私の大好きな彼氏はみんなに優しい

hayama_25

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第13話

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「心桜ちゃん一緒に帰ろ」
「うん」

遥希くんは今日一日、ずっと隣にいてくれた。

きっと、先輩が来た時に守れるように、監視してくれてたんだと思う。

先輩は、あの後から一度も来なかった。

帰りも用事があって一緒には帰れないと言ったけど、来るかもしれない。

そう思ってたけど、来なかった。

沙紀先輩と帰ったのかもしれない。


なんか、もうどうでもいいかも。
何もかも。

「元気…?」
「え?」

元気ないことバレてた…?
顔に出ないように気をつけてたんだけど、

「今日の朝からずっと浮かない顔してたから。気になってたんだよ」

心配かけないようにしてたつもりだったのに、気づかれてたんだ。

「心配かけてごめんね、もう大丈夫だから」

明日からは、また元通り。

になれるように、元気出さないと。
いつまでも暗い顔していられない。

「別にいいんじゃない?」
「え?」

いいって何が…

「心配かけていい。それに、無理に元気出そうとしなくてもいいんじゃない?」
「へ、」

どうして、、
私の心の声を読めるの?
いや、それよりなんで元気にならないでいいなんて、、

「ちゃんと、しんどい時はしんどいって言っていいんだよ。じゃないと、ちゃんと元気にはなれないでしょ?」

そんな言葉…誰にも、先輩にさえ言われたことなかった。

「遥希くん…」

「美桜ちゃんって、我慢して本音隠しちゃうタイプなんだよね。それで、全部一人で背負っていっぱいいっぱになっちゃう」

「そうかも、」

私よりも私の事をよく分かってらっしゃる。

「でも、俺の前では無理しなくていいよ」
「え…?」

「我慢しなくていい」

その言葉を聞いた瞬間

私は驚きとともに胸が熱くなった。

遥希くんは私の知らない、一番欲しい言葉をくれる

今まで抑えていた感情が一気に溢れ出し、目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

「うぅぅ」
「…うん。今までよく頑張ったね」

自分では気づいていなかったけど、かなり我慢していたみたいだ。

「ずっと、ずっと辛かった。でも、誰にも言えなくて…」

震える声でそう言うと、彼は優しく私の肩に手を置き、静かに言った。

「大丈夫だよ、美桜ちゃん。俺がいるから、もう一人で抱え込まなくていいんだよ」

その瞬間、私は初めて心からの安堵を感じた。

彼の温かい言葉と優しい眼差しに包まれ、少しずつ心を開いていく自分がいた。

生きてきた中で、こんなに泣いたのは初めてかもしれない。

そんな私を、彼は何も言わずに優しく抱きしめ、背中をそっと叩いて落ち着かせてくれた。




まさか、こんな所を見られていたなんて、、
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