71 / 181
第71話
しおりを挟む
「心桜がそんなだと遥希くん、きっと落ち込んじゃうと思うけどな」
柊先輩の言葉に、私はドキッとした。
「どうして?」
戸惑いながら聞き返す。
「どうして頼ってくれないんだろう。友達だと思ってるのは俺だけなのかなって」
「そんなわけ、」
友達じゃないなんて思うわけないのに。
遥希くんがそんな風に感じているのなら、それは私のせいだ。
「遥希くんが困ってたら、今度は心桜が助けてあげればいいし、そんな機会が訪れないとしてもそれでいいんだよ」
遥希くんは、きっと一人で解決しようとして、きっと一人で解決出来てしまうんだろう。
私なんかが気にかけなくても。
「私だけ貰ってばっかりで、返せなくて、」
友達だからこそ、助け合うべきなのに、私は一方的に助けてもらってばかりだ。
「友達に貰うも返すもないでしょ。お互いが思いやっているから必然的にそういう形になるだけでね」
先輩の言いたいことも分かる。
友達の関係にギブアンドテイクなんてものはなくて、そんなものを意識しなくても自然と助け合うものなのだと。
「そうだよね、」
だけど、その優しさに甘えてていいのかな、なんて。そんなふうに思ってしまうから。
私がこんなだと先輩にも、遥希くんにまで気を使わせちゃうよね。
でも、どうしても割り切れない自分がいる。
「昨日も言ったけど、遥希くんも心桜のことを大事に思ってるから、助けたいんだよ。それを受け入れるのも友達として大事なことだと思うよ」
その優しさを受け入れる…
「…確かに、そうかも」
私は小さく頷く。
もし私が遥希くんなら、助けたいという気持ちを受け入れてもらえないのは辛いと思う。
友達だから助けてあげたいのにって。
友達だからこそ助け合える関係でありたい。
お互いが思いやることで成り立つ友情を、もっと大切にしていこうと思えた。
「先輩、」
私はふと立ち止まり、柊先輩の顔を見上げた。
先輩にどうしても言いたいことがあった。
先輩が私を頼りにしてくれる機会は訪れないかもしれない。
私が先輩のためにしてあげられることなんて、ないかもしれない。
それなら私ができることはただ一つだけ。
「ありがとう」
感謝の気持ちをちゃんと伝えたえること。
あなたのおかげで私が笑顔でいられると、安心していられると少しでも伝われば。
「お礼を言われることなんてしてないよ」
先輩は微笑む。
「ううん。そばにいてくれるだけで救われてるよ。本当は、すっごく怖かった。あの人がいつ現れるか分からないから、学校にも行きたくなかった。だけど、先輩がそばにいてくれるから頑張れる」
先輩がそばにいてくれるだけで、不安も恐怖も少しずつ和らいでいく。
先輩の存在が私にとってどれほど心強いか、言葉にするのが難しいほどに。
「それなら良かった」
先輩は嬉しそうに笑った。
「本当にありがとう」
感謝の気持ちが溢れ出た。
「心桜は一人じゃないよ。もちろん俺だけじゃない。沙紀も、遥希くんも咲月ちゃんもみんな心桜の味方だからね」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。
その温かい手の感触に、心がさらに安らぐのを感じた。
柊先輩の言葉に、私はドキッとした。
「どうして?」
戸惑いながら聞き返す。
「どうして頼ってくれないんだろう。友達だと思ってるのは俺だけなのかなって」
「そんなわけ、」
友達じゃないなんて思うわけないのに。
遥希くんがそんな風に感じているのなら、それは私のせいだ。
「遥希くんが困ってたら、今度は心桜が助けてあげればいいし、そんな機会が訪れないとしてもそれでいいんだよ」
遥希くんは、きっと一人で解決しようとして、きっと一人で解決出来てしまうんだろう。
私なんかが気にかけなくても。
「私だけ貰ってばっかりで、返せなくて、」
友達だからこそ、助け合うべきなのに、私は一方的に助けてもらってばかりだ。
「友達に貰うも返すもないでしょ。お互いが思いやっているから必然的にそういう形になるだけでね」
先輩の言いたいことも分かる。
友達の関係にギブアンドテイクなんてものはなくて、そんなものを意識しなくても自然と助け合うものなのだと。
「そうだよね、」
だけど、その優しさに甘えてていいのかな、なんて。そんなふうに思ってしまうから。
私がこんなだと先輩にも、遥希くんにまで気を使わせちゃうよね。
でも、どうしても割り切れない自分がいる。
「昨日も言ったけど、遥希くんも心桜のことを大事に思ってるから、助けたいんだよ。それを受け入れるのも友達として大事なことだと思うよ」
その優しさを受け入れる…
「…確かに、そうかも」
私は小さく頷く。
もし私が遥希くんなら、助けたいという気持ちを受け入れてもらえないのは辛いと思う。
友達だから助けてあげたいのにって。
友達だからこそ助け合える関係でありたい。
お互いが思いやることで成り立つ友情を、もっと大切にしていこうと思えた。
「先輩、」
私はふと立ち止まり、柊先輩の顔を見上げた。
先輩にどうしても言いたいことがあった。
先輩が私を頼りにしてくれる機会は訪れないかもしれない。
私が先輩のためにしてあげられることなんて、ないかもしれない。
それなら私ができることはただ一つだけ。
「ありがとう」
感謝の気持ちをちゃんと伝えたえること。
あなたのおかげで私が笑顔でいられると、安心していられると少しでも伝われば。
「お礼を言われることなんてしてないよ」
先輩は微笑む。
「ううん。そばにいてくれるだけで救われてるよ。本当は、すっごく怖かった。あの人がいつ現れるか分からないから、学校にも行きたくなかった。だけど、先輩がそばにいてくれるから頑張れる」
先輩がそばにいてくれるだけで、不安も恐怖も少しずつ和らいでいく。
先輩の存在が私にとってどれほど心強いか、言葉にするのが難しいほどに。
「それなら良かった」
先輩は嬉しそうに笑った。
「本当にありがとう」
感謝の気持ちが溢れ出た。
「心桜は一人じゃないよ。もちろん俺だけじゃない。沙紀も、遥希くんも咲月ちゃんもみんな心桜の味方だからね」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。
その温かい手の感触に、心がさらに安らぐのを感じた。
1
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
契約通り婚約破棄いたしましょう。
satomi
恋愛
契約を重んじるナーヴ家の長女、エレンシア。王太子妃教育を受けていましたが、ある日突然に「ちゃんとした恋愛がしたい」といいだした王太子。王太子とは契約をきちんとしておきます。内容は、
『王太子アレクシス=ダイナブの恋愛を認める。ただし、下記の事案が認められた場合には直ちに婚約破棄とする。
・恋愛相手がアレクシス王太子の子を身ごもった場合
・エレンシア=ナーヴを王太子の恋愛相手が侮辱した場合
・エレンシア=ナーヴが王太子の恋愛相手により心、若しくは体が傷つけられた場合
・アレクシス王太子が恋愛相手をエレンシア=ナーヴよりも重用した場合 』
です。王太子殿下はよりにもよってエレンシアのモノをなんでも欲しがる義妹に目をつけられたようです。ご愁傷様。
相手が身内だろうとも契約は契約です。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
美人な姉と『じゃない方』の私
LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。
そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。
みんな姉を好きになる…
どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…?
私なんか、姉には遠く及ばない…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる