血に塗れた氷の騎士

fireworks

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41話 気持ち悪い

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41話 気持ち悪い
「私の質問に正直に答えてください」
「何のこと?」
「嘘をつかないでください。絶対に」
 結婚式は無事に終わった。ブレイカへの言及を除いて。朝一番に衝撃を食らって、今日1日気が休まらなかった。彼女の虚言と、だれがどう見ても妊娠している身体。本当はおめでたい日なのに、子供の存在も喜べない。むしろ忌々しい。
 参加者のほとんどは、俺を怪訝な目で見ていた。政略結婚なのに、授かり婚だと思ったことだろう。いちおう、目的が曖昧になったことは評価すべきだ。
 ストローマ侯爵の発言も一理ある。順序を守れ――結婚してから子供を作る、と。それを逆にされて不快な気持ちになるのは当然だ。俺が本当にブレイカに手を出したのなら、が前提にないといけないけれど。
 ブレイカは妊娠している。そして、俺を指さして父親だと言い張る。でも嘘だ。俺はブレイカに触れたことすらなく、半年前の3月に知り合ったばかり。お腹の子が俺の子供ではないと証明しなければいけない。
 俺はフォールディング姓を捨て、ストローマ姓を名乗ることになった。荷物をすべてまとめ、ストローマ邸に引っ越した。用意された角の部屋は、埃まみれで蜘蛛の巣が張っている倉庫のようなところだった。1ヶ月半前に掃除したから、今はそんなふうには見えない。そこに「氷の騎士」を置き、持ってきた本を並べてマイルームが完成した。今はブレイカといるから最悪の気分だけど、話し合いをしなければいけなかった。着替えて入浴を済ませてここに来たブレイカはまったく悪びれる様子がなかった。
「私たち、ずっと前に会ったことがあるじゃないですか。あのときからあなたを慕って……」
「何を言っているのですか。私たちが初めてあった日は今年の3月です。半年前のことが、ずっと前とは言えません」
「ううん。それより前に会ったことがあるじゃない?」
「ありません」
 否定しても無理矢理話を繋げてくる。ありもしないことを言われて、一歩後ろに下がった。背中が壁に当たり、彼女がゆっくり近づいて耳元で囁く。
「なんで信じてくれないの?」
 頬に触れられそうになり、反射的に払い除けた。
「気安く触らないでください」
「私たち夫婦でしょ? どうして触ってはいけないの?」
「触られたくないからです」
 自分の子供ではない子がお腹の中にいて、気持ち悪い。ほかの男との子なら、れっきとした不倫だ。ここは今詰めておかないと。
 そう決心したのに、ブレイカは俺の頬に触れてキスしようと唇を近づけた。
「ほら、今日は初夜じゃない。やっておかないと怪しまれるわよ?」
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