心の面影

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1章 いびつなこころ

4話 新体制

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4話 新体制
 あの事故から1年、アーティファクト・キングダムの国王陛下が替わった。ファーディナンド国王から、ご令息のイライアス国王へと。王国の宮殿では、またしても血みどろの戦いが起き、多くの王族や関係者が命を落とした。その影響は地方にも広まり、新しい政治体制に期待する声、暮らしの変化を恐れる声など世間は騒がしい。マイナスな意見が多いことも事実。現国王陛下のイライアス様27歳は、その権力のために、実父、実母、兄弟、そのほか親族を大勢殺した。何でも、皆殺しを目標にしているとのこと。地方に住む遠い親戚でさえもその餌食となって死亡した。残念ながら、権力争いは数百年と続く王室のお家芸で、裏切りは常習的なことだった。
 イライアス国王陛下には、(選りすぐりの)妻が30人以上いるが、それにも手を出したらしい。自分の気に入らないやつを一掃したとのこと。おかげで王妃は3人にまで減り、宮殿はさらに混乱の渦に見舞われた。
 さらに、「心の面影」を政治的・軍事的に利用すると発表した。国民を奴隷だと思っているに違いない。もう既に利用された人が何万人といるだろう。デモ活動や署名運動が行われたが、その規模を上回る国王の権力と武力行使によってこてんぱんにされた。言論統制、文化規制、重い罰則のせいで国民の口は塞がれた。違反者取締の報酬欲しさに、他人(家族含む)を売る者も現れた。国王陛下への侮辱は死刑、反対活動をすれば死刑、暴力的な言動をすれば死刑。国民は死刑になることを恐れ、必要以外の外出を控えた。口は災いの元というから、口も閉じて。
 前国王陛下の時代にはない厳しい政策と規制のもと、アーティファクト・キングダムの船は動き出した。死刑にされた人は1000人を超え、ほとんどの国民が沈黙を貫く。反逆者は死。日々殺されることを恐れながら生きていた。
 新国王陛下の誕生と同じくらい大事なことがある。ノナのことだ。この1年、ノナの心の回復と、心の面影への対処に当たった。しかし、結果は思うようにいかず、あのころと変わらないまま毎日が過ぎていく。彼女は話さず、心を閉ざし、殻に閉じこもった。興味・関心を示さなくなったと思えば、ときには暴力的に振る舞う。哀と怒りといった感情の起伏が目立つ。私は様々な方法を試してみた。軽く散歩するとか、仕事を休んで彼女のそばにいるとか、筆談してみるとか。だがどれも手応えがない。彼女は私を殴り、すがり、振り払ってひとりを選ぶ。「心の面影」の原因はわかっても、対処法がわからない。思いつく限りのことをしてもだめだった。おそらく重症に陥っていると思うが、「面影」の実体も見つかっていない。そのせいで、彼女は今でも笑うことができなかった。
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