シェフが私のことを好きになる確率

hayama_25

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第9話

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「髪の毛が入ってるじゃないか!」
お客様の怒鳴り声が聞こえてきた。

 私は驚きと不安でいっぱいになった。
 まさか、私の髪の毛…?

 シェフがすぐに対応に出た。

「申し訳ありません。すぐに新しい料理をお作りいたします」

 シェフは冷静に対応し、お客様を落ち着かせた。

 私はまた作り直し、スペシャルメニューの提供をした。

 その後、厨房に戻ると、
 他のスタッフが私を疑いの目で見ていた。

「莉乃の髪の毛じゃないの?」
 誰かが言った。

 「そんな、」

 シェフは見ているだけで、何も言ってくれなかった。

 私の髪の毛じゃないと証明することもできないし、言葉を失った。

「待ってください。莉乃はいつも髪をしっかりまとめているし、そんなミスをするはずがないです」

 律が私を庇ってくれた。

「でも、髪の毛が入っていたのは事実だし、誰かのミスだろう」
 と、別のスタッフが反論した。

 見兼ねたシェフがスタッフを宥めた。

「確かにミスはあったかもしれない。でも、故意じゃないんだから、これから注意していけばいい。もうこれでこの話も終わりにしよう」

 その言葉に、スタッフたちは一瞬納得したように見えた。

 だけど、私は心の中で不安を感じていた。

 何も言わないってことは、シェフもそう思ってるってことなんだよね。

 結局、誰の髪の毛が分からないまま、うやむやになり一週間が過ぎた。



 そんなある日の夜、

 厨房の片隅にある小さな部屋にシェフが私を呼び出した。

 この前の件で私のことをクビにするのかもしれない。

 そう思って身構えていたのに、

 「この前は大変だったな」
 「え…?」

 予想外の言葉だった。
 大変だったなって…

 「私のこと、信じてくれてたんですか、」

 「…信じてたからこそ、冷静に対処するために表立って庇わなかったんだ」

 「そ、うだったんですね」

 そうとも知らずに、シェフに信じてもらえなかったんだって勝手に落ち込んでた。

「それで、実は…裏で色々と調査を進めてたんだけど、莉乃を陥れようとした店員がいたことが分かった」

 私を陥れる…?
 一体誰が、どうして。

 いや、そんな事よりも、

「ほ、ほんとに、誰かの仕業なんですか?」

 何かの間違いじゃ、
 いや、そうであって欲しい。

 「残念だけど、監視カメラにも映ってたし、スタッフの証言もとれたから」

 「そんな…」

 私は驚きと悲しみでいっぱいだった。

「莉乃に聞きたいことがある。犯人をみんなの前で晒すべきかどうか、莉乃の意見を聞かせてほしい」

 シェフは真剣な表情で尋ねた。 

 私は一瞬考えた。

 犯人を晒すことで、私の名誉は回復されるかもしれない。

 だけど、それって本当に正しいことなのかな。



「シェフ、私は…」
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