触れたいのに届かなくて

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13話 そばにいる

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13話 そばにいる
ゲーム会場 
 いつもの昇降口……と思ったら、どうやら違うところだった。目をこすってぱちりと開けてみると、崖の上に立っていることがわかる。さすがに、教室からこんな辺鄙なところにいきなり行けないから、前、あの謎の男性と会ったようなところと似ているのだろう。真っ白な異世界、気温、天候、時間も影響されないところ。改めて足元を見てみる。まさに断崖絶壁! 足を踏み外したら即落下、命を取られる。息を呑むどころじゃ済まなくて、白目を向きかけた。また倒れる……と思ったら、後ろにだれかいたみたい。
「えっと……」
 恐る恐る顔を見てみると……フィディリス!? なんでここに!?
「んぐっ」
 声を出そうとしたのに、大きくて細長い指のある手で止められた。そのまま、私にぴたりとくっついて離れない。必死に左手を動かしてフィディリスの足に触れると、口から手を離してくれた。ふう。なんとか息ができる。
 それよりも気になることが山積みだ。ここはどこなのか。なぜフィディリスがいるのか。現実はどうなったのか。今すぐ聞きたいのだけど、落ち着くまで静かにしておく。
 ゆっくりと左右を見渡すと、同じような断崖絶壁がいくつもあることがわかる。そして、その上に人影があることも。遠すぎて顔もわからず、輪郭が黒く浮かんでいるだけ。それがざっと10人。目を凝らせば、さらに奥からうじゃうじゃと出てくるかもしれない。その下は奈落。地獄の入り口と呼ぶべきだろうか。おそらく、足を踏み外したり、落ちたりしたら戻れないだろう。それは、現実的な意味も含まれている気がする。崖と人がメインなだけに、あまりにも異質な空間だ。
「はじめまして。今回は、お忙しい中お越しいただきありがとうございます。私の主催するゲームへ! ようこそ!」
 視線の先の、奈落から崖がいきなり伸びてくる。それはぐんぐん大きくなり、いつの間にか塔のように高くなってしまった。その上の、ローブを羽織って姿を隠した男性。男性は、円を描くように集まった人たちの中心にいる。どの人からも真っ直ぐ見えるように。それはそれとして、ツッコミどころが多すぎる。
「このゲームには至ってシンプルなルールがある。ゲームの参加者は13人。手を取り合うもよし、裏切るもよし。殺し合いをするゲームだ!」
「!?」
 周囲がざわめく。どうやら、ここにいる人たちは知らなかったらしい。……後ろのフィディリスからは、一切の動揺が感じられなかったけど。
「デスゲームの始まりだ! さあ、皆様! 思う存分にストレスを発散するために殺してくださいな!」
 嬉々として語る男性、不満や喜びを爆発させる参加者。
「皆様には、それぞれ特殊能力を与えました。それを駆使して努力してください。タイムリミットはゲームセットの合図が出たとき……とします」
 今のこの状況で、私は話さないけど。それなら男性の言うように能力を使えばいい。背中にぴたりとくっついているから、手を握れば、私の疑問を送れるはず。……多分、できた。思わず顔を動かして見守ってしまう。
「大丈夫だ」
 フィディリスは私を抱きしめ、励ますかのように言った。距離が近いなんて、もはやバグだ。
「俺がそばにいる」
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