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1章 いびつなこころ
3話 心の面影
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3話 心の面影
私はルキルス・ヴェロリアン。アーティファクト・キングダム、サンライズ・マウンテン付近の地域を治める領主だ。6つ年下の妻のノナ、2歳の息子アンブラと屋敷で暮らしている。秋頃に第二子が誕生する予定だったが、それは叶わなかった。しかし、ノナが生きていること、息子の存在が絶望から引き上げてくれた。かろうじて自我を保っていられる。対して、ノナは……全く話さなくなってしまった。事故の衝撃と子供の喪失か、後遺症なのだろうか……。医者にもわからないことだった。その後、彼女は目を閉じ、眠りの世界へと誘われた。
私は、使用人の証言をもとに、事故の整理をした。とある人によると、ノナは事故前にひとりで叫んでいたらしい。言語化しがたいほどの複雑で大きな声だったと。様子を見に行ったら、既に倒れていた……。ひとりを好むノナの付近に、人はいなかった。うつ伏せで倒れていたノナ。我が子の誕生を待っていたというのに、自分から落ちるとは考えにくい。つまり何者かに押された? だれが? 確実に殺すために? ノナはひとりで、使用人は所定の位置で仕事をしていた。ノナや私を陥れるために?
もう一度使用人の証言を整理してみよう……。
もし人為的な事故でないとしたら、考えられるのは「心の面影」という厄介な病気のせいだ。どんな人でも発症する精神的な弱さやその実体を表すもの。過去、環境、ストレスから生まれ、目に見えるものと目に見えないものがある。さらに、自覚ありと無自覚に分かれ、後者が特に問題になる。ただし、ほとんどが普通に生活できるため、実害は少ないと思われる。
重度やそれ以上の場合、面影が実体化し、その心の持ち主の心身を蝕む。意識障害、幻覚・幻聴、頭痛、腹痛、嘔吐、下痢、貧血、立ち眩みなどが挙げられる。さらに、周囲の人にも危害が及び、重症化のリスクが高まる。また、そのような家族関係、友人関係、恋愛関係を維持すると感覚が麻痺し、無自覚に重症化する恐れがある。この状態が最も危険。
心の面影の実体は、心の持ち主のトラウマを再現することが主。ものや人は問わない。人の場合、自分と同じ別の姿といえる。面影の中には、苦しむ姿を楽しむ、徐々に心を壊していく、といったそれぞれの特徴がある。
症状の原因は、心の持ち主の過去、環境、ストレス。これを「問題」と言う。つまり、問題が解決しない限り増殖し、持ち主の命を奪う。いかなる薬も効かない。たとえ持ち主が亡くなったとしても、未練のある状態だと増えていく。
対処法は、面影の発生原因を突き止め、実体がある場合は抹殺すること。そのためには倒す資格、専用の武器、実修が必要である。実体化した面影は、素人が相手では敵わない。最も重要なことは、患者のケアと原因を明らかにすること。これが適切にできれば、面影は患者に心と身体を返して消えていく。基本はケアで、あくまで「抹殺」は最終手段である。
私はルキルス・ヴェロリアン。アーティファクト・キングダム、サンライズ・マウンテン付近の地域を治める領主だ。6つ年下の妻のノナ、2歳の息子アンブラと屋敷で暮らしている。秋頃に第二子が誕生する予定だったが、それは叶わなかった。しかし、ノナが生きていること、息子の存在が絶望から引き上げてくれた。かろうじて自我を保っていられる。対して、ノナは……全く話さなくなってしまった。事故の衝撃と子供の喪失か、後遺症なのだろうか……。医者にもわからないことだった。その後、彼女は目を閉じ、眠りの世界へと誘われた。
私は、使用人の証言をもとに、事故の整理をした。とある人によると、ノナは事故前にひとりで叫んでいたらしい。言語化しがたいほどの複雑で大きな声だったと。様子を見に行ったら、既に倒れていた……。ひとりを好むノナの付近に、人はいなかった。うつ伏せで倒れていたノナ。我が子の誕生を待っていたというのに、自分から落ちるとは考えにくい。つまり何者かに押された? だれが? 確実に殺すために? ノナはひとりで、使用人は所定の位置で仕事をしていた。ノナや私を陥れるために?
もう一度使用人の証言を整理してみよう……。
もし人為的な事故でないとしたら、考えられるのは「心の面影」という厄介な病気のせいだ。どんな人でも発症する精神的な弱さやその実体を表すもの。過去、環境、ストレスから生まれ、目に見えるものと目に見えないものがある。さらに、自覚ありと無自覚に分かれ、後者が特に問題になる。ただし、ほとんどが普通に生活できるため、実害は少ないと思われる。
重度やそれ以上の場合、面影が実体化し、その心の持ち主の心身を蝕む。意識障害、幻覚・幻聴、頭痛、腹痛、嘔吐、下痢、貧血、立ち眩みなどが挙げられる。さらに、周囲の人にも危害が及び、重症化のリスクが高まる。また、そのような家族関係、友人関係、恋愛関係を維持すると感覚が麻痺し、無自覚に重症化する恐れがある。この状態が最も危険。
心の面影の実体は、心の持ち主のトラウマを再現することが主。ものや人は問わない。人の場合、自分と同じ別の姿といえる。面影の中には、苦しむ姿を楽しむ、徐々に心を壊していく、といったそれぞれの特徴がある。
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対処法は、面影の発生原因を突き止め、実体がある場合は抹殺すること。そのためには倒す資格、専用の武器、実修が必要である。実体化した面影は、素人が相手では敵わない。最も重要なことは、患者のケアと原因を明らかにすること。これが適切にできれば、面影は患者に心と身体を返して消えていく。基本はケアで、あくまで「抹殺」は最終手段である。
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