血に塗れた氷の騎士

fireworks

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43話 不在

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43話 不在
 ブレイカと結婚しなければ良かった。
 結局、そこにたどり着いてしまった。それ以外、もっともらしい結論はなかったから。
 過去のことを振り返り、ブレイカとの接触はないと断定した。初対面は今年の3月で、それ以前にブレイカまたはブレイカらしき人と会ったことはない。彼女は社交界に生きる人で、多くの友人に囲まれて華やかなパーティーを開催した。家庭教師のもとで勉強し、マナーと教養を身につけた。その一方で、俺は病弱で部屋に引きこもり、家族も友達もそばにいなかった。専門の家庭教師をつけられず、基本的な勉強はマリアンヌから教わった。学びたい気持ちがあったから、お金は家から借りて、アカデミーに通って研究者になった。このふたりの、どこに共通点があるというのだろう。出会ったことなく、存在すら知らなかったのに、恋愛結婚をしたなんて噂が広まるのは不可解だ。
 そこまでして、ブレイカがお腹の子は俺との子供だと言い張るのには理由がある。お腹の子の父親が俺でない場合、つまり第三者が父親ならば浮気によってできた子供だからだ。かつてマリアンヌが捕らえられ、牢につながれていたこと――を思い出す。きっと、彼女は罪を隠蔽しようとしている。適当に過去の話をでっち上げ、(表面上でも)授かり婚だと納得させられれば相手の思うつぼだ。
(マリアンヌはもっと虚しい思いをしたはずだ。無理矢理迫られ、不倫を疑われ、獄中死した。ブレイカにも同じことをするのか? 浮気の罪は償ってほしいけど、死んでほしいとは思っていないし、子供を処罰する気はない。さすがにやり過ぎだ)
 ひとりで会話をしてもまとまらず、結婚式の疲れもあってか、すぐに寝落ちしてしまった。
「う……」
 わかっていたけど、穏やかな夜になるわけがない。ネガティブなことが頭を埋め尽くし、疲労困憊の身体を蝕んだ。囁きが無限の泉へといざなう。かつてのトラウマを思い出しては、胸が締め付けられて息苦しくなる。
「うう……」
「……」
 だれもいないはずの部屋に、ひたひたと冷たい足音が響いた。その人はブレイカでも使用人でもない、ひとりの女性。透き通った淡い白色の髪は流れて、ほんのりふわりとジャスミンが香る。繊細なサファイアのティアラと、胸に咲いた青い薔薇。海に溶けるブルーの瞳、ピアス、枝のように巻き付く、縛り付けるチョーカー。二の腕から手の先、膝より下に布はなく、薄い靴下とブーツがはっきり見える。床についている長いレースは肩につながっていて、その形を維持する。ブーツには、胸の薔薇と同じものが施され、ヒールは10cm以上ある。
「だ……だれかいますか?」
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