89 / 90
第四章
88話 軟禁
しおりを挟む
それからエミリアは軟禁状態に置かれた。
出入りは侍女のカーラのみ。
祈りの為に大聖堂に向かうことすらできなかった。
「ひどいです……あんまりです。エミリア様は何も悪くないのに……!」
カーラはひどく立腹していたが、エミリアはどこか実感が分からず、ぼんやりとその嘆きを聞いていた。
「悔しくないのですか!?」
「ええ……職務を半ばで放棄するのは悔しいわ……」
「それもありますけど、こんな無理矢理な輿入れなんて」
「ええ……ええ、そうね」
エミリアが教会に必要ないというのなら、そっと追い出してくれれば良かった。
無力な小鳥は籠から籠へ。エミリアはただ、そんな自分がやるせなく無気力になっていた。
「……失礼します」
カーラはまるで人形のようになってしまったエミリアを見つめ、部屋を退出した。
「なんとかしなきゃ……なんとか……」
同輩の修道女たちにこんな相談は出来ない。
カーラは頭を巡らせた。
「……あ!」
彼女は小さく叫ぶと、洗濯場のある裏庭の方へと駆けていった。
「……ライアン様、ライアン様」
鉄柵の張り巡らされた窓に小石をぶつけ、カーラは押し殺した声でライアンを呼んだ。
「どうした」
しばらくすると、囁くライアンの声が答えた。
「エミリアは慰問ではないのか。なぜお前がここにいる」
「実は……。助けて下さい!」
カーラはエミリアの事情をライアンに片っ端から話していった。
「……という訳なのです」
「なんと……そんなことになっていたとは」
「私では何もしてさしあげることが出来ないのです」
そこまで話すと、カーラの目から大粒の涙がポロポロとこぼれていった。
エミリアに降りかかった理不尽な不幸を目の当たりにしてから初めての涙だった。
「何も出来ないということはないぞ、カーラ」
「ライアン様?」
「お前は外と連絡をとることが出来るだろう」
「でも、エミリア様のご実家も賛成してらして……」
「そうじゃない。俺は知ってるんだ。エミリアをきっと救ってくれる男を……」
「え……?」
ライアンはそう言うと、机に向かい、手紙を二通書いた。
「この手紙を、……アルという男に届けて欲しい。一通は別の者に宛ててだがきっと届くと思う」
「それは……」
「お前の実家を経由しろ。見られたら厄介な代物だぞ。この二人ならこの現状をきっと打破してくれる。私の為に命を賭ける男と、エミリアを死んでも守る男だ」
「……分かりました。でも、ライアン様も危険なのでは」
「教会勢力とアーロイスが繋がれば、分が悪いのはこちらも同じだ。気にするな」
「……はい」
カーラはそうしてライアンから託された手紙を、念の為にと同僚の修道女に頼んで実家に送って貰った。
「エミリア様が……救われますように」
あとはただ、そう祈るしかなかった。
***
「おーい」
「ああ、リック。どうだ、今年のかぶは豊作かもしれないぞ。できたら分けるからな」
それから一週間後。リックがいつものようにのんびりと名無しに話かけ、名無しも同じ様に彼に応えた。
「ありがとな。あーそれから、手紙が届いてたぞ」
「……ああ、ありがとう」
名無しの心に一瞬、警戒心が芽生える。だがそれを顔には出さず、名無しはリックから手紙を受け取った。
「じゃ、確かに渡したからな! うちの野菜も今度持ってくるからなー」
「ああ」
名無しはリックを見送ると、家に戻り手紙を広げた。
「……これは」
それを目にした名無しは顔色を変えた。
「エミリア……」
それはカーラの実家から転送されてきたライアンからの手紙だった。
「アーロイス……か……」
またもこの男か、と名無しは思った。名無しの組織にも、ライアンも、村人たちにも……そして今回はエミリアにも。
まるで大蛇のように絡みつき、全てを奪おうとする男。
「……」
名無しの中で、なんとも言えない苛烈な思いが渦巻く。
それを憎しみというのだ、と名無しに教えるものはここにはいなかった。
「たっだいまー! パパー? あれ?」
「……お帰り、クロエ」
「その服……お出かけするの?」
「……ああ」
「……」
名無しは黒装束へと着替えていた。
「急遽、届け物をしなければならなくなった」
「そう……すぐに帰ってくる?」
「……わからない」
そう名無しが応えると、クロエの顔がくしゃっと歪んだ。
「い、いってらっしゃい……」
「ごめん、クロエ。……必ず戻るから」
それから名無しはハリシュの元に走った。
「しばらく家を空ける。じいさんとクロエのことを頼みたい……」
「なんで儂に……」
「あんたが村長だろ! じゃあな!」
そうぶっきらぼうに名無しはハリシュに告げると、今度はリックの元に向かった。
「リック、馬を……」
「はいはい、もう鞍をつけてあるよ」
「なんで……」
「手紙なんてきたらなんかあるに決まってるからな、お前の場合」
