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1章 壊れた心
38話 大丈夫
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「ううん。私は大丈夫。元気だから。この傷は……」
彼のせいにしたくない。けれど、この量の傷を自傷だと信じてくれる? 認めたくない。けれど、もうどうでもいい……。何もかも……。
「何でもないものだから。痛くないから。大丈夫。心配をかけてごめんなさい。彼は優しい人だから、何も関係ないよ」
精一杯の言葉を呑み込んで……。
「どうして……」
「本当に大丈夫。だから……」
「送っていただきありがとうございました」
その後の会話は気まずくなった。オーレリアンは何か言いたい顔をしていたけど、詳しく聞いてくることはなかった。私はバッグからノートを取り出し、おもむろに勉強を始めた。あれから30分後、家の近くのコンビニエンスストアで降ろしていただいた。
「うん。じゃあね。おやすみ」
「またあしたね」
「ありがとうございました……」
見えなくなるまで車を見送り、少し歩いて家に入る。ドアの鍵を開けて、バッグを床に置いた。洗面所で手洗いとうがいを済ませ、リビングのドアを見る。……明かりがついている。だれかがいるのだろう。こんな時間だし、両親がディナーを作ったかもしれない。妹も……どっちかが迎えに行って。掃除や洗濯もしないで、1日が終わろうとしている。
『ラウはお姉ちゃんだからね』
『料理してくれると助かるよ。将来のためになるからな』
『妹の面倒も見てくれない? 仕事で行けないのよ』
『もうできるでしょ?』
『お掃除もやってくれる? 汚れがしつこくてね……』
『ヴィアにはいいハイスクールに行ってほしいな。ラウもそう思うだろう?』
私は家族にとって何なのだろう。何のために生きているの? なんで……。
「……嫌だな」
他人のせいにしても何も始まらない。両親は私をここまで育ててくれたし、妹が生きやすい家庭でなければ。私だけの家じゃないから。だから……。
「うっ」
朝スープを飲んだきり何も食べていない。胃の中には何も入っていないはずなのに、吐き気に襲われた。何かが喉から飛び出てくる。慌てて飲み込んで閉じ込めた。
廊下で止まれない。壁や手すりにつかまりながら2階に上がり、自室のドアを開けた。リビングに入るのはやめにした。今吐いてもいいことはない……。
バッグを椅子に置いて、ベッドの上に寝転がる。そして、目を閉じ、毛布と布団を被った。閉め切っているのにまだ身体が冷たい。いちおう、両親に帰ったことを伝えたけど、なんだか今日は疲れた。もう眠ろう……。首筋に手を伸ばして、彼との思い出を再現するように痛みを与えた。
彼のせいにしたくない。けれど、この量の傷を自傷だと信じてくれる? 認めたくない。けれど、もうどうでもいい……。何もかも……。
「何でもないものだから。痛くないから。大丈夫。心配をかけてごめんなさい。彼は優しい人だから、何も関係ないよ」
精一杯の言葉を呑み込んで……。
「どうして……」
「本当に大丈夫。だから……」
「送っていただきありがとうございました」
その後の会話は気まずくなった。オーレリアンは何か言いたい顔をしていたけど、詳しく聞いてくることはなかった。私はバッグからノートを取り出し、おもむろに勉強を始めた。あれから30分後、家の近くのコンビニエンスストアで降ろしていただいた。
「うん。じゃあね。おやすみ」
「またあしたね」
「ありがとうございました……」
見えなくなるまで車を見送り、少し歩いて家に入る。ドアの鍵を開けて、バッグを床に置いた。洗面所で手洗いとうがいを済ませ、リビングのドアを見る。……明かりがついている。だれかがいるのだろう。こんな時間だし、両親がディナーを作ったかもしれない。妹も……どっちかが迎えに行って。掃除や洗濯もしないで、1日が終わろうとしている。
『ラウはお姉ちゃんだからね』
『料理してくれると助かるよ。将来のためになるからな』
『妹の面倒も見てくれない? 仕事で行けないのよ』
『もうできるでしょ?』
『お掃除もやってくれる? 汚れがしつこくてね……』
『ヴィアにはいいハイスクールに行ってほしいな。ラウもそう思うだろう?』
私は家族にとって何なのだろう。何のために生きているの? なんで……。
「……嫌だな」
他人のせいにしても何も始まらない。両親は私をここまで育ててくれたし、妹が生きやすい家庭でなければ。私だけの家じゃないから。だから……。
「うっ」
朝スープを飲んだきり何も食べていない。胃の中には何も入っていないはずなのに、吐き気に襲われた。何かが喉から飛び出てくる。慌てて飲み込んで閉じ込めた。
廊下で止まれない。壁や手すりにつかまりながら2階に上がり、自室のドアを開けた。リビングに入るのはやめにした。今吐いてもいいことはない……。
バッグを椅子に置いて、ベッドの上に寝転がる。そして、目を閉じ、毛布と布団を被った。閉め切っているのにまだ身体が冷たい。いちおう、両親に帰ったことを伝えたけど、なんだか今日は疲れた。もう眠ろう……。首筋に手を伸ばして、彼との思い出を再現するように痛みを与えた。
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