シェフが私のことを好きになる確率

hayama_25

文字の大きさ
25 / 37

第25話

しおりを挟む
「はぁ、」

 ぼんやりとした頭で、シェフのことを考えていた。元カノのことが頭から離れない。

 あれから何度もシェフに元カノのことを聞こうとした。だけど無理だった。

 元カノとよりを戻したいなんて言われたら…。

「…乃!莉乃!」

 律の声が遠くから聞こえてくる。

「っ、あ、ごめん。なに?」

 ハッと我に返り、律の顔を見る。

「さっきからずっと呼んでるのに」

 律が少し怒ったように眉をひそめる。

「ごめんごめん。で、何の話?」

 律の怒りを和らげようと、笑顔を作る。

「最近ぼーっとしてること多いけど」
「そうかな、」

 無意識のうちにシェフのことばっかり考えてるのかも。

「…やっぱり俺のせい?」

 律の言葉に、少し驚く。

「え?」

 どうしてそんなことを…。

「俺が莉乃にシェフの元カノの話したから」

 律の言葉に、胸が締め付けられる。

 確かに、その話を聞いてからずっと気になっていたのは事実だけど…。

「えーっと…、」

 言葉が詰まる。

 どう答えたらいいんだろう。

「悪い。莉乃がシェフのこと好きなの知ってるのにあんなこと言って」

 律の謝罪に、少し申し訳ない気持ちになる。

「いいよ別に、気にしてないから」

 無理に笑顔を作る。

 シェフに本当のことを聞けずにいる私に責任がある。

「とか言って、気にしてるくせに」

「そりゃ、気にはしてるけど、」

 別に律のせいかって言われたらそうでも無いし。

「よし。行くか」

 律の突然の提案に、少し驚く。

「え?行くってどこに」

 何を言い出すんだろう。

「この前言ってたとこだよ」

 律の目が輝き、期待に満ちた声で言う。

「この前…あ、新しく出来たカフェ?」

 思い出しながら、律の提案に興味を示す。

「そうそう。こういう時は甘いものに限るだろ」

 律の言葉に、少し笑顔が戻る。

 甘いものなら気分も少しは晴れるかもしれない。

「でもあそこ結構人気でしょ?」

 平日でも30分以上待たないといけないって、この前誰かが言ってた。

 私のために付き合わせるのは申し訳ない。

「並ぶの苦手?」

「いや、平気だけど…」

 律はいいんだろうか。

「じゃあ決まりな」
「律はいいの?並ぶのしんどくない?」

 律が甘党なのは知ってるけど、並んでまで甘いものが食べたいんだろうか。

「俺この前二時間並んでパンケーキ食べたけど」
「え、そうなの?」

 それは初耳だ。

「俺のことは気にすんな。もちろん詫びも兼ねて俺の奢りだから」

「ふふ、ありがとう」

 シェフは甘いもの好きじゃなさそうだし、相手が律なら気にしないだろう。

 もちろん律と出かけることを伝え、ちゃんと許可ももらい、お目当てのパフェを食べに行くことにした。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『愛が切なくて』- すれ違うほど哀しくて  

設楽理沙
恋愛
砂央里と斎藤、こじれてしまった糸(すれ違い)がほどけていく様子を描いています。 ◆都合上、[言う、云う]混合しています。うっかりミスではありません。   ご了承ください。 斉藤准一 税理士事務所勤務35才 斎藤紀子    娘 7才  毒妻:  斉藤淳子  専業主婦   33才 金遣いが荒い 高橋砂央里  会社員    27才    山本隆行  オートバックス社員 25才    西野秀行   薬剤師   22才  岡田とま子  主婦    54才   深田睦子  見合い相手  22才 ――――――――――――――――――――――― ❧イラストはAI生成画像自作 2025.3.3 再☑済み😇

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

お兄様「ねえ、イケナイ事をしよっか♡」

小野
恋愛
父が再婚して新しく出来たお兄様と『イケナイ事』をする義妹の話。

我慢しないことにした結果

宝月 蓮
恋愛
メアリー、ワイアット、クレアは幼馴染。いつも三人で過ごすことが多い。しかしクレアがわがままを言うせいで、いつもメアリーは我慢を強いられていた。更に、メアリーはワイアットに好意を寄せていたが色々なことが重なりワイアットはわがままなクレアと婚約することになってしまう。失意の中、欲望に忠実なクレアの更なるわがままで追い詰められていくメアリー。そんなメアリーを救ったのは、兄達の友人であるアレクサンダー。アレクサンダーはメアリーに、もう我慢しなくて良い、思いの全てを吐き出してごらんと優しく包み込んでくれた。メアリーはそんなアレクサンダーに惹かれていく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

処理中です...