そう言って呆れたように笑うリックを見て、名無しはガシガシと頭を掻いた。
「……助かる。リック、これはじいさん達にも言わないで欲しいんだが……」
「なんだ」
「エミリアが大変な目にあってるかもしれないんだ」
「それを救いに行く訳だな。色男」
「……今回はとても厄介なことになるかもしれない。みんなを頼むな」
名無しの真剣なまなざしに、リックはすっと背筋を伸ばした。
「ああ……! 行ってこい! 待ってるからな」
こうして名無しは馬を走らせ、フレドリックの元へと向かった。
出入りは侍女のカーラのみ。
祈りの為に大聖堂に向かうことすらできなかった。
「ひどいです……あんまりです。エミリア様は何も悪くないのに……!」
カーラはひどく立腹していたが、エミリアはどこか実感が分からず、ぼんやりとその嘆きを聞いていた。
「悔しくないのですか!?」
「ええ……職務を半ばで放棄するのは悔しいわ……」
「それもありますけど、こんな無理矢理な輿入れなんて」
「ええ……ええ、そうね」
エミリアが教会に必要ないというのなら、そっと追い出してくれれば良かった。
無力な小鳥は籠から籠へ。エミリアはただ、そんな自分がやるせなく無気力になっていた。
「……失礼します」
カーラはまるで人形のようになってしまったエミリアを見つめ、部屋を退出した。
「なんとかしなきゃ……なんとか……」
同輩の修道女たちにこんな相談は出来ない。
カーラは頭を巡らせた。
「……あ!」
彼女は小さく叫ぶと、洗濯場のある裏庭の方へと駆けていった。
「……ライアン様、ライアン様」
鉄柵の張り巡らされた窓に小石をぶつけ、カーラは押し殺した声でライアンを呼んだ。
「どうした」
しばらくすると、囁くライアンの声が答えた。
「エミリアは慰問ではないのか。なぜお前がここにいる」
「実は……。助けて下さい!」
カーラはエミリアの事情をライアンに片っ端から話していった。
「……という訳なのです」
「なんと……そんなことになっていたとは」
「私では何もしてさしあげることが出来ないのです」
そこまで話すと、カーラの目から大粒の涙がポロポロとこぼれていった。
エミリアに降りかかった理不尽な不幸を目の当たりにしてから初めての涙だった。
「何も出来ないということはないぞ、カーラ」
「ライアン様?」
「お前は外と連絡をとることが出来るだろう」
「でも、エミリア様のご実家も賛成してらして……」
「そうじゃない。俺は知ってるんだ。エミリアをきっと救ってくれる男を……」
「え……?」
ライアンはそう言うと、机に向かい、手紙を二通書いた。
「この手紙を、……アルという男に届けて欲しい。一通は別の者に宛ててだがきっと届くと思う」
「それは……」
「お前の実家を経由しろ。見られたら厄介な代物だぞ。この二人ならこの現状をきっと打破してくれる。私の為に命を賭ける男と、エミリアを死んでも守る男だ」
「……分かりました。でも、ライアン様も危険なのでは」
「教会勢力とアーロイスが繋がれば、分が悪いのはこちらも同じだ。気にするな」
「……はい」
カーラはそうしてライアンから託された手紙を、念の為にと同僚の修道女に頼んで実家に送って貰った。
「エミリア様が……救われますように」
あとはただ、そう祈るしかなかった。
***
「おーい」
「ああ、リック。どうだ、今年のかぶは豊作かもしれないぞ。できたら分けるからな」
それから一週間後。リックがいつものようにのんびりと名無しに話かけ、名無しも同じ様に彼に応えた。
「ありがとな。あーそれから、手紙が届いてたぞ」
「……ああ、ありがとう」
名無しの心に一瞬、警戒心が芽生える。だがそれを顔には出さず、名無しはリックから手紙を受け取った。
「じゃ、確かに渡したからな! うちの野菜も今度持ってくるからなー」
「ああ」
名無しはリックを見送ると、家に戻り手紙を広げた。
「……これは」
それを目にした名無しは顔色を変えた。
「エミリア……」
それはカーラの実家から転送されてきたライアンからの手紙だった。
「アーロイス……か……」
またもこの男か、と名無しは思った。名無しの組織にも、ライアンも、村人たちにも……そして今回はエミリアにも。
まるで大蛇のように絡みつき、全てを奪おうとする男。
「……」
名無しの中で、なんとも言えない苛烈な思いが渦巻く。
それを憎しみというのだ、と名無しに教えるものはここにはいなかった。
「たっだいまー! パパー? あれ?」
「……お帰り、クロエ」
「その服……お出かけするの?」
「……ああ」
「……」
名無しは黒装束へと着替えていた。
「急遽、届け物をしなければならなくなった」
「そう……すぐに帰ってくる?」
「……わからない」
そう名無しが応えると、クロエの顔がくしゃっと歪んだ。
「い、いってらっしゃい……」
「ごめん、クロエ。……必ず戻るから」
それから名無しはハリシュの元に走った。
