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2章 殺してしまいたい
73話 さようなら
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残酷表現があるので閲覧注意です。続きます。
バランスを崩して危うい日もあれば、涙が止まらない日もあった。家だったら構わないけれど、教室内で泣くと収拾がつかない。授業中は皆前を向いているのに、声をあげて泣いたら妨害行為になり得る。かといって我慢すると鼻水が鼻にたまって、それで息がしづらくなった。
授業に集中できなくて、数字や文字がぼやけていく。耳に綿が詰め込まれているようで、よく聞こえない。そうなると問題が解けなくて、先生の話も理解できなかった。
(何のために生きているのかな)
自答して、歩いて、彷徨った。目的地がない。何かになりたいという大層な夢もない。何かをする気が起きない。最低限のことすら危うくて、身体的な不調が増えた。それを解決したいのか、そのままでいいのか、身体に聞いてもわからない。まあ、心は既に壊れ、荒れ果て、乾ききっているけれど。
(もう疲れた。何もしたくない。何かしなければいけないと思うけど、それだけで、心と身体が動いてくれない)
カウンセリングを受けた意味はなかった。話しても苦痛で、座っているのも苦しくて、何のためにここにいるんだろうって思うから。
頼みの綱だった彼の声も、少しずつ聞こえなくなって、今ではもう何も思い出せなくなった。
『ローレンティア?』
ああそうだ。オーレリアンと電話していたんだっけ。今日はハイスクールに行けなくて、1日中、家で頭を空っぽにしていた。ただ、家では勉強も手つかずで、時間だけが虚しく過ぎていく。空っぽの心はどうにもならなくて、もう何もかも手遅れで、今更彼の望みが実現しそうだった。
私は壊れたマリオネットだった。最初は、綺麗で煌びやかな劇場で、埃ひとつない衣装で演技をしていた。幕が上がり定位置に立つ。スポットライトを浴び、数百人の観客を前にして笑った。シールみたいにはがれやすくて、マジックペンのように消えやすくて、そうじゃなくて。嬉しいから笑って、楽しいから笑って、ポジティブな気持ちを表現するための方法だった。演目通りに踊って、回転して、最後に決めポーズ。盛大な拍手とコール。途中までは良かった。私は最後まで踊れたし、吊られた糸を感じないほど酔いしれていた。……幸せだった。何も知らずに踊りたかった。今までできたから、できないことはない。そう信じて、かじかんで凍った手で、切れた糸を手繰り寄せた。
現実で使わなくなった糸を首に巻き付けて。
『どうしたの? 何か……』
『……』
『何も聞こえないんだけど……』
『これローレンティアの電話だよね!? なんでこんなに静かなの!? どうして!?』
バランスを崩して危うい日もあれば、涙が止まらない日もあった。家だったら構わないけれど、教室内で泣くと収拾がつかない。授業中は皆前を向いているのに、声をあげて泣いたら妨害行為になり得る。かといって我慢すると鼻水が鼻にたまって、それで息がしづらくなった。
授業に集中できなくて、数字や文字がぼやけていく。耳に綿が詰め込まれているようで、よく聞こえない。そうなると問題が解けなくて、先生の話も理解できなかった。
(何のために生きているのかな)
自答して、歩いて、彷徨った。目的地がない。何かになりたいという大層な夢もない。何かをする気が起きない。最低限のことすら危うくて、身体的な不調が増えた。それを解決したいのか、そのままでいいのか、身体に聞いてもわからない。まあ、心は既に壊れ、荒れ果て、乾ききっているけれど。
(もう疲れた。何もしたくない。何かしなければいけないと思うけど、それだけで、心と身体が動いてくれない)
カウンセリングを受けた意味はなかった。話しても苦痛で、座っているのも苦しくて、何のためにここにいるんだろうって思うから。
頼みの綱だった彼の声も、少しずつ聞こえなくなって、今ではもう何も思い出せなくなった。
『ローレンティア?』
ああそうだ。オーレリアンと電話していたんだっけ。今日はハイスクールに行けなくて、1日中、家で頭を空っぽにしていた。ただ、家では勉強も手つかずで、時間だけが虚しく過ぎていく。空っぽの心はどうにもならなくて、もう何もかも手遅れで、今更彼の望みが実現しそうだった。
私は壊れたマリオネットだった。最初は、綺麗で煌びやかな劇場で、埃ひとつない衣装で演技をしていた。幕が上がり定位置に立つ。スポットライトを浴び、数百人の観客を前にして笑った。シールみたいにはがれやすくて、マジックペンのように消えやすくて、そうじゃなくて。嬉しいから笑って、楽しいから笑って、ポジティブな気持ちを表現するための方法だった。演目通りに踊って、回転して、最後に決めポーズ。盛大な拍手とコール。途中までは良かった。私は最後まで踊れたし、吊られた糸を感じないほど酔いしれていた。……幸せだった。何も知らずに踊りたかった。今までできたから、できないことはない。そう信じて、かじかんで凍った手で、切れた糸を手繰り寄せた。
現実で使わなくなった糸を首に巻き付けて。
『どうしたの? 何か……』
『……』
『何も聞こえないんだけど……』
『これローレンティアの電話だよね!? なんでこんなに静かなの!? どうして!?』
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