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エピソード
Ep.27 ごめんね、足りなかったよね。
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Ep.27 ごめんね、足りなかったよね。
「離婚……?」
「ごめんなさい。もうあなたとはやっていけない」
「ちょっと待って。どうして今……?」
「私が悪いの。私が間違ってた。あなたは自分を責めないで」
私の出した結論に、アトラスは驚き、取り乱していた。椅子に座って、向かい合って座るふたり。私は空気椅子みたいに浮いていたし、頭の中の言葉がぐるぐる回る。時計は11時57分を指して、セレスタリアはぬいぐるみを抱いて、リアンはひとりで眠っている。別の部屋にいるから、普通の声なら聞こえないはず。……まあ、声を荒げない、なんてことできないから、意味がない。
「そんなこと言わないで。ユリは悪くない」
「違うよ。私が家を追い出されて、その後あなたのところに行ったでしょ。あれが間違いだったの」
演技をやめて、自分探しもやめて、私は諦めていた。仮面を破って、皮膚のめくれた腕で、臓器を握り潰して吊られる。感情というノイズを取り出して、かき消して、ぐちゃぐちゃになった私は、大したことなかった。意味も価値もなかった。
「間違いじゃない。違う。間違いだなんて思ったことはない」
「あなたの貴重な時間を無駄にした。身の丈に合わない願望を持ってしまった。巻き込んでしまってごめんなさい。全部私が悪いの。ごめんなさい」
「……」
私が……両親に、頭を下げて「産んでくださいお願いします」って言ったかな。それで勝手に生まれてきて、勝手に育って、両親の声も無視して、間違った道を選んだ。自分で選んだ。私の責任。私が悪いの。
思考を止める泣き声が聞こえて、自然と顔が上がる。
「あ……泣いてる」
「いい。俺が行く」
アトラスが先に立って、苛立ちを隠さないまま別の部屋のドアを開ける。
「……お待たせ」
しばらくして戻ってくると、テーブルに置いた離婚届を彼に近づけた。
「ごめんなさい。私が、もっと上手に生きられる人だったら、良かったのだけれど。何もかも足りない人だから、皆を不幸にさせてしまうの。このままだと、私は自我を保っていられなくておかしくなる。あなたにも、セレスにもリアンにも良くないわ。だから、離れないと」
「……」
彼の手持ちの言葉がなくなったのか、もう何も言わない。ただ黙って聞いているだけ。
「私のせいにして。私を嫌って。恨んで。何なら今殺されても未練はないわ。そういう状況を作っているのだから、死んで当然よね」
「……それがユリの『幸せ』なの?」
あなたの顔に浮かぶのは後悔? 虚しさ? 悔しさ?
……もうわからない。
「何もかも足りなくてごめんなさい」
「離婚……?」
「ごめんなさい。もうあなたとはやっていけない」
「ちょっと待って。どうして今……?」
「私が悪いの。私が間違ってた。あなたは自分を責めないで」
私の出した結論に、アトラスは驚き、取り乱していた。椅子に座って、向かい合って座るふたり。私は空気椅子みたいに浮いていたし、頭の中の言葉がぐるぐる回る。時計は11時57分を指して、セレスタリアはぬいぐるみを抱いて、リアンはひとりで眠っている。別の部屋にいるから、普通の声なら聞こえないはず。……まあ、声を荒げない、なんてことできないから、意味がない。
「そんなこと言わないで。ユリは悪くない」
「違うよ。私が家を追い出されて、その後あなたのところに行ったでしょ。あれが間違いだったの」
演技をやめて、自分探しもやめて、私は諦めていた。仮面を破って、皮膚のめくれた腕で、臓器を握り潰して吊られる。感情というノイズを取り出して、かき消して、ぐちゃぐちゃになった私は、大したことなかった。意味も価値もなかった。
「間違いじゃない。違う。間違いだなんて思ったことはない」
「あなたの貴重な時間を無駄にした。身の丈に合わない願望を持ってしまった。巻き込んでしまってごめんなさい。全部私が悪いの。ごめんなさい」
「……」
私が……両親に、頭を下げて「産んでくださいお願いします」って言ったかな。それで勝手に生まれてきて、勝手に育って、両親の声も無視して、間違った道を選んだ。自分で選んだ。私の責任。私が悪いの。
思考を止める泣き声が聞こえて、自然と顔が上がる。
「あ……泣いてる」
「いい。俺が行く」
アトラスが先に立って、苛立ちを隠さないまま別の部屋のドアを開ける。
「……お待たせ」
しばらくして戻ってくると、テーブルに置いた離婚届を彼に近づけた。
「ごめんなさい。私が、もっと上手に生きられる人だったら、良かったのだけれど。何もかも足りない人だから、皆を不幸にさせてしまうの。このままだと、私は自我を保っていられなくておかしくなる。あなたにも、セレスにもリアンにも良くないわ。だから、離れないと」
「……」
彼の手持ちの言葉がなくなったのか、もう何も言わない。ただ黙って聞いているだけ。
「私のせいにして。私を嫌って。恨んで。何なら今殺されても未練はないわ。そういう状況を作っているのだから、死んで当然よね」
「……それがユリの『幸せ』なの?」
あなたの顔に浮かぶのは後悔? 虚しさ? 悔しさ?
……もうわからない。
「何もかも足りなくてごめんなさい」
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