シェフが私のことを好きになる確率

hayama_25

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第2話

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 朝から電話が鳴り止まない。

 電話の着信音で目が覚めた。

 こんな時間まで寝ていたのはいつぶりだろう。

 そうだ、私今日から無職なんだ。

 毎日5時半に起きて店に行って働いて、それでも…一度もしんどいと思ったことはなかった。


 初めは無視をしようかと思ったけど、あまりにもかかってくるもんだから、

「もしもし、」

「莉乃!?やっと電話に出た!」
「律…」

「急に辞めるなんて言い出すし、電話にも出ないし、すっごく心配したんだよ!」

 弁解の余地もございません。

「ごめん、」
「それより、シェフがすごく怒ってるよ」

 当たり前だよね。
 急に辞めたりしたら、仕事に支障をきたしてしまうのに。

 分かってる。
 けど、どうしても…

「迷惑かけてごめんね、」
「急にどうして、あれだけ頑張ってたのに、」

「それは…」
 どれだけ頑張っても、努力しても、無意味だから。

「ほんとに辞めちゃうの....?」
「うん」

「今ならまだ間に合うよ。今まで一生懸命働いて来たのに、辞めちゃうなんて勿体ないよ。俺も一緒に謝るからさ、戻っておいでよ」

 シェフの気持ちを知ったのに、それでもあそこで働くなんて無理だ。

「気持ちは嬉しいけど、もう戻れないよ」

「そんなこと『莉乃と話してるのか』あ、シェフ…」

 電話越しにシェフの声が聞こえる。

「代われ」
「莉乃、シェフに代わるね」

 い、いやいや、ちょっと待って
「え、ちょっ、」

 代わらなくていいのに、何を話せと…

「おい莉乃」
「…はい、」

 声を聞いただけで分かる。物凄く怒ってらっしゃる

「お前、今どこにいるんだ」
「…」

 そんなこと、どうして

「どこにいる」
「ど、うしてですか」

「会いに行くからだよ」
「どうしてですか」

 会いに行くって、
 どうしてただの従業員にそこまで...

「納得いかねぇからだよ。置き手紙一つであぁそうですかって、なるわけないだろうが。どんな理由でも、お前の口から直接聞きたかったんだよ」

 来るって言っても、お店を放っておくわけには

「でも、お店は、」
「今日は開いてない」

 それって、まさか

「もしかして、私のせい、ですか?」
「そうだな」

 私のせいで。私が何も言わずに辞めたりなんかしたから。

「ほんとに、すみません」
 やっぱり私は辞めてよかったんだ。

 最後の最後まで迷惑かけてる。

「今日を無駄にしないためにも、会って理由聞かせてくれよ」
 そんなこと言われて、断れるはずない。

「はい、」
「会いに行くからどこにいるか『 私がお店に行きます』..分かった」



 こんなことになるくらいから、初めから直接言えばよかった。

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