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2章 殺してしまいたい
71話 提案
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授業開始のベルが鳴った。オーレリアンに話しかけられる前に、先生が入ってきて授業が始まる。1時間目は数学演習。それもすぐに終わって、先生に昨日のことを尋ねた。オーレリアンのメモを疑っているわけではないけれど、念の為。休んだ分は未来に大きく響く。後悔しないよう、できることはやらないと。そんなことを考えていると、時間が過ぎていく。2時間目は一般教養、3時間目は科学演習、4時間目は物理演習、昼休み、5時間目は古典語学、6時間目は数学演算、7時間目は予復習。
今日も長かった。それでも耐えた。瞼が落ちそうになりながら、必死に食らいついた。遅れを取り戻すこともそうだし、あんなふうに言われて悔しかった。あれは心配ではなく、煽りであると理解している。この気持ちを落ち着けるために、だれにも文句を言われないような成績をとるしかない。勉学だけじゃなくて、校外の活動もしないと。枯れ果てたとか、人形とか、空っぽだとか、バカなことを考えないで。
「それでは、さようなら」
「……」
試験が終了したから、ほとんどの生徒は本格的なクラブ活動を行っている。昔の私は、彼に会える日を、時間を、場所を、楽しみにしていた。でもその必要はもうなくて、だれも私を待つ人はいない。ひとりぼっち。私を抱きしめてくれた彼、優しく話しかけてくれた彼、首を絞めてきた彼はいない。
傷つけた手首、痛みよりも痒みがあって、包帯を解きたくなった。ランチで飲んだポタージュを吐く前に、替えようと引っ張る。あんなもの見るべきじゃなかったけど、傷口が膿んでしまうと知ったら、消毒して清潔にしなければいけない。そのせいで吐いてしまったかもしれない。自業自得。一線を越えてしまった。
授業が終わると、私が校内ですべきことはない。強いて言うなら、勉強以外でやることを探す。彼との時間は終わったから、空いたときにできるはずだ。将来のために。
将来? 未来? 私にそんなものあるの? 私は何になりたかった? 彼と一緒にいること? 彼と未来で過ごすこと? 約束を守る? そういえば、なんで進学したかったんだっけ? すっかり忘れてしまった。
「おはよう。ローレンティア」
もう日が沈んでいるのに、朝の挨拶が聞こえて手が止まった。最後ペンケースをしまって、立ち上がろうとしたところだった。
「……おはよう」
首筋に手を伸ばしそうになって、慌てて止めた。言われたことを繰り返せばいいだけで、特におかしくなかったはず。顔を見られなくて俯き、ファスナーを閉めた。
「今日、電話をかけ直してくれてありがとう。あれから眠れた?」
「……遅い時間だったから、迷惑……かけたか……ごめんなさい」
「……」
オーレリアンは私を見ているのに、相変わらず言葉が浮かばなくて口を閉じる。
「今日はお願いをしたくて」
なんだか、また話が長くなりそう。急に手首がかゆくなって、左手に添えたのをバッチリ見られた。
「お願い?」
「カウンセリングを受けたらどうかな?」
今日も長かった。それでも耐えた。瞼が落ちそうになりながら、必死に食らいついた。遅れを取り戻すこともそうだし、あんなふうに言われて悔しかった。あれは心配ではなく、煽りであると理解している。この気持ちを落ち着けるために、だれにも文句を言われないような成績をとるしかない。勉学だけじゃなくて、校外の活動もしないと。枯れ果てたとか、人形とか、空っぽだとか、バカなことを考えないで。
「それでは、さようなら」
「……」
試験が終了したから、ほとんどの生徒は本格的なクラブ活動を行っている。昔の私は、彼に会える日を、時間を、場所を、楽しみにしていた。でもその必要はもうなくて、だれも私を待つ人はいない。ひとりぼっち。私を抱きしめてくれた彼、優しく話しかけてくれた彼、首を絞めてきた彼はいない。
傷つけた手首、痛みよりも痒みがあって、包帯を解きたくなった。ランチで飲んだポタージュを吐く前に、替えようと引っ張る。あんなもの見るべきじゃなかったけど、傷口が膿んでしまうと知ったら、消毒して清潔にしなければいけない。そのせいで吐いてしまったかもしれない。自業自得。一線を越えてしまった。
授業が終わると、私が校内ですべきことはない。強いて言うなら、勉強以外でやることを探す。彼との時間は終わったから、空いたときにできるはずだ。将来のために。
将来? 未来? 私にそんなものあるの? 私は何になりたかった? 彼と一緒にいること? 彼と未来で過ごすこと? 約束を守る? そういえば、なんで進学したかったんだっけ? すっかり忘れてしまった。
「おはよう。ローレンティア」
もう日が沈んでいるのに、朝の挨拶が聞こえて手が止まった。最後ペンケースをしまって、立ち上がろうとしたところだった。
「……おはよう」
首筋に手を伸ばしそうになって、慌てて止めた。言われたことを繰り返せばいいだけで、特におかしくなかったはず。顔を見られなくて俯き、ファスナーを閉めた。
「今日、電話をかけ直してくれてありがとう。あれから眠れた?」
「……遅い時間だったから、迷惑……かけたか……ごめんなさい」
「……」
オーレリアンは私を見ているのに、相変わらず言葉が浮かばなくて口を閉じる。
「今日はお願いをしたくて」
なんだか、また話が長くなりそう。急に手首がかゆくなって、左手に添えたのをバッチリ見られた。
「お願い?」
「カウンセリングを受けたらどうかな?」
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