「しばらく家を空ける。じいさんとクロエのことを頼みたい……」
「なんで儂に……」
「あんたが村長だろ! じゃあな!」
そうぶっきらぼうに名無しはハリシュに告げると、今度はリックの元に向かった。
「リック、馬を……」
「はいはい、もう鞍をつけてあるよ」
「なんで……」
「手紙なんてきたらなんかあるに決まってるからな、お前の場合」
そう言って呆れたように笑うリックを見て、名無しはガシガシと頭を掻いた。
「……助かる。リック、これはじいさん達にも言わないで欲しいんだが……」
「なんだ」
「エミリアが大変な目にあってるかもしれないんだ」
「それを救いに行く訳だな。色男」
「……今回はとても厄介なことになるかもしれない。みんなを頼むな」
名無しの真剣なまなざしに、リックはすっと背筋を伸ばした。
「ああ……! 行ってこい! 待ってるからな」
こうして名無しは馬を走らせ、フレドリックの元へと向かった。
1
あなたにおすすめの小説
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
ゴミスキル【生態鑑定】で追放された俺、実は動物や神獣の心が分かる最強能力だったので、もふもふ達と辺境で幸せなスローライフを送る
黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティの一員だったカイは、魔物の名前しか分からない【生態鑑定】スキルが原因で「役立たず」の烙印を押され、仲間から追放されてしまう。全てを失い、絶望の中でたどり着いた辺境の森。そこで彼は、自身のスキルが動物や魔物の「心」と意思疎通できる、唯一無二の能力であることに気づく。
森ウサギに衣食住を学び、神獣フェンリルやエンシェントドラゴンと友となり、もふもふな仲間たちに囲まれて、カイの穏やかなスローライフが始まった。彼が作る料理は魔物さえも惹きつけ、何気なく作った道具は「聖者の遺物」として王都を揺るがす。
一方、カイを失った勇者パーティは凋落の一途をたどっていた。自分たちの過ちに気づき、カイを連れ戻そうとする彼ら。しかし、カイの居場所は、もはやそこにはなかった。
これは、一人の心優しき青年が、大切な仲間たちと穏やかな日常を守るため、やがて伝説の「森の聖者」となる、心温まるスローライフファンタジー。
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい
鈴木竜一
ファンタジー
旧題:引退賢者はのんびり開拓生活をおくりたい ~不正がはびこる大国の賢者を辞めて離島へと移住したら、なぜか優秀な元教え子たちが集まってきました~
【書籍化決定!】
本作の書籍化がアルファポリスにて正式決定いたしました!
第1巻は10月下旬発売!
よろしくお願いします!
賢者オーリンは大陸でもっと栄えているギアディス王国の魔剣学園で教鞭をとり、これまで多くの優秀な学生を育てあげて王国の繁栄を陰から支えてきた。しかし、先代に代わって新たに就任したローズ学園長は、「次期騎士団長に相応しい優秀な私の息子を贔屓しろ」と不正を強要してきた挙句、オーリン以外の教師は息子を高く評価しており、同じようにできないなら学園を去れと告げられる。どうやら、他の教員は王家とのつながりが深いローズ学園長に逆らえず、我がままで自分勝手なうえ、あらゆる能力が最低クラスである彼女の息子に最高評価を与えていたらしい。抗議するオーリンだが、一切聞き入れてもらえず、ついに「そこまでおっしゃられるのなら、私は一線から身を引きましょう」と引退宣言をし、大国ギアディスをあとにした。
その後、オーリンは以前世話になったエストラーダという小国へ向かうが、そこへ彼を慕う教え子の少女パトリシアが追いかけてくる。かつてオーリンに命を助けられ、彼を生涯の師と仰ぐ彼女を人生最後の教え子にしようと決め、かねてより依頼をされていた離島開拓の仕事を引き受けると、パトリシアとともにそこへ移り住み、現地の人々と交流をしたり、畑を耕したり、家畜の世話をしたり、修行をしたり、時に離島の調査をしたりとのんびりした生活を始めた。
一方、立派に成長し、あらゆるジャンルで国内の重要な役職に就いていた《黄金世代》と呼ばれるオーリンの元教え子たちは、恩師であるオーリンが学園から不当解雇された可能性があると知り、激怒。さらに、他にも複数の不正が発覚し、さらに国王は近隣諸国へ侵略戦争を仕掛けると宣言。そんな危ういギアディス王国に見切りをつけた元教え子たちは、オーリンの後を追って続々と国外へ脱出していく。
こうして、小国の離島でのんびりとした開拓生活を希望するオーリンのもとに、王国きっての優秀な人材が集まりつつあった……
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる