絶対……領域……』
「……どういう事ですの……!?」
これにはリリアンナも首を傾げた。その様子を見ていたウルスラは聖剣に嵌まる青い貴石を覗きこんだ。
「これは、ハルトの使っていた聖のパワーから別のものに置き換わってる……?」
「馬鹿な!? 確かに魔王を倒した時にその力の全てを使ったが……」
「『萌え』のパワー……?」
リリアンナはふと呟いた。ここの所居間で繰り広げられたのはリリアンナの一人コンサートに絵師達の萌え調教である。
「もしや『萌え』の力を糧にこの聖剣は動いたのかもしれません」
「ええっ……ま、まあ確かに貴石が青からほんのりピンクになっているけど……」
「じゃあこのままだと『萌え』の力を吸収した聖剣アクアゾッドが誕生するのか?」
ハルトはそれはちょっといやだなぁ、と思った。いや、親友とも呼べる剣と再び会えるのは嬉しいのは嬉しいのだが。
「だから女の子のスカートをミニスカートにしたのか……」
それを聞いたリリアンナは女の子達に語りかけた。
「皆さん、これからあなた達に働いて貰う飲食店は決していやらしい場所ではありません。カワイイ制服を着て、お客様をおもてなしして貰う仕事です!」
「ほ、本当ですか……」
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「ただ!」
リリアンナはまたどこからか出した乗馬鞭を振り上げた。
「あなた達にはこれから、私の理想とする『萌え』の概念を理解し、それを体現して貰わなくてはなりません。その道は……険しく辛いこともあるでしょう」
「キチンとご飯とベッドがあれば……」
「よろしい、頑張りましょう!」
「「はい、奥様!」」
奴隷の女の子達はリリアンナに挨拶をした。それを聞いたリリアンナはふるふると首を振った。
「私の事は塾長と呼びなさい」
「「はい! 塾長!!」」
ハルトはあっちゃあ、と頭を抱えた。またリリアンナの何かスイッチが入ったらしい。
「そうしましたら、お風呂に入ってらっしゃい」
リリアンナはにっこりと微笑み、使用人に命じて風呂に入りに行かせた。
「……ハルト様、私決めましたわ」
「な、何を……?」
「あの子達を一期生として徹底的に鍛えあげると! なんせあの子達は……ほかに居場所がないのですものねぇ……」
その壮絶な笑みにハルトはぞっとした。これからあの子達にどんな試練が待ち受けるというのだろう。
「あ、寮はしばらくこの屋敷でよろしくて?」
「ああ。空き部屋はいっぱいあるし、大して客も来ないしな」
「分かりましたわ」
リリアンナはるんるんと鼻歌を歌いながら居間を出て行った。
数日後。メイドカフェの従業員一期候補生の寮が完成した。それを見たハルトはあんぐりと口をあけた。
「なんだこれ……」
「乙女カワイイお部屋に住んでこそ、カワイイは磨かれるのですわ」
小ぶりなシャンデリアにリボン柄のカーテン、ピンクのフリルのベッド……そこは夢の国のようだった。
「奥さ……塾長、私達ここに住んでいいのですか?」
奴隷のイルマもあんぐりと口を開けている。そしてその奴隷の女の子達は皆、薄ピンクのワンピースに身を包んでいた。シンプルだが、もちろんミニスカートである。
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