血に塗れた氷の騎士

fireworks

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42話 結末

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42話 結末
「そんなバカなことしません。あなたは妊婦だということを理解していないのですか? 赤ちゃんがお腹にいるのに、軽率なことはできません」
「まあ。大切に思ってくれているのね」
 ブレイカは後ろ向きで戻り、ベッドに座ると仰向けで倒れた。うつ伏せで広がると思うと、お腹が潰れそうで見ていられない。仰向けだったから良かったけど、要らぬ心配をした。
「それで死なれたら、私の無実を晴らせませんから」
 この人に何を言っても無駄だ。自分のお腹の赤ちゃんすら軽んじるのだから。人としての道義を問うても、本人に響かず、説明している側の体力をすり減らすだけだ。
 ブレイカは大胆に足を広げ、腕を伸ばして思いのままに過ごす。なめ腐った態度と怠惰な口調に辟易する。まさか、妻となる女性がこんなに低俗な人間だとは思わなかった。噂通りの人以下、平然と浮気をする非人間だった。
「ふーん。私の意見は否定するんだぁ」
 ケラケラと笑って、他人事のように、大事な話を粗末に扱う彼女。初対面やパーティーのときの彼女とは打って変わって、軽い口調で馴れ馴れしく接してくる。舐められ見下されている。そのくせ、浮気をしたくせに被害者ぶって、俺を巻き添えにしようとしている。
「子供を無事に産んでくださいね。出産後に血液検査をして、私の子供ではないと証明します。あした医者に診せて、子供について話しましょう」
「はぁ? だるぅ」
 ついに本性を表したブレイカは、敬語も気を遣うこともやめて文句を口にした。ベッドでダラダラする姿は、とてもじゃないけど侯爵令嬢(妊婦)には見えない。怠惰そのもの。こんな人と話しても埒が明かない。立ち上がってドアを開け、振り返って釘を刺した。話が通じないとわかっても、これだけは言っておきたかった。
「あなたのやっていることは不倫ですからね。忘れないでください」

 さっきまでいた夫婦の寝室にブレイカを置いていった。いちおう邸宅の隅に俺が使える部屋はあるけど、監視されている気がしてならない。今までの部屋と同じように作り、氷の騎士もクローゼットの中にしまっておいた。マリアンヌからもらった唯一無二のものだから、壊されるわけにはいかない。絶対に。
「ふぅ……」
(俺……間違えたのかな)
 ベッドに寝転がり、ブランケットをお腹にかけた。さっきまでの言葉を振り返り、脳内で終わりのない会話を始める。
(両親との約束は守れそうにない。不倫する人との子供なんて作るべきじゃない。ならば離婚か? いや、離婚なんてしたら俺のいる場所はない。もうフォールディング家に戻れないし、不倫した人と一緒に住みたくない)
 右手を上げて天井を仰ぎ、すぐに拳を握って潰した。
(これが俺の人生か)